2−3
「あなたが番人?」
「ええ、そうよ」
相変わらずの仏頂面で、茶髪の髪を一つにまとめたスーツ姿の番人。
なんだか普通のOLっぽいけど、黒い縁取りの眼鏡の奥に光る眼だけが異様だった。
「あの…」
「何?喋るときは相手の顔を見て喋るのが礼儀なのよ。ぼそぼそ喋るんじゃなくてはっきり喋るのも礼儀よ」
恐っ!
睨まれた!
「これからどうするんですか?」
あたしはビクビクしながら番人の顔を覗き込んだ。
「あなた…何か忘れていないかしら?」
「え…?」
あたし何か忘れているっけ?空っぽの脳みそをフルに活用して記憶を探る。
でも根本的に記憶ないからなぁ…(笑
「あなた、かなりの能天気なのね。クロのところに決まってるじゃない」
「あっ!忘れてた…」
そういや、クロどこに行ったんだろ?
あの時あたしと一緒に流されたんじゃないのかな?
「忘れたって…酷い子ね…」
「えへへ…」
「えへへ…じゃないでしょ?笑う前にさっさとクロを探しなさい、そして私のところに来るのよ。それが出来たら、次のステージに飛ばしてあげるわ。あと、さっさとここから離れることね。じゃ…」
「え…ちょっと!!」
気づけば番人は、幹から幹へ身軽に飛び移り、もう姿が見えなくなっていた。
ハイヒールで身軽に飛べるんだなぁ…ってか、なんでこうなるんだよ!!
あたしはそこに立ち尽くすしかなかった。
と、言ってもあたしは番人の言う通りにしないとどうなるか分からないので、とりあえず立ち上がってあたりを見渡した。
―――なんか大きな池?って感じ。
どうやら、洞窟からはもう水が出ていないみたいだけど水が完全に引くのには時間がかかりそうだ…と、なると?
あたしは番人が飛び移って行った幹を見た。
流石にあたしはあんなジャンプできねーよ。それなら…?
あたしはある物を掴んだ。
そして勢いをつけて飛んだ!
「あ〜〜ああ〜〜あ〜〜(一度やってみたかった。)」
結構気持ちいーい♪
でもさ、ターザンは毎日こんなのやっててよく体がもつよな…
あたしはある物…っていうか、蔓を離して次の蔓に掴まる。
【危険ですので真似しないでください】
うんうん。いい感じ…
「あ〜ああ…(ゴンッ!!
あたしは何か柔らかいもの?にぶつかりました☆★
【普通の人間だったら死んでるので、真似はしないでください】
「…ったく、なんだよ!むかつ…」
あたしは言葉を詰まらせた。
だって…目の前にいたのが!!
「か…可愛い!!」
あたしは目の前にいた真っ白なフサフサした動物?を抱き上げた。
超!可愛い!
「そうだ!名前つけてペットにしよう!!」
***
「あの子…ちゃんと、森を抜けたのかしら?」
私は後ろを振り返り、耳をすませた。
なかなか音が聞こえない…どうやら、あの子はまだ森の中ね。
『お〜い。蓮の兄貴から手紙だ!!』
不意に地面がもりあがり、中から茶色いモグラが顔を出した。モグラは口に小さな紙切れを銜えていた。私はそれを受け取った。
「お疲れさま。あなたも大変ね」
『まぁ…うん。あっ!返事はいらないそうなんで』
言ってからモグラは、また穴に戻った。
私はモグラから受け取った紙切れを開いた。中は、あの蓮の達筆でかかれた文字がつらつらと並んでいる。
手紙に書かれていることは…あの子たちには酷なことだった。
「ふ〜ん…へぇ…」
私は一通り手紙を読んだあと、ポケットに手紙を突っ込んで空を仰いだ。
空には雲ひとつない。
この空の下で…
このちっぽけな世界で…
あの子たちは何を得るのかしら?
それとも…
何かを失うのかしら?
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