第4話:一匹狼と学級委員
「すまん、俺購買行くわ」
「え?夢月ちゃんの手料理弁当は?」
圭吾は目を丸くして驚きながら聞いてくる。
「いや、今日の朝、夢月をちょっと怒らせちまって、弁当抜き」
「そんなぁ〜、それじゃあ学校に来てる意味がないじゃないか」
呆れたやつだ。
「お前は夢月の弁当だけのために学校に来ているのか」
「3分の2が弁当目当て」
それってほとんどじゃねぇか。
「言ってろ。それじゃ行ってくる」
俺が教室を出る直前まで圭吾はブツブツ言っていた。
購買で焼きそばパンを購入し、どこで食うかなっと思いつつ
この時間は人気の少なさそうな屋上へ行ってみることにした。
無駄に長く、疲れる階段を最上階まで上りきり
屋上へつながる扉を開けると
案の定、誰も居なかった・・・っと思った。
「先客か」
柵の方に人影が一つ。
どうやらその人影は男のようだ。
黒髪は背中のあたりまで伸びている。
邪魔にならないのか?
その男はパンを食いながら、丁度いい高さのフェンスにもたれかかっていた。
とりあえず、声をかけてみる。
「よう、お前いつもこの時間はここに居るのか?」
その男がこちらを向くと、そいつの顔には少し見覚えがあった。
「・・・おかしなことを言うやつだな。
入学したばかりだぞ、今日が初めてだ」
失言だったな・・・
「と、とりあえず、隣いいか?」
「あぁ」
その後しばらくの間、無言の昼食が始まった。
く、空気が重い・・・
何かきりださなくては・・・
「俺は霧島 亮だ。お前の名は?」
「・・・l神田 日向だ」
「神田?・・・もしかしてC組か?」
「そうだ」
だから見覚えがあったのか。
まさかクラスメイトだったとは。
もう少し話そうと思ったがチャイムが鳴ってしまった。
俺は教室に戻ろうとするが日向は動こうとしない。
「チャイムが鳴ったけど、行かないのか?」
「あぁ、後から行く」
「そうか」
俺は屋上を後にして階段を下りながら呟いた。
「一匹狼・・・か」
今日の授業は順調に進み、放課後となった。
「すまん、帰りにちょっと寄るところがあるから一緒に帰れねぇわ」
「そうか、まぁ別にいいが」
圭吾はそう言いながら教室から飛び出して行った。
今日はまた何かの発売日か?
俺も帰るかな。
荷物をカバンに入れ、教室を後にし
玄関まで来たのはいいが・・・やけにのどが渇いている。
「・・・たしか自販機があったはずだ」
俺は来た道を引き返すように、1階の奥にある自販機へと向った。
金を入れてボタンを押す。
飲み物が出てきたとき、チャリンっという音がした。
金は丁度入れたはずだ。
そしてわかっている。
この音は自販機の中の金を貯めておくところに落ちた音だと。
だが人間の欲は恐ろしい。
何故か、つり銭の出るところに手を入れてしまう。
すると後ろから笑い声が聞こえてきた。
「そうじゃのぉ少年、ついつい確かめたくなる、という気持ちははかるぞ」
ジジイのようなしゃべり方をした女の声がした。
後ろを振り返るとそこにはやや長身で、長いパープル色の髪の美人が立っていた。
青色の瞳は笑みを作っている。
「おや?少年、どこかで見た顔じゃな?」
俺も見覚えがあった。
それもそのはず、この人は俺と同じクラスの人だからだ。
「えと、l瀬川 奈々さんだよな?C組の」
委員長だったな、たしか。
「そうじゃが、何故わしの名を?もしかして奴らと同じファンか?」
「いや別にファンじゃないけど。俺は霧島 亮。同じC組だ」
「おお、同じクラスであったか、よろしくな。
そしてすまんな、最近そういう奴が多いものでな」
ファンってなんだよ・・・
どうやら俺が出会うあの学校の生徒は皆不思議な奴のようだ。
神よ、頼むから普通の奴にも会わせてくれ・・・ |