挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。 作者:夢・風魔

バーション1.01【始まり】

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

57/125

57:マジ、大改造!

『お帰りなさいませ、彗星マジック様。無事に護衛クエストは終わったようですね』
「おう。おわ――あぁあぁぁっ!?」

 そういや、クエスト終わったのに何の報酬も貰ってない!?
 慌ててシステムメニューを開き、クエスト一覧を確認する。
 ロビーではこういうのも出来るんだな。助かるぜ。

 ん?

《クエスト【引越しの護衛】を完了しました》

 と書かれているが、その下に

《パルカスと会話をする》

 というメッセージがある。
 パルカスって、誰?

『まぁ、最後の報告が終わっていらっしゃらないのですね。クエスト報酬はパルカス様との会話後に受け取れますよ』
「パルカスって、誰だ?」

 まるで俺が叫んだ理由を知っているようなシンフォニアに尋ねると、彼女はきょとんとした顔でこう言った。

『大賢者様ですが?』

 ……初耳だ。
 そうか、名前あったのか。
 まぁ報酬は明日にしよう。今受け取りにいったら、そのままプレイ続行して徹夜コースだぞ。
 そんな事したら、プレイ上限時間にひっかかって、明日の日中何も出来なくなるしな。

「あぁ、そうだ。ゲームマスターといいモールの販売員といい、このゲームは人間のスタッフが少ないのか? 会社として大丈夫なのかと、不安になるんだけど」
『ご心配には及びません。スタッフの人数はオンラインゲーム開発運営を行う企業ですと、平均的な人数でございます。逆に言いますと、人間のスタッフだけでゲームマスターを行いますと、サービス開始当初などは対応に遅れが生じます。我々AIサポートスタッフに任せられる事案は、こちらでスムーズな対応をする方が効率的なのです。他、アイテムモールでの販売員は、たんなる受け狙いですので』

 受け狙いって……何を狙っているんだ、ここの開発は。

『ちなみにワタクシはゲームマスターではございませんので』
「いや、今更否定するか」
『ございませんので!』
「わかった、もういい」

 にっこり微笑むシンフォアニア。
 それから彼女は机に向って右手を一振りすると、ノートパソコンのような物が現れた。

『よろしければ、ロビーの模様替え参考にこちらをお使いください』
「パソコンを?」
『はい。参考画像をインターネットでお探しになると仰っていましたし』

 そうか、ここを大改造劇的するんだったな。
 えーっと確か……

 ロビーの活性化する為に、他のプレイヤーをロビーに招待できるようにしたらどうかって意見を出して――
 この狭い山小屋に知り合いを呼ぶのはちょっとなぁって事で、でかくしようと思ったんだっけか。

 机に座り、ノーパソのキーボードを叩く。

『二階建てログハウス 内装』

 で検索し、画像を参照する。
 うおー、いっぱいあるなぁ。
 やっぱテラスやウッドデッキは絶対条件だよな。
 大きな吹き抜け、暖炉……二階はどっちかというとロフトみたいな構造のほうが良さそうだな。

 そうだ!

「ロフトん所はさ、窓じゃなくって壁を丸くくり抜いたのとかいいな。そこから顔だして、外の景色を眺められるとか」
『――検索いたしました。その昔、日本のアニメでそういうものが――』
「元ネタは言うな! 俺だって言った後に思い出したんだからよ」
『承知いたしました』

