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黒の魔王  作者: 菱影代理
第18章:怠惰の軍勢
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第319話 白翼のプロローグ

 クロノくんには、私がついていないとダメなんだと知りました。

 クロノくんは強くて、かっこよくて、優しくて、素晴らしい男性だという事は知っています。

 学校では皆、クロノくんのことを悪く言いますけど、本当の彼を私は知っています。私だけが知っています。いいんです、他の人が知らなくても、いっそ知らないままでいい。

 でも、クロノくんはダメなんです、だって――


「すまないネル、かなりの重傷だ」


 凄く、無茶をするんです。

 ダメです、止めてください、危ないです、ハイドラの魔眼なんて恐ろしい相手と戦わないで下さい。

 だから、ほら、私が止められなかったから、クロノくんの右腕が――私は恐ろしい、もし次も同じような事になったらと。

 私の見えないところで、私の手の届かないところで、またクロノくんが無茶をしたら、今度こそ……

 不安で、ただ不安で、治してみせた彼の右腕から、私は手を、腕を、体を離せなかった。

 とっくに治療は終わってるのに、まだ治療中だと嘘までついて。

 耐えられない、私はこの不安に、恐怖に、クロノくんが一人で危険な戦いに身を投じることに。

 彼は決して戦うことを止めない。冒険者だからではありません。


「俺には、どうしても殺さなきゃいけないヤツらがいるんだ」


 私には話してくれなかったけれど、そこには確かな、絶対に譲れない理由がある。

 それはきっと、私が言って、いいえ、他の誰が言っても、決して翻すことのない決意。

 だから、私も一つの決意をした。

 クロノくんが無茶をし続けるなら、私が助けてあげるのだ。

「……クロノくん」

 大闘技場グランドコロシアムの医務室、二人きり、ベッドの上で身を寄せ合って座っている。

 言うなら、今しかない。

「あの、私――」

 クロノくんの、パートナーになります。

 パーティメンバーではなく、パートナー、二人コンビの冒険者は、互いをそう呼びます。

『エレメントマスター』というパーティを組んでいるようですが、クロノくんを見捨てて勝手に別行動しているようなパーティメンバーなんて、たかが知れます。

 どうせ臨時パーティ程度の信頼関係なのでしょう。

 だから、私がパートナーになるんです。

 ウイングロードは辞めます。

 何の未練もありません。あそこは私の居場所じゃない、これまではただ、‘居させてもらっていた’だけです。

 お兄様に保護されて、シャルに心配されて、カイさんとサフィさんに気遣われる。

 だからもう、いいんです。

 私は、本当に私を必要としてくれる人の為に、これから戦います。

 クロノくんの為に、尽くします。

 私が、クロノくんの、一番です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ヤンデレしかヒロインが居ないと思えたことです。
[良い点] ヤンデレに好かれる運命なのか 元世界の学校の好きな人や姉も実はヤンデレだったとかありそう
[一言] アバズレが仲間になりそうな展開が続いて吐き気がする。気持ち悪い。 貴重なヒーラーだとしても、ヤンデレになる経緯がいきなりで、その後の失格王女の頭もおかし過ぎて駄目だわ。
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