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57,泥

【名前】エイシ=チョウカイ

【クラス】パラサイト36 マーシナリー16 魔道師18 剣士16 神官23 狩人16 呪術師25 闘士15 鉱員20 シーフ21 精霊使い20 エンチャンター22 ファーマー21 パラディン13

【体力】 256

【攻撃力】 244

【防御力】 271

【魔力】 251

【魔法攻撃力】 250

【魔法防御力】 282

【敏捷】 231

【スキル】 盾マスタリ 防具マスタリ リジェネレーション 形質付与 一番槍 ブレイドシールド 魔法障壁 魔力弾 命中強化 呪術強化 衰弱の呪 諸共の法 不屈 火事場 農具マスタリ 目利き(土) 養分変換 対呪障壁 スピードブースト ステータスドレイン 促成栽培 目利き(植物)……


 最近はパラサイトで手に入ってくる経験値が増えてきた。

 この調子でいきたいね、パラディンも着々と成長しているし。

 パラサイトしている冒険者が成長したからだろう。レベル10代後半になるとなかなか上がりにくかったのだが、結構高まってきた。

 リサハルナのいるスノリへ行ったときより、さらに俺も成長したと思う。


 そのリサハルナらが今度はローレルへ来ているので、一緒に神殿をひととおり参った俺たちは、それからしばらく町の他の所も歩いてまわった。


 そしてしばらく後、用事を終えたリサハルナは村へと帰っていき、乗り合い馬車の上の彼女を見送ると、俺とアリーも各々の住処への帰り道を歩いて行く。


 とそのとき、前方から早足で歩いてくる者がいた。

 綺麗になでつけられた髪が目立つ青年、グラエル=トレースが。


 グラエルは俺たちの前で珍しく靴に泥のついた足を止めると、目にかかる髪をどけるように頭を振った。


「この前のことは、あいつらが雑魚すぎただけだ。いい気になるなよ、冒険者」


 いきなりそれである。

 さすがに面食らうよね。出会い頭に挑発されると頭にくるとかより、変な人にあっちゃったよ……って気分になる。しかしあの白銀騎士達に向かって酷い言いぐさだ。

 グラエルは答えを待たず、アリーに今度は声をかける。


「やあ、アリー。まだ、こんなものと一緒にいるのかい。品位が落ちるよ、家のためにもいい加減にやめることをおすすめする」


 開口一番、それである。

 この前の工房のことで懲りたかと思ったが、そんなことはなかったようだ。

 俺の力にあの時は戦いていたように見えたが、もう忘れたらしい。やれやれ。


「ご心配いただかなくて結構です、グラエル様。私も自分たちのことは考えているつもりです」

「ふっ、相変わらず気が強い。この僕に対してそのようなことを言えるとは……まあ、何も知らないなら無理はないかな。だがもうすぐにわかるさ。僕の力が。あとになって媚びるより、今から媚びておく方が心証はいいと思うよ」


 言いつつグラエルはアリーの黒く艶のある髪に手を伸ばすが、アリーは「あとでも媚びません」と言ってやんわりと制止しながら、さりげなく身をひねってかわす。

 なかなかたくみな動きだ。

 グラエルは伸ばした手を少々ばつが悪そうに引っ込めつつ、表面上は余裕の表情を装っていて、ちょっと笑える。


 そんな空気を吹き飛ばしたいかのように鼻息を荒げると。


「そういう態度をとられると、余計に力尽くでねじ伏せてみたくなるよ。ふふっ、いずれといわず、もうすぐにわかるさ、僕の力が。楽しみにしていたまえ」


 そう言って、早足で立ち去っていった。

 残った俺とアリーは、目だけを動かして見合う。


「この前絡まれた時にちょっとお灸を据えたつもりだったんだけど、まだ甘かったみたいだね。あんな風に負け惜しみを言えるようじゃ」

「簡単には変わらないということですね、人間というのは。……しかしエイシ様、負け惜しみとばかりも限りませんよ」

「どういうこと、アリー?」

「秘宝の力があれば、侮れません。彼はそのあたりの情報はよく知っているはずです。もちろんお話ししたように、いくら貴族でもちょっと腹が立った相手に思い知らせるなどという理由では使用許可はおりるはずもありませんけれど」


 それは当然、好き放題ではないだろうな。

 だからグラエルも当然口だけってとこだと思う。いくらなんでも腹が立つってだけでそこまでリスキーなことはしないだろうしね。




 しばらく歩いて、俺とアリーは別れ各々の家路についた。

 宿に帰った俺は、最近ちょくちょくやっていることだけど、先日復活させた畑の様子を見に行った。

 異変は、そこにあった。


「え――どうしたの、これ」

「エイシさん……ごめんなさい、せっかく使えるようにしてもらったのに、こんなめちゃくちゃになっちゃって……」


 畑が見事に荒らされていた。

 作物が育ちにくくなっていたところを蘇らせ、また作れるようにした畑だが、そこの作物が折られ、根が掘り返され、酷い有様になっている。

 マリエがそれを力なく片付けたり、植え直したりしていたのだ。


「何があったの、マリエちゃん」

「わかりません。私が見に来たらこうなってたんです。誰かに荒らされたみたいですけど、誰がそんなひどいこと……。せっかく、エイシさんのおかげでまた育ってきてたのに」


 マリエは力なくうなだれた。

 しかし、手は一定のリズムでずっと作業を続けている。悲しみを紛らわせようとしているように。

 自分が大切に面倒を見ている作物を滅茶苦茶にされるなんて、本業ではなくともつらいよな、絶対。


 それにしても、いったい誰がそんな酷いことを――まさか!

