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rotoio人外ものシリーズ

mine

作者:ゲストa
私の上官は、難儀な人だ。

いや、人と言っても自前の毛皮付き、難儀な狼男だと言った方が正確か。
適度な長さを持つ黒灰の見事な毛並みは喉元とうなじが特に豊かで、より正確を期すなら難儀だけれども格好いい獣人だ。

そして薄い黄褐色の瞳は艶やかに潤んでいてドキドキもの、大きな口元をぞろりと彩る牙の野性味に痺れ、人語も流暢に操るけれど戦闘時のびりびり来るような咆哮にはときめく他なく、でも急に尻尾を引っ張ってみるとヒャン!とか裏返る声は犬のそれでまぁ可愛らしい、しかしきりが無いので以下略。

要約すれば、惚れている。
因みに私は残念ながら人間種だ。
名を、ビスタという。





――ドンッ!


空気はおろか夢まで揺らす、不審な物音に飛び起きた。
夜の帳の内、見回せば一人。

「ビスタ」

なのに、聞き慣れたこの声はどこから?
幸あれ我が名よ、確かに彼は呼び易いと言うが。

「ビスタっ!」

……気に入ったのはそこだけですか?
語調の荒れていく呼び声に応え、夜着のまま隣室へと全力疾走。
隊長の部屋は、開いていた。

「ビスタビスタビスタビスタぁっ!!呼んだらすぐ来いといつも言ってるだろうが!」
「すみません隊長!ですが夜中です!!」

「言い訳など聞かん!恥を知れ!!」
「ああっ恥ずかしい~!!以上、反省を終わります、失礼しました!」

「帰ってくな馬鹿者がっ!!それに他の奴らに迷惑だろう大声を上げるのは止めろっ、何時だと思ってる!?」
「他人事っ!?…………いえ、任務を離れ寛げる極めて私的な時間だと思っておりますが、何用でしょうこんっっなに遅くに?」

「撫でろ」

あからさまに込めた非難を綺麗に無視された上、突き付けられた要求は簡潔すぎて脈絡がない。
いつもの事である、隊長すぎてむしろキュンと来たがそんな場合でもない。
とにかく部屋に踏み入り、扉を閉ざす。
隊長の声は大きいので、そんなもの気休めにしかならないのだが……。

「隊長、申し訳ありませんが命令の趣旨が解りかねます」
「首、腹、背だ。力加減は追って指示する」

「あぅ…………ええと、犬的に良い場所を?」
「犬じゃねえっ!!」

その辺は置いといて、だ。
撫でろと言われれば撫でもするが、このような奉仕は上官と部下といった枠組みを外れた感がある。
隊長は本来そういう所にうるさいが、何故か私相手には無体なものだ。

どうか時間と場所を考えてほしい。

次の任地への移動途中とはいえ一日馬に跨るのは結構きつい、基礎体力からして人は獣人に劣るというのに。
まして私は女である、体力的にも肌の為にももう夢の中に居たい時刻なのだ。
何より、夜中に憎からず思う殿方の部屋に呼びつけられて、大きな寝台の上で手招きされるのは少々心臓に悪い。
嗚呼、目が眩む……真っ白な敷布がちらちら陰るのは緊張のせい?いや、抜け毛か。
この宿屋は主に人間種用、後の利用の為にもおやじ殿の心証を悪くするのは避けたい。
明日は出発の前にこっそりはたいておかなければ。

被害を確かめようと無意識に近寄っていたのか、ゆっくりと身じろいでいる大きな身体はいつの間にやら目の前に。
私より頭二つは高い背もさることながら戦うことを生業とした身だ、発達した筋骨をもふもふの毛皮が嵩上げし、眼光鋭い獣面が止めを刺して、隊長の備えた威圧感は初対面のお子様を必ず泣かす。

よって当人は人間の子供を大の苦手とし、その姿を見かけるだけで立派な尻尾が警戒にピンと持ち上がる様は微笑ましい。
というのは控えめな表現で実際爆笑、結果八つ当たり気味に小突かれるのは結構痛い……。
しかしその獰猛で優美な均整を備えた姿態には、日頃傍にいる私達でさえ時に畏怖を覚えるのだから、真に同情すべきは隊長に遭遇してしまったお子様達だろう。

