第3話:次から次へと・・・
さてさてどうしたものか・・・
目の前にいる藤林 凪と名乗る男は俺を殺る気満々だ。
ここは脅しを言っておこう。
「いいのか?俺は中学のとき腐った不良どもを
総計500人以上負かせた異名を持ってるぜ?」
「その噂を聞いたからワイはお前を殺りにきたんや」
あれー?それを聞いて俺に会いにきたのか・・・
「どうしたんや?はようしかけてこんかい!」
「めんどくせぇ奴だな・・・」
しかたなく構えようとしたその時
「またんかお前らぁ!!!!!」
ものすごくでかい怒鳴り声が俺たちにぶつかってきた。
「朝っぱらから学校の前でケンカするとは
いい度胸してるじゃないか?何なら私が相手になるよ?」
革の服を着てミニスカをはいたいかにも不良そうな黒髪の女性は
両手の指をバキボキ鳴らしながら歩み寄ってくる。
「よく見たら美しい人じゃん」
「お前は黙ってろ、圭吾」
「ええんか?ほないくで!!」
凪が先手をかけるように飛び出す。
「嘘・・・だろ?」
俺は自分の目を疑った。
それは一瞬の出来事。
凪は結構体格が大きいが
その巨体が軽々と宙を舞っていた。
「ふん、弱い。貴様はただのウドの大木か?」
ドシャッっと重いものが地面に叩きつけられる音がした後
その女性は次に俺を見る。
「次は・・・お前か?」
「いや、別にいいです。俺は元々やる気なかったので」
「そうか、残念だな。まぁいい、さぁ野次馬ども!
早くしないとHRに間に合わないぞ!」
そう言って校舎のほうへ消えて行った。
俺たちも急いで教室へ向かう。
それにしても残念って・・・
急いだおかげで何とかHRには間に合った。
そしてチャイムが鳴り終わった後担任が入ってきた。
だが入ってきた人は昨日とは違っていた。
その姿には見覚えがある。
っというより忘れるわけが無い。
ついさっき見たばかりだからだ。
「おはよう、そして初めまして、だな。
えー、アタシの名前は鬼頭 弥生だ、よろしくな」
「あのー昨日来てた加藤先生は?」
「あぁ加藤か、あいつは予備の先生だ。アタシは昨日
ちょっと用事があってね。最近金が足りなくなってきてアレを、だな」
そう言いながら弥生は片手を少し上げて何かを掴むふりをし、
手首を少しかたげた。
「パチンコッスか」
なぜわかる?
「正解。休んだおかげで大もうけだ」
弥生は笑いながら答える。
あってたよ・・・
「まぁそういうことだ、まぁ1年間よろしくな。じゃ朝礼終了」
不良そうな先生だったが中々ユーモアのある先生でもあった。
ユーモア過ぎるのもちょっとあれだが・・・
4時間目。
春の暖かい陽気がすぐ横の窓から流れ込んでくる。
まるで眠気を誘うかのように。
しかも授業が国語というミスマッチ。
「眠い・・・」
次は給食なのだから耐えなくては・・・
そう思っていると後ろから小さく、そして鈍い
ゴンッという音が聞こえた。
「イタタ・・・」
後ろを振り向く。
そこには額をなでているクリーム色で癖っ毛ショートヘアの少女がいた。
「お前、もしかして寝てたか?」
「はひ?そ、そんなわけ無いじゃないですか」
一目でわかるほどあせっている。
「ゴンッって音がした後、額をなでてるやつが、何で寝てないといえるんだよ?」
すると彼女は少し考えた後、舌をペロッと出して小さく笑った。
「あはは、ばれちゃいました?」
「ば、ばれるって・・・」
天然かよ、コイツ。
「あの、この事はご内密に・・・」
「誰に言うってんだよ」
面白いやつだ。
会話で暇潰しが出来る。
こんな天然を見たのは久しぶりだな・・・と思っていると
彼女は不意に何かを思いついたのか、手をポンッと叩いた。
「あの、前後のよしみで自己紹介でもしませんか?どうせ暇ですし」
話を変えるのが早い奴だな。
「あぁ、いいよ。俺は霧島 亮、お前は?」
「九条 朔夜です。よろしくお願いします」
こうして俺は、後ろの席のやつと知り合いになった。
これは俺の進歩と言えるのだろうか・・・
昼休み。
シンプルな授業終了の合図が鳴った。
やっと飯の時間か。
するといきなり圭吾が叫んだ。
意外なやつも含めて。
「昼だ!!」
最初に圭吾。
「弁当だ!!」
次に直樹・・・って、え?
「昼飯だぁぁぁぁ!!!!」
最後に二人そろってフィニッシュ!
ナイス実況だ!俺。
・・・虚しい。
そんな事は置いといて、二人は一瞬で教室中の視線を浴びる。
「いつから仲良くなったんだ?あいつら」
「ユーモアなお二人ですね」
朔夜が笑う。
そして俺も、つられるようにして笑いがこみ上げてきた。 |