 瞬間的に、俺を見て不自然ににやにやと笑っていたグラエルの顔と、靴についた泥が頭の中に浮かんだ。

 あの男が泥のあるところを何もないのに歩くだろうか?。


「――あいつ!」


 俺はかけだした。

 さっきすれ違ったところまで急いで戻り、歩いて行った人に尋ねたりもして周囲を探す。


 滅多にいない貴族なので目立つこともあり、ほどなく見つけることが出来た。

 町の一角にいたグラエルの背後から手を伸ばし、俺は肩をつかんだ。


「おい!」

「なん……お前か、何様のつもりだ、僕の肩をつかむなんて」

「こっちの台詞だ、人の家の畑をあらしておいて。あんな女の子が頑張って世話してるところを、どういうつもりだ」


 俺の言葉を聞くと、グラエルが歯を見せて嫌らしく笑った。


「さあ、なんのことを言ってるんだ? わからないな」

「とぼけるな、靴についてる泥はなんなんだよ、普通に町歩いててつかないだろう、そんな風に」


 グラエルは足下を見て、小さく頷いた。

 だが笑みは絶やさない。


「なるほど、たしかについてる。だけどこれは前からついていたやつさ。僕でもたまには身なりのチェックが甘くなることがあるんだなあ、失敬失敬。ふふ」

「なんだと……!」

「証拠はないだろう! 靴に泥がついてる奴なんてこの町にいくらでもいるぞ! そいつら全員を犯人よばわりするのか!」

「……ぐっ」


 たしかに、正論だ。

 あんなことやるのはこいつしかいないだろうが、証拠にしては弱すぎる。


 グラエルは余裕のある表情で俺を見つめている。

 その肩をつかむ手から、俺は力を抜くしかない。

 グラエルは勢いよく手を払うと、服を直し俺を睨む。


「ふん、これだから下賤の者はいやなんだ、愚かで道理がわからない。まあ、誰がやったにせよ、君や君の周囲の人が嫌な思いをするなら、いいざまではあるな。大事に世話をしてた畑が、ぐちゃぐちゃで、茎も折れて、根も掘り返されているなんて、ははは。濡れ衣を着せるより、早くなおしてやったらどうだ?」

「……まるで見てきたみたいに詳しく語るじゃないか」

「想像だよ、想像。僕が99%やってそうだとしても、何も証拠はないだろう? そうであるかぎり君は僕に手を出す正当性はもたない。僕がやったと思いながらも、指をくわえて見るだけしかできない。いいねえ、いい気持ちだよ、その悔しそうな目。おっと、もちろん僕は何もやましいことはしていないけどね」


 間違いない、こいつがやったのは。

 あえて俺がそう推測できるようにしてるんだ。そして、証拠がないから手を出せないで悔しがってる俺の顔を見て悦に入ってるんだ。

 見つかりやすい場所をうろついていたことすら、そのためかもしれない。


 グラエルは嫌味な笑い声をあげ、俺の肩を叩くと、満足げに去って行った。


 ――さすがに、見過ごせないな。

 俺だけなら適当にあしらってもいいが、泊まってる宿に迷惑かけるようじゃ、放っておいてはマリエにも宿親父にも申し訳ない。

 それに、そういうことをやられると何より俺がムカつく。


 去って行くグラエルの背には、俺の手から金色の線がのびている。

 さっき、パラサイトしていたのだ。


「ふ……ふふ、お前は一線を越えた。俺も遠慮無くこえられる」


 俺はパラサイトビジョンを発動する。

 これから二十四時間、いつでもグラエルの行動は監視する。

 寝室だろうが、仕事中だろうが、トイレだろうがなんだろうが。そしてお前の人に見せられない秘密を暴いてやる。


 証拠を残さないように相手を殴り飛ばすことは、今の俺なら可能だろう。

 でも、そんなことしても痛みは一瞬だ。

 それより、グラエルのことならおそらく埃が何もないなんてことはないはずだ。そいつを白日の下にさらして、永遠に人々の記憶に焼き付けてやる。


 奴にとっては、虚栄心を傷つけられることが、肉体を傷つけられるよりもっと痛いはず。だから、そこを潰してやる。

 俺の安寧の場所を荒らした罪は重い。



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[良い点] 面白いです [一言] 魔術はささやくの主人公を思い出しました あとはるろうに剣心のべしみですかね
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