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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。 作者:夢・風魔

バーション1.01【始まり】

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96/125

96:マジ、バグを正当化する。

 恐怖に負けた俺は、遂にクエストを受諾。
 ちなみに他の三人は早々に受諾ボタンを押していたらしい。
 パーティーメンバーでもないセシリアにまでメッセージが出ており、全員が揃って受諾しないと進まない仕様だったようだ。
 そして今現在、『不運を撒き散らすロックンピーコック』の巣へと案内されている。
 そもそも原住民がお宝を諦め、嫌がらせをして立ち去った原因の一つに『不運を撒き散らすロックンピーコック』があったらしい。

「曽祖父らがこの地に辿り着いた当時には、あの鳥はまだおりませんでした」

 村代表の声優付きNPC――村長は、さっきまでと口調が随分違っている。
 クエストを受諾した途端、腰が低くなったというか、物腰が穏やかになったというか……。

 村長と呼ぶにはまだ若いこの人の祖父の代まで原住民との抗争が耐えなかったらしい。

「だいたい五、六十年前ですかねぇ。奴の親鳥が現れ、隣に卵を産み落としていったのは」

 もちろん村長はまだ生まれておらず、親からその話を聞いただけだという。
 孵化したピーコックは、襲撃に来た原住民どもに容赦なく襲い掛かったという。

「く、食われたのか?」

 と尋ねるが、村長は首を横に振るう。

「ピーコクは自らを飾り立てるのが好きでして。奴等の髪の毛を毟り、衣服を奪い取り、自身を飾る材料にしたのです」

 ダメだここの開発!
 普通のMMOならここで村人も食い殺されましたとか、そんな会話になって悲壮感漂うクエストになるはずだろ!
 なんで適当な笑いを取ろうとしてんだっ。

「たぶん、移民団がやってきたのが五十年前ですし、現地の人々との争いとかも始まって、お宝どころではなかったんでしょうね」
「そうだろうな。それに加えて変なモンスターも居るし、奥地に逃げていったんだろう」

 ぼそぼそとルーン、フラッシュの二人が話す内容が正解だろうな。

 村長の案内で岩壁にたどり着くと、そこには人一人がギリギリ通れる程の穴があった。

「この奥にも、ここ同様に岩に囲まれた空間があります。ロックンピーコックはそこに居るのですが……」

 ついでに外部へと出る為の洞窟通路もそっち側にある――と。

「奴を倒して、それから村人全員にロッククライミングの技能をセシリア先生が教えてやれば万事丸く収まるな」
「ちょ、マジック氏。それ正攻法じゃ――」
「おぉ! それは良い案ですね。奴が倒れさえすれば、我等は安心して技能習得に専念できます」

 お、村長の反応が変わったぞ。
 外に出る為の道は塞がれてるっていうし、それを取り除くとなるとそれはそれで違う技能が必要そうだ。
 面倒くさそうだし。
 ロッククライミングの技能ならセシリア一人に任せればいい。
 なんなら俺も習ってみるかな。

「分かった。では、ピーコックを倒したら私が皆にロッククライミングの技能を教えてやろう! そうすればいつでも自由に岩壁を登れるぞっ」

 胸をどんっと叩き、きらっきらした目で村長を見つめている。
 あんな目で見つめられるとか、不幸だな。

「おお! ありがとうございますっ。これで我々もやっとこの呪われた地から脱出できますっ」

 単純である。
 セシリアに関わったNPCがスポ根のノリになるのは仕様なのか?





 狭い洞窟を越えると、そこは――

「野球場より少し狭いぐらいだな」
「そうですね」

 木々が生い茂り、ちょっとしたジャングル状態だ。
 ただ、人が五人並んでも十分歩けるような道が奥に続いている。
 まぁ道なりに歩くしか無いよな。

 ここでセシリアをパーティーに加え、それぞれ役割分担を決める。

 AGI型とはいえ、防具性能で言えばダントツの防御力を持つセシリアがタンク役。
 俺とルーンが臨機応変にバフだのヒールだのをし、フラッシュは攻撃専門になる。というかこの役割しか出来ない。