 そういうと、直ぐに彼女は作業に取り掛かった。
 何やら図案のようなものが彼女の前に浮かび上がる。
 おぉ、線画のログハウスか。

「屋根は大きめの三角屋根がいい」
『畏まりました』
「大きなウッドデッキとテラスは必須な」
『ウッドデッキでティータイムというのはよろしいですね』
「だろ?」

 そんな事、一切考えていませんでした。
 どっちかというと、ハンモックぶら下げてぼぉーっとする感じ?
 あ、ハンモック追加ね。





「出来た! こんなのでどうだっ」
『ワタクシが作り上げた新ログインロビーでございます』

 またそれか。
 だが悲しいかな、否定する事が出来ないのも事実。

 テラス、ウッドデッキ付き二階建てログハウス。
 ここまでは俺が案を出した。というかそれっぽい写真をネットで探してきて、シンフォニアに見せた。
 そこからだ――

『ウッドデッキがございますのに、ただの森では勿体ないですね』

 と言って、ログハウスの近くに湖を作った。
 更に湖の美しさを際立たせるためといって、対岸は山になり、湖面にその山が逆さまになって綺麗に映って見えるっていうね。

『あと、ランダムで自然動物も現れるようにしましょう』
「それはいいんだが、アレ(・・)も自然動物なのか?」

 と俺が指差す先に、ピンク色のコスライムが一匹ぷるぷるしている。ログハウス周辺に咲いている野花を愛でているようにも見えるし、食っているようにも見える。

『自然動物でございます』
「自然モンスターじゃなく?」
『そうとも言います』

 おい、モンスターも出てくるのかよ!

『コスライムシリーズのみでございます。ご安心ください。尚、倒せませんのでご注意ください』
「はい?」

 試しにコスライムの所に行ってサンダーフレアを使ってみたが、ピンピンしてやがった。

『チュートリアル以外ではここは非戦闘区域となっておりますので、一切の攻撃が無効化されます』

 ふぅーん。まぁいいか。
 さて、ログハウスも完成した事だし――あっ。

「い、今何時だ!?」
『現実基準でいいますと、一時四十五分十二秒でございます』
「二時間ぐらいログハウス作りしてたのか!? ログイン時間が勿体無い……」

 一日十時間というログイン制限がある。この制限は『安心安全VRゲーム協会』とかいうのが作ったルールで、これを遵守するシステムでないと日本国内でのVR運営は出来ない仕組みだ。
 まぁ脳への負荷を考えての時間なんだろうけど、夏休みの学生にとっては嫌なシステムだよな。

『ご安心ください。ログインサーバーであるここロビーは、現実との時間の流れが同じである事もあり、協会が定める十時間制限の対象外となっております』
「え? そうなのか」
『はい。ただし脳への負荷が与えられるような行動はここでは出来ず、戦闘もその一つとなっております』

 チュートリアルは一度きりだから、協会の許可も下りたと彼女は説明する。
 じゃあ他にどんな事がロビーで可能なのか。

 1:お茶をする。
 2:お喋りをする。
 3:ぼぉーっとする。

「それだけ?」
『日常生活レベルの行動でしたら、それほど制限の基準に引っかかりません』

 あくまで一般的な日常生活であって、アスリートだなんだのを基準にしてはダメだと念を押される。
 誰もそんな連中を基準にしねえよ。

『尚、社内規定によりゲーム内プレイ時間と含めて、合計十五時間までの滞在とさせて頂いております』

 ロビーで十五時間も何するんだ……そんな奴いねえだろ。
 戦闘が出来ない=レベル上げ出来ない。
 茶を啜ったりお喋りしたり……まぁ女ならそういう楽しみ方もあるかもな。

 あぁ、でも……

「ゲーム内でガッツリレベル上げして、ここでゆっくりスキル作りするってのは出来るか」
『左様でございますね。ここでしたらネットワークとの接続も出来ておりますし、調べたい事はいつでも見れますから』
「あぁ、それは便利だよな。スキルの参考に他のMMOの情報も見れるし」
『オリジナルティに欠けますね』

 ほっといてくれ。
 だいたいスキルネタなんて、古今東西出尽くしてるだろ。
 既視感あったほうが解りやすいんだよ。

 よし、そうと決まったら――

『彗星マジック様、現在二時を周りましたが、睡眠はよろしいのですか?』

 ……おっと、忘れていた。
 明日にするか。

 ログインする前にオフラインでまず調べて、少しでも時間の節約をしよう。
 あとゲーム内にログインする時間も計画を立てておかないとな。
 ウィキも見たい。
 スキルも作りたい。
 寝たい。

『彗星マジック様、きっちりログアウトしてからお休みください。彗星マジック様っ』
「お、おぅ……ログアウト」
『はい。お休みなさいませ』

 安堵したようなシンフォニアの表情。
 ソファーに腰を下ろし、まるでそこで休むかのように目を閉じた俺。
 次の瞬間、目を開いて見たのは自分の部屋の天井だった。
 が、それも一瞬だけ。

 瞼は重く、ヘッドギアを辛うじて外したらそのまま意識は沈んでいった。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