1−7
ドスン…
派手な音をたてて、ケルベロスは倒れた。
―――…嘘?…倒れた?
あたしは一瞬、何が起こったのかわからなかった。
おそるおそる近づくと、ケルベロスは真っ青な顔をして、口から泡を吹き、足が痙攣していた。
「……倒したの?君ほんとに人間?実は怪物だったんじゃないの?」
番人の声が頭上から降ってくる。
そこで初めてあたしは自分が勝ったんだ、と自覚した。
「まぁ…倒したんだから、こっちに来なよ」
ガラララっと音をたてて、柵が上がっていく。
と同時に洞窟の壁が崩れて、中から下へ続く階段が現れた。
すごいなぁ…地下都市とか…いろいろ作れるんじゃない?
ちょっと感心。
あたしは一回だけケルベロスのほうを振り返って、階段を下りて行った。
……いつまで続くんだろ?
少し疑問に思いながらも下りていくと、鉄の扉があった。
扉を見ると思いだす。さっきの黒ミミズ…
まだ服には黒ミミズの汁が付いていて、腐臭が漂っている。
いまさらだけど…あたしって何者?
幻覚を見破って、黒ミミズの大群から抜け出して、さらにはケルベロスまで倒して…
たぶん…普通の人間にはできることじゃない。
それに、あんなに速く走ったのに息が切れないし、変な声が聞こえるし!
あたし人間なんだよね?
あたしは鉄の扉に手をかけた。
…あれ?
開かない。まさか…また罠!?
あたしはとっさに扉から離れる。
でも扉に変わった様子はなく、ドーンと待ち構えているだけだった。
「もう!なんだよ!!」
あたしはおもいっきり、扉に蹴りをくらわした。(やつあたり)
ガンと、鈍い音が響くだけで扉は開かなかった。
「いったぁ…酷いじゃん。もぉ…」
やっぱ、やつあたりはよくないね。…よい子はマネしないでね!
あたしは足をさすりながら、扉に向きなおった。
―――どうやったら開くんだろ?
………
そっかぁ!!
「開け!!ゴマ」
…シーーン
やっぱり扉は開かない。
呪文の言葉じゃ駄目かぁ↓
ついにあたしは諦めて、地べたに座り込んだ。
〜約5分後〜
あたしが大きなあくびをしていると、ギィっときしむような音をたてて扉が開いた!
「やった〜♪」
あたしはルンルン気分で扉をくぐると、モニタールームみたいな部屋の奥に、大きなテーブルを囲んでのんきにお茶を飲んでいる番人がいた。
モニターには、さっきの地下迷宮のいろんな部分が映っていた。
あの白い扉の所も、ケルベロスの倒れていたところも。
「あっ…やっと入ってきたの??」
番人はやれやれといった感じで腕組みをしている。
あたしはカチンときた。
「やっと…じゃないでしょ!!あんたが開けてくれないからずーっと待ってたのに…」
「…はぁ?何言ってんの?ドアの開け方間違ってたから、そうなるんだよ」
「え?」
番人はドアのほうに近寄って、あたしを手招きした。あたしが黙ってそっちに行くと、番人が外に出てドアを引いてみな。と言った。
あたしは外に出てドアを引くと、ガチャリと音がしてあっさりドアが開いた。
「ほらね♪」
番人が機嫌良さそうにピースをするとあたしはたちまち顔が熱くなった。
「まぁ、よかったじゃんちゃんと開いて。んじゃ、ここまでちゃんと来れたんだし第一ステージ【地下迷宮編】クリアってことで!」
そう言ってあたしに大きな拍手を送った後、何やら紙にメモを取っていた。
「あの…あたしの記憶は…「いいから。とりあえずこっち来て」
あたしの言葉を強引に遮ると、番人はさらに奥の部屋に入って行った。
あたしも続いて入るとそこは研究室みたいなところで、とある機械の前に番人がいた。
「え〜と、あたしの記憶とクロは?」
「いいから、いいから。さぁ、入った入った…」
あたしの質問は完全に無視され、あたしは無理矢理機械の中に入れられた。
…蒸し暑いなぁ。
「よっし。久々に転送するかぁ…スイッチON!!」
へっ?いまなんて?
あたしが入った機械って転送装置!?
「君なら次もクリアできると思うよ!がんばれ〜」
え…
あたしの記憶は?クロは?
機械は激しく音を立てて動きだした。
「んじゃ、またね(^o^)丿」
えーーーー!!
あたしどうなんのーーー??
番人が手を振った後、ヒュンと音がした。
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