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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。 作者:夢・風魔

バーション1.01【始まり】

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62/124

62:うん!

 引越し先の村にログイン!
 すると直ぐにシステム音が鳴り【引越しの護衛】クエストの報告を行って下さいというメッセージが浮かんだ。
 行くともさ!

 昨夜荷物を運ぶ手伝いをした家に行って戸を叩くと、ここでもダダダダダという元気な足音が。

「ピリカの勇者様〜。いらっしゃ〜い」
「ははは。ピリカは音だけで俺が来たって事が解るらしいなぁ」
「――――うん! 解るの〜」

 今の間はシンキングタイムだな。
 もしかして、戸の前に立ったキャラクターの認識データとかで判断してんのか!?
 データとして俺だって解ってるだけなのか!?
 さすがNPC! 汚いっ。

 まぁ何が汚いんだって事だよな。うん。

「おぉ、ようやっと来たか。まったくせっかちな奴め。依頼の報酬も受け取らんと、帰りおるからのぉ」
「はぁ、すみません。他の三人は?」
「ちゃんとその日のうちに受け取って帰られましたよ」

 大賢者とトリトンさんが出て来てこう言う。
 俺だけ報酬受け取ってなかったのか。
 ま、まぁ、とりあえず受け取っておこう。
 さぁ、何をくれる!

 と、逸る気を抑えて平常心。

「ほれ、これが報酬じゃ」
「それとこれもよかったらお使いください」

 大賢者からは2000エンを、トリトンさんからはアイテムを幾つか貰った。
 2000……なかなかの大金じゃね!?

「それとこれもやろう。儂が若い頃に使っておったノーマル品じゃが、今持っておるお前さんの杖よりは性能が良かろう」
「え? ノーマルがレアより上?」

 受け取った古臭い杖と、今の俺の杖とを見比べる。

◆◇◆◇

 名称:海獣の杖(レア)
 効果:INT+3、魔法攻撃力+20。
     水属性魔法のダメージ+10%。MP+100。
     ヒール量+80。
 必須技能:特になし
 耐久度:5/150
 レベル:8

◆◇◆◇

 名称:ウッドロッド
 効果:魔法攻撃力+25
     MP+150、ヒール量+100
 必須技能:特になし
 耐久度:100
 レベル:16

◆◇◆◇


 おおぅ……水属性うんちゃら以外は完全に負けてるじゃないか。
 っていうか海獣ロッドの耐久度がマジやべーっ!
 そうか、レアは耐久度も高いんだな。
 さすがにレベルの差が出てるんだろうなぁ。
 今は水属性の技能も持ってねえし、素の攻撃力底上げならウッドロッドのほうが上だな。
 ありがたく頂戴しよう。

「大事に使うのじゃぞ。たまには手入れもして、長持ちさせろ」
「手入れは木工技能で使えるはずですから」

 うん。使った事無いけどちゃんとあるよ。

「また何かあったらいつでも尋ねてくるといい」
「私も学者として、何かお力になれることがあれば遠慮せず、言ってくださいね」
「はい! 俺も、また何かあればいつでも手伝いますから!」

 ふっふっふ。もちろんいつでも尋ねるともさ。
 トリトンさんは、何かと物知りで助かってるしな。
 それにまだまだ習得したい魔法技能はたっぷりあるんだからな。特に重力とか重力とか。
 ふふふ。だが焦ってはいけない。
 ここはじっくりねっとり好感度を上げて、向こうから技能を伝授してくれるのを待つのだ!
 時々こそっと下心は見せるけどな。

 三人に別れを告げて家を後にし、レベル上げでもしようかと思って村の外へと向う。

 がさがさ――という直ぐ近くの茂みから音が聞こえてきた。
 おいまさか。村の中だってのにモンスターが!?
 速攻で襲撃イベントかよ!

 そして出て来たのは――女の人!?
 普通の女の人!?
 しかもNPC!!

