桔梗が、死人として蘇ってから、数ヶ月の月日が流れたある日の事――
俺の所に、桔梗の式神の飛鳥と胡蝶がやって来た。
「オメェ等は、確か桔梗の――」
「桔梗様が、貴方様にお会いして、お話がしたいと申しております――」
「桔梗が、俺に?」
俺が聞き返すと、飛鳥と胡蝶は何も答えずに、桔梗の居る場所へだろうか――?来た方向へと向かって飛んで行く。
「って、おい!?ったく――しゃ〜ぁねぇな――」
俺は、溜め息をつき、式神の後を追った。
――河原。
桔梗は、其処で滝に打たれていた。
「桔梗――」
「犬夜叉か――?」
「あ――わりぃ――邪魔したか?」
「いや――今、上がるところだ――」
桔梗はそう言って、川から上がって来ると、岩の上に置いてあった着物を着て、薪の前に座った。
「すまないな――犬夜叉。急に呼び出してしまって――」
「如何って事ねぇよ――」
俺はそう言いながら、桔梗の横に座った。
「桔梗――話って何だ?」
俺の問いに、桔梗は黙り込んだ。
「桔梗?」
俺は、桔梗の顔を覗き込んだ。
「あ――すまない――」
「桔梗――お前、大丈夫か?」
「大丈夫だ――心配するな――」
桔梗は、何を思ったのか飛鳥と胡蝶を呼び出した。
「すまないが――お前達、私の髪を楓に届けてくれ――」
桔梗はそう言うと、自分の髪を一束切り、紙縒りを巻いて飛鳥に渡した。
『畏まりました――』
桔梗の髪を受け取った飛鳥と胡蝶はそう言って、村に向かって行ってしまった。
「き、桔梗――お、お前、まさか――」
「もう会えないかもしれないからな――」
「桔梗――」
「火が消えかけてるな――もう一度火をつけよう――」
カチカチッ――
桔梗はそう言いながら、薪に火を改めて点けた。
俺は、空を見上げた。
空は星が散らばっていて、互いに競い合うように輝いていた。
「星――綺麗だな――」
「ああ――」
暫し、沈黙する俺と桔梗――
最初に口を開いたのは、桔梗の方だった。
「犬夜叉――」
「ん?」
「かごめを大切にな――?」
「な、何言ってんだよ!?急に!」
俺は、桔梗の突然の一言に、戸惑いを隠せなかった――
「仕方が無いのだ――私の命は、後少ししか無いのだから――」
「桔梗――」
「すまない――こうまでもしなければ、お前はずっと私に縛られているままだったから――」
「桔梗?」
「私は、そろそろ行かなければならない――すまないな――犬夜叉」
桔梗はそう言いながら、何時の間に呼び出したのか、死魂獣に乗って舞い上がっていく。
「桔梗ぅ!」
「また、何時か会おう――犬夜叉――」
桔梗はそう言って、其の場から消えていった。
俺は、ただただ立ち竦んでいるだけだった。 |