1−5
…?
気のせいかな?まぁいいや!
あたしは足を動かそうとしたけど、なぜか動かない。金縛りにあったような感じ…たぶん。しかも、足だけじゃなく口すら動かない。
―――これってある意味、ピンチ?
どうしよう…
いや待て!落ち着け自分!
そう自分に言い聞かせてるつもりだけど、心臓がバクバク言っている。
その時、またあの声を聞いた。
『落ち着け、冷静になれ。前にあるものをしっかり見極めろ』
誰だか知らないけど、いいことを言う。その通りだ。
あたしは、目をつぶって大きく深呼吸をした。不思議と、心臓がおとなしくなる。
あたしはゆっくり目を開いた。
するとそこにはさっき見ていた光景とは、まったく別のものがあたしの眼に映った。
真っ白に見えていた床や壁は、ぼろぼろの板きれになっていて所々に穴が空き、ミミズのような蛇のような黒いものがうねうねと動きまわり、しかもそれがあたしの足やら手にしっかり巻きついている。さらには、腐ったような異臭があたしの鼻を襲った。
さっき見ていたお城のようなところが目を開けると実は、オカルト好きも来ないようなお化け屋敷になっていた…嘘でしょ?
でもあたしは、考えるよりも早く黒いミミズを振り払い全速力で走った。しかし、黒いミミズは執念深く足や腕に絡まって、あたしの行く手をさえぎる。
「あ〜シツコイ!!」
あたしは、体に黒ミミズの汁を浴びながらもお化け屋敷を出た。
そして、あの門の前までくると黒ミミズは諦めたのか、すごすごとお化け屋敷に帰って行った。
―――助かった。
あたしは門を開き洞窟に戻った後、力が抜けてその場に座り込んでしまった。
足は痛いし、黒ミミズのせいで服がべたついてるけど…
よかった。
ふぅと息を吐いてから、あたしは立ち上がった。助かったのはいいけど、また一からやり直しだ。
そう。
まだ終わってないんだ。
番人との勝負。
あたしの命を懸けた戦い。
「へぇ、意外…俺のペットが君のような人にやられるなんて…ちょっと簡単すぎたかな?」
あたしは聞いたことのある声、つまり番人の声に振り向いた。
しかし姿はなく、洞窟の奥から響いてきているみたいだ。
そしてあたしはその声のするほうへ吸い込まれるように、歩いて行った。
「まぁ、それは俺が優しいからなんだよな、うんうん。だけどね、そんな簡単にクリアされちゃ、困るから…」
そこで番人の声は途切れた、と同時に上から柵が下りてきた。もう、もどることが出来ない。
しかも何かの気配がする。
あたしはおそるおそる前に進み、大きな目玉を見つけたとき止まってしまった。
大きく赤く光る目。それは、おおきな犬のような動物の目だった。
あたしが、その大きな犬を見つけたとき番人の声がふってきた。
「第二ラウンド開始♪」
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