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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。 作者:夢・風魔

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18/124

18:マジ、卵をめぐって戦う。

 訳も解らず後を追ったが、何故彼女が走り始めたのか直ぐに理解した。

《ピピーッ!》
「うおぉりゃあぁあぁぁっ」

 草原から飛び出す真っ青なボール。

「あぁん。先越されたばい。次探しにいくとよっ」

 訂正。
 あのボールがピッピらしい。
 よく見たら球体に翼と足、黄色い嘴が見えるな。
 全身真っ青の、まるで幸せの青い鳥だな。
 しかし、あんな丸い体型で空飛べるのかよ。

 フリー状態のピッピを探して草原を走りまくる俺たち。
 まさか……まさかこんなにピッピ狙いがいるとはなっ!?

「レアアイテムでも落とすのか?」
「解らない。でも、レアモンスターだから落とすのかも。情報は無いけど、クローズでもピッピは人気やったけん」

 希少モンスターなら誰でもそう考えるから仕方ないか。
 一匹でもいいから、倒さないとな。そして卵をゲットしないと!

 だが世間はそう甘くは無かった。
 走れど走れど、地面から羽ばたくピッピは既に戦闘中だったり、今まさに戦闘に突入した奴ばかりだ。
 やっと魔法をぶっぱなせる!
 そう思って目前まで走っていたのに、前方から矢が飛んできてピッピがそっちに向って飛翔する。

 あぁ……あんなに丸々太ってんのに、飛べるんだな。

「あぁんもうっ。同じ弓使いとして、目の前まで他人が走ってきてたところを狙うとか許せんばい! 横殴りと同じやんっ」
「まぁまぁ、そう目くじらたててないで、次探そうぜ。まだ時間はあるんだし」
「あと十分しかないんやよっ」

 十分か、厳しいな。

「こうなったら私が――」
「いやいや、ピッピのレベルって9じゃないか。5の夢乃さんじゃきついだろ」
「でもぉ〜」

 もしもの時は、誰かに譲ってもらう手もある。
 それまでは運を天に任せて――

「走るぜぇーっ」
「走るしかないのかぁ〜」





 だが天は我に味方しなかった。
 太陽が地平線から完全に姿を見せ、大地を赤く照らす。
 タイムリミットだ。

「マ、マジか」
「やっぱり、ちょっと無理してでも私が矢を射っとったら」
「いやいやいやいや、また……明日があるから」

 そう答えながらも、走り回った疲れからなのか、精神的なものなのか、その場に膝を落としてしまう。
 はぁ……競争率高すぎだろ。そんなに良いアイテム落とすのかよ。
 項垂れる俺の耳に、小さな声が聞こえた。

《ピチョーン》

 天は我を見捨ててはいなかった!
 所々に背の高い草が生い茂っている部分もあり、その茂みから声は聞こえる。
 他のプレイヤーに見つかる事も無く、ここでじっと身を潜めていた賢い奴なんだろう。

「夢乃さん。ピッピ、まだ残ってる」

 気づかれないよう、小声で彼女を呼び寄せる。

「こ、今度こそ……」

 いや、彼女に危険を侵させる訳にはいかない。
 俺が飛び出して行って――

「俺がやる。俺が……奴の注意を引く!」

 走れ、急げっ。他のプレイヤーに取られる前に!
 そう祈りながら右手に意識を集中させ、左手の杖をぎゅっと握り締める。

 そして――声の聞こえた方角に向って右手を突き出した。

「『サンダーッ!』」

 青白く光るイカヅチが掌を這う。そして――
 草を舞い散らせながら、ぬるっとした何かに触れた。

「ぬる?」
《シャボボボボッ》
「なんか違うの来たあぁぁっ!?」

 明らかにさっきの声とは違う、別のモンスターに当たってるぞっ。
 どうして、どうしてそうなる!

「うわあぁぁ、なんか大きい蛇だよ彗星君っ」
《シャアアアァァッ》


◆◇◆◇◆◇◆◇

 ☆卵大好きエッグスネーク / LV:10

◆◇◆◇◆◇◆◇


 やべぇえぇっ。ネームドモンスターじゃないですかあぁっ。
 しかも卵大好きとか、どう見てもライバルですし!?