「ボク、敏捷効果を上げるバフスキルがありますので、使いますね」
「本当っ。私、AGI先行型なので、それは嬉しいぞ」
「あ、俺もAGI20超えたから、ちょっとは恩恵あるかもな」

 INTを止めてAGIに全振りしている今、AGIは26だ。INTの方は技能レベルが上がれば補正が入るし、もう少しAGI振りでもいいかなと思っている。
 地味にピチョンから貰った飾り羽根のINT補正も増えていってるんだよなぁ。INT999の杖とか魔法攻撃力9999の杖とか頼んだが、まぁこれはこれでいいかもしれない。

 さほどでこぼこもしていない、土がむき出しの道を進む事数分、第一モンスター発見!

「レベル24のモンスターですね」
「俺とルーンは25だし、格下だな」
「すみません、レベル22で」
「同じく22です、ごめんなさい」

 と俺とセシリアがペコリと頭を下げる。
 そしてあわあわとするルーンに、苦笑いのフラッシュ。

「だ、大丈夫ですよ。マジックさんが強いのは分かってますし、そのお知り合いのセシリアさんだって――『疾風の舞いフィジカルスピードスタンス』」
「おっし、肉壁セシリア、行け! 『カッチカチ』やぞっ」
「おい、肉壁とはなんだっ。うぅ『ばぁ〜かぁっ』」
「ばかって……それもしかしてヘイトスキルなのか?」

 呆れているフラッシュに頷いて見せると、ポカーンと口を開けてセシリアを見つめていた。
 うん、分かるよ。
 ばかって言ってるって事は、スキル名が『ばぁ〜かぁ』なんだろうしな。

 モンスターが一匹だというのもあって、あっさり撃退。
 が、直ぐに次のモンスターと遭遇した。
 次は二匹セット。これもあっさり撃退。

 出てくるのは植物系と動物系か。

《ぷっぷ、ぷぷぅ〜》
「あ? 同族の匂いがする? ピチョンか?」
《ぷぷぅ〜ぷ》
「あ? 違うわよ? あたちのママはもっとレベル高いもの?」

 じゃあ下位の鳥モンスターか。
 そういやさっき、羽音が聞こえていたような気もするしな。いるのかもしれない。
 まぁピチョンの下位種族なら襲っても来ないし、アクティブが一種類減ったのなら移動も楽だろう。

 それにしても――

「こう木が生い茂ってると、そのピーコックってのも見つけ難いな」
「そうですね。特徴とかどの辺に居そうだとか聞いておけば良かったですね」

 戦闘を歩くセシリアが振り向き、ピーコックは孔雀だと説明する。

「孔雀を英語でピーコックと言うのだ」
「へぇ。よく知ってるな」

 えっへんと胸を張る彼女だが、孔雀だってのが分かってもどこに居るのか分からないんじゃ意味が無い。

《ぷぷ?》
「あ? 同族に頼んでみようかって? ……それだ!」

 ぷぅに頼んで、ありったけの声で同族に呼びかけてもらう。
 派手な孔雀を探しているから、見つけてくれ――と。

《ぷぷぅ〜ぷぷ。ぷっぷぷぷぅぷ〜》

 暫くジャングルに静寂が訪れる。
 そして――

《チュッチュンチュン》
《チュッチュチュンチュン》

 きっとモンスター名は『チュッチュン』だな。もしくは『チュンチュン』だ。
 ばさばさと羽音が響き、その鳴き声も次第に大きくなっていく。

「マ、マジック氏? これ、大丈夫なのか?」
「た、大量の鳥モンスターが襲ってくるとか、ないですよね?」
「気持ちは分かる。だが大丈夫だ。こいつが居る限り、同系統のモンスターと俺は友好関係を築けるんだ」

 といいつつ、内心ちょっとビクビクしています。
 だって、羽音と同時に地響きまでしてるんだぜ。

 ばっさばっさチュンチュンどしどしどし……いったい何が起きている!?

《ぷ》
「え? み、見つけた? んで、追いかけられている?」

 追いかけ――はっとなって前方を見ると、ぷぅに似た丸いフォルムの無数の鳥が、全長五メートルほどのダチョウに似た鳥に追いかけられていた。

 おい、孔雀って言ったの誰だよ!
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