 な、何やってたんだあの人は。

 はっ!
 女が一人、茂みの中。
 ここはファンタジーな世界観。

 開拓途中の村といえば、便所がまだ整備されていないかも!!
 つ、つまりあの女の人は……草むらで……ト……ん?
 なんか女の人が手に持ってるぞ。
 はっ!
 ま、まさか、うん!?
 そのうん! を持ったまま女の人は移動し、とある家の軒先にあった笊の中へそれを……置いたーっ!?
 NPCが新種の嫌がらせ行為してんのか!?
 そしてまた移動。
 辺りをきょろきょろしたかと思うと、落ちていた葉っぱを持ち上げじっと地面を見ている。
 そんな所にあるのはだんご蟲ぐらいだと思うぞ?
 と思ったらなんか掴んだ!?

 その後何度か同じような葉っぱやら小石やらを捲っては、何かを掴んで――笊に入れるを繰り返している。

 うんの中にだんご蟲……これはどんな嫌がらせなんだ。
 そしていったい誰に対してなのか。
 NPCとはいえ、こんな悪質な嫌がらせするとか許せないぞ。
 ここはやっぱりGMコールするべきだろうか。

 そんな事を考えてたら、その女と目が合った。
 や、やばい。
 もしかしてうん! を投げつけられるかも!?

「あら、冒険者さん。私の事、気になるんですか?」

 気にならないでか!

「ふふふ。お兄さんかっこいいから、教えてあげてもいいかな」
「え?」

 なんか急に顔を赤くしたりして、何考えてんだこの女。
 っち。ゲームの世界でも女はイケメンに媚びるのかよ糞がっ。うんなだけに。
 が、よく考えたら、そのイケメンって俺の事であって、俺見て顔を赤くしている訳で。

 ふふ。かっこいいか。
 いいな。

 俺の所にやってきたうん! 女は、小声でぼそぼそと囁くように話しだす。
 自分の悪行を洗いざらい話すつもりのようだ。

「隠れている物を見つける事が出来る、『発見』を使っているの。そうしたらね……お兄さん、そこの小石を持ち上げてみて」

 言われて足元の小石を持ち上げた。
 その下にはだんご蟲がいました。
 俺はそっと小石を元に戻した。

 戻した小石を、今度は女が持ち上げる。
 そして徐にだんご蟲を――じゃなく、何故か突然どんぐりのような木の実が女の手に出現した!?
 どうなってんだ!?

「こうやって小石の下に隠れてた木の実を見つけられるのよ」

 いやいやいやいや、今どう見てもだんご蟲しか居なかっただろ!
 女は再び村の中をあちこち動き始める。
 葉っぱを捲っては木の実をゲットし、小石を持ち上げてはゲットし――
 時々先回りして、彼女が手を伸ばそうとしていた葉っぱを先に捲ってみる。
 何も無い。
 なのに彼女が改めて同じ事をすると、その手に木の実が握られていた。

 つまり――技能か!?

 彼女の後ろを追い続ける事数十分。
 笊の中が木の実でいっぱいになる頃――

「もうっ。冒険者さんずっとついてくるんだもの。恥ずかしくって『発見』も捗らなかったわ」
「そうなのか?」
「そうよ。じっと見つめてるんだもの。このままじゃ村の人達の分まで集められないわ。困ったわぁ」

 あぁ、他の家の分も集めてやってるのか。それは悪い事をしたな。
 うん! 女だなんて思って、申し訳無い。

「じ、じゃあさ、手伝うよ」
「あら! 本当? 嬉しい。じゃあついて来てね。私がお手本を見せるから、暫く見てて」

 というので彼女の後を再び追う。
 これじゃあさっきまでと同じだろと思いつつ、彼女がやっていることを注意して見た。

 きょろきょろして――何かを見つけたようにとことこ歩き出し、迷う事無く葉っぱを捲る。
 そして拾う。
 それだけだ。

 それを何度も何度繰り返し、何度も何度もじっと見た。
 段々目が疲れてきた頃――

【『発見』を習得しました】

 というシステムメッセージが浮かんだ。

「うおぉーっ! 習得したぞぉーっ」
「よかったわ〜。じゃあ、手伝ってね」

 といって彼女にウィンクされたのだった。
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