「渡さねぇ。卵は渡さねぇぞっ」
「や、やる? やるしかないよね。『鑑定っ』」
「うおおぉぉぉっ。『サンダーッ』からの『ライト』」

 うねうねとした蛇の側面へと周りこみ、素早く魔法を叩き付ける。
 ん? サンダーのダメージがライトの倍以上?

「彗星君! そいつ、水属性やよ!」
「やった! 水辺の蛇だったのか。くっくっく。勝機が見えてきたぜ」

 そう言ったのも束の間。
 ギラリと目を光らせて身をくねらせると、長い尾を振り回して俺を薙ぎ払う。
 ゲフッ。吹っ飛ばされた!?

 ――ぼふん。

 ん?
 なんかふわもこな物が背中に……

《ピチョチョチョチョッ》

 真っ青な鳥さん!
 うげっ。さすがにネームド相手にしながら二匹同時とか、無理っ。
 逃げるか!?

「夢乃さんっ」
《ピチョォォーンッ》

 ピッピがばさばさと羽ばたくと、温かい風が流れてきた。
 その瞬間――

【STR+10】
【AGI+10】
【VIT+10】
【DEX+10】
【INT+10】
【KUL+10】

 という文字が視界に浮かぶ。
 これ、称号効果か?
 ……いや、勇者はオール+1のはず。

「す、彗星君、これ……ピッピのバフスキル!?」
「え? え? モンスターが、俺らを支援?」

《シャアアァァァ》
《ピチョォォッ》

 蛇はピッピを睨み、ピッピも蛇を睨みつけている。
 まさか……卵大好きって、ピッピの卵を狙っていたのか!?
 偶然タイミングよく蛇に俺の魔法が当たった事で、ピッピの卵が守られた、とか。それで親鳥が……
 あ……。

「卵って、まさかピッピからドロップするんじゃなくって、既に産み落とされてるとかそういうオチなのかぁぁっ」
「あはは、そうかもしれんねぇ」
「ああぁぁぁーっ」

 全力で走った努力があぁぁっ。

《ピッ》
《シャボオオォ》
「死ねやあぁぁっ」

 怒りの鉄拳ならぬ、怒りの雷を蛇にぶつける。
 この際だ、親鳥を助けて卵を一個くれと頼もう。

「とりあえずスネークを倒すんやねっ。『ショットアローッ』」

 後ろから飛んできた矢は、これまで見た攻撃よりも速度が速かった。その分、威力も高いのだろう。

「ふっふー。生産の成功率はDEXとLUK依存。今はDEX極だから、生産メインといえど弓限定なら強いんよ。ただしHPがゴミ過ぎてすぐ死ぬんやけど」
「最後の一言がなかったらかっこよかったのに」
「本当のことやけん、仕方ないっちゃね」

 よし。
 よく解らない状況で、モンスターと共闘する事になったが……

「『サンダーッ』そんでもって『ライト!』」

 おぉぉ。INT+10のお陰で、ダメージがワンランクアップしてやがる。

《ジャジャッ》

 蛇は大口を開けて向って来たっ。丸呑みされるんじゃね!?
 そう思った瞬間、俺の体は宙に浮いていた。

 ばっさばっさと羽ばたくピッピの足に鷲掴みされて、飛んでるうぅっ。

《ピチョロロロロッ》

 行くわよっ。
 そんな風に言われた気がした。

「おっしゃあぁぁっ、行けぇーっ」

 急降下しながら、ピッピは俺と蛇の真上で――落とした!?
 ふぁっ!?

「ぎゃああぁぁぁっ『サンダーッ』」
「彗星君っ。『ショットアローッ』」

 鬼だ。
 鬼のような鳥がおる。

 蛇と衝突しながら、魔法をぶっぱして転げ落ちた。
 奴の全身を雷が駆け巡り、矢が深々と突き刺さる。

《ピチョッ》

 そこへピッピが急旋回して戻ってきて、鋭い嘴でもって蛇を突いた。
 なんか蛇のHPゲージがとんでもなく減ってるんですけど?
 寧ろ俺ら二人で一割しか削ってないのに、ピッピの一突きで残り全部削ってますけど?

 あぁ、あれは死んだな。

《ジャ……ボオォ》

 蛇の断末魔が、朝日を浴びて光る草原に木霊する。

 時としてモンスターとも手を携え戦う。

 このゲーム、そんなコンセプトあったか?
*ピッピの容姿を
腹は白くから、全身真っ青に変更しました。
+注意+
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