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いつもの空+時々雨
作:Izumo



第10話:"鬼人"と呼ばれた者の噂


放課後。

学校に用がない生徒達が下校する中
俺は凪から、体育館裏という
いかにも古典的な場所に呼び出されたため
俺は圭吾と共に向かう事にした。

体育館裏に着くと凪が腕を組んで仁王立ちしている。

「――んで、どうなんや?神田は来るのか?」

「いや、用事があるから無理だってさ」

本当は聞いてないけどな。

「なんやて!?・・・そうか、わいが怖いんやな。
口ほどにも無い奴やなぁ」

そう言って突然大笑いした。

こういうのを自惚れっていうのだろうか。

「やっぱりわいの相手は・・・霧島!お前だけや、わいと勝負や!」

「結局それかよ」

笑いたいが、それを通り越して呆れたよ・・・

「俺は必要な時以外で拳はつくらねぇよ、諦めろ」

「せやからわいと戦えと言っとるんじゃい!」

言ってる事がめちゃくちゃだよ・・・

「・・・しゃーない、奥の手や」

そう言うと凪は両手をメガホンの代わりにして口元にあてた。

何をする気だ?

「猫のバカヤローー!!」

「っんな!?」

っと駄目だ、理性を保て俺!

「猫じゃらしを見ると追いかける単純動物!!」

理性を保て!たも・・・

「猫なんて、大嫌いやーー!!!」

プツン・・・

「猫なんて・・・ってあれ?なんや霧島?
そのとてつもない殺気は!?ま、まつんや霧島!まっ・・・」






亮がプツンっとなるほんの少し前。

亮の怒りが爆発寸前なので
ナレーション(?)を俺、圭吾に変更させていただきます。

「アシスタントの葵ちゃんでーす」

「おわぁ!!」

いつの間に!?

誰だ、こいつ!?

「あっと、ごめんごめん、初めましてだね!
私は篠塚 葵だよ、よろしくー!」

「おう、俺は本田 圭吾だ、よろしく」

あぁ、亮が前に言ってたバスのフラグの子か。

「で、どうして亮はあんなに怒っているの?」

葵ちゃんが指をさす方向を見ると
亮がとてつもない殺気をだしているようだった。

「さっき凪が猫を馬鹿にしていただろ?
それに対して怒っているんだよ」

「え?何で猫?」

・・・まぁ別に話してもいいだろ。

「あいつの家系の血は大の猫好きなんだ。
猫を見ると自分を抑えきれなくなり、猫以外何も見えなくなるらしい。
まぁ猫バカってとこだな」

「へぇー!面白いね!」

「面白いだけだったらどれだけいい事か・・・
ちょっと昔話だ。今から丁度一年前
亮がまだケンカをしていて
"鬼人"の名で恐れられていた頃の事だ。
他校の奴が亮の猫好きの情報を手に入れたらしくてな
三人がかりで、今であらわすと凪みたいに
大声で猫を馬鹿にする言葉を言いまくったんだ。
その時の亮、本当に怖かったよ。
疾風のごとく真ん中の相手の懐に入り込み、みぞおちに一撃!
そしてすぐ横にいた奴の顎に、勢いよく蹴り上げ!
最後に唖然としている奴の首を片手で鷲づかみ!
そして最後にそいつに向かって・・・って葵ちゃん、聞いてる?」

「うん、聞いてたよ。けど今、圭吾が言ってた事が
リアルタイムで行われてた・・・」

そう言って葵ちゃんは再び亮の方を指差す。

「あ」

思わず声が出てしまうような光景だった。

亮が凪の首を鷲づかみにしていた。

「もう一度猫を馬鹿にしてみろ。この首をへし折ってやる・・・」

まずいな。

何とかして亮を止めなくては・・・

俺はとっさに携帯を取り出し、ある人物の携帯にコールした。

「・・・あ、もしもし!亮が暴走したんだ!頼む、止めてくれ!」

相手はすぐに了承し、亮の耳元に携帯をあてるように指示してきた。

俺は急いで亮の耳元へ携帯をあてる。

『この、バカ兄貴ーーー!!!!!』

携帯から離れているのにクリアに聞こえる一喝。

そう、亮が唯一敵わない相手。

それは妹、夢月ちゃんだった。

もちろん伝説の引退も彼女の命令だ。

夢月ちゃんが中学に入学して数ヶ月経った頃
亮の"鬼人"という噂を知り
始まったばかりの中学校生活をその噂で滅茶苦茶にされたくない、と大激怒。

その結果、伝説を引退させ
本当に必要な時以外は拳をつくるな
という制限をつけられたってわけだ。


まぁ、今回の原因を説明したら
必要な時、とみなすかもしれないがな・・・

何はともあれ、亮の暴走が止まってよかったよ。

「一件落着、だね」

「まさにその通りだな」

凪はぶっ倒れていて、亮は携帯片手に唖然としているという

異様な光景だがな・・・

とにかく、早めに亮を連れて帰ろう、と思う俺だった。












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