話を戻すと他にも、地味に問題な事柄が一つ。
隊長の服装はと言えば人の部隊に居るからだろうか、郷に入ってはというやつなのか、普段はシャツにズボンとごく普通の格好をしているのだが、これがどうにも違和感がある。
自身の毛皮の方がよほど見栄えがするし、聞くところによると保温性においても服など不要らしい。
隊長も窮屈そうで、任務に付けばそんなもの存在も忘れたとばかりにほぼ防具だけの姿だ。
しかし、当然のように今この場でもシャツ無し防具無し、薄っい下着一枚というのは……。
正直、目のやり場に困っている自分に、困る。

人を招いた掌には厚く剛い爪、みっしり手の甲までを短い毛が覆い、掌は無毛でも肌の質感が人とは違う。
剣ダコさえ出来ない頑強な皮膚は、しかしきめ細かでひんやりとしていて……。
今は気忙しく、パタパタと自らの隣を叩いているのだが、さてどうしたものか?
だがろくに悩む間もなく、隊長が痺れを切らしてしまった。

「かかれっ!!」
「はっ!」

号令に弾かれ身体が勝手に動いてしまうのは兵士の性である、葛藤を飛び越えて身体は寝台の上へ。
まずは……首だったか。
長い首筋をふさふさと覆う毛は見た目よりも柔らかく、無論撫でるにやぶさかではない。
感触を楽しみつつ梳くようにそっと撫で付けてみたのだが、容赦のない叱責が飛んだ。

「ふざけるなっ!お前の腕はその程度か!?餓鬼でも貴様よりは巧くやるぞこの腑抜が!貴様は一人前か?それとも役立たずのゴミ虫かっ!?真面目にやれ!!いいかっ気合いを込めて――!!」
「――撫でくり回せ、と?」

「当然だっ!!」
「な~にが当然ですか」

近所迷惑も甚だしいので、言い返そうと開いた大口にそこらに在った布を捻じ込んだ。
夜中にいたいけな部下を叩き起こして安眠を奪い、多少スレたが女の純情を半裸の姿で弄び。
ついでに慰撫を強請るなら、絶望的なまでに色気の無い軍隊式の煽りは大失敗だ隊長。
しかしこの私は出来た部下にして恋する女、ヤってやろうじゃないか?


――この技巧……知らぬ儘なら、戻れたモノを。


昔は、犬を飼っていた。





大きく跨いだ足の間で、よがりによがる犬っころ……いやさ隊長。
めちゃめちゃ潤んだ目で切なげに見上げてくるが、哀願の内容が制止ではない事には自信があった。
なにせ下敷きを免れた大きな尻尾がわっさわさ乱舞し、日頃は凛々しく立つ大きな耳もへにゃっていたりする。
いいねぇ……獣人が持つ、こういった感情丸見えの部位を私は愛している。

調子に乗って鉤にした指を深く差し入れ、地肌を掻き毟るようにけれど繊細に刺激する。
言うまでもなく両手で攻め立て、時に同調させ一点を、時に不規則に二点を責めるのが効果的だ。
耳の裏や眉間など敏感な個所をも織り交ぜ、恍惚と彷徨う目の周りを悪戯に辿ると、綺麗な眼から生理的な涙がぽろりと。
毛皮の薄い腹は割れた腹筋をなぞる様にゆっくりとねちっこく、躊躇いを捨てて下の下まで。
全身を波打たせ息を荒げた隊長の姿、その興奮を、熱を、勘を取り戻していく指が煽り、啜り。

犬は汗をかかないが、獣人は少しだけかくらしく次第にぺったりとしていく黒灰の毛並みは、敷布をも染めて。
参った、更に抜け毛だらけだ……今度機会があればまず櫛掛けからやろうか。
昇る体臭は人とは異質、しかし微かに香草が香り獣の臭いを和らげている。
臭い臭いと人の石鹸を嫌う隊長の嗜好に合う物を探すのは酷く苦労したが……そうか。
きちんと、使ってくれていたのか。

「さて後は……背中でしたか?隊長」

キュウゥ、と喉を鳴らすだけの隊長。
言葉もない……というわけでもない、捻じ込んだ布切れが邪魔なだけだ。
律儀に咥えられていたそれはどうやら隊長のシャツだったらしいが、涎でしっとり。
ついでに喰い締められた拍子に付いた裂け目が見えたようだが、気のせいに違いない。

「どうしました?」

そっと件のシャツを抜きとると、裂け目っぽいものが隊長から見えない位置に押しやる。
このシャツは特注だと聞いた、ばれると懐が痛い。
自由になった血色の口腔はしばし空気を貪っていたが、やがてギリ、と結ばれた後。

「今日はこの辺にしといてやる……行って良し!」

満足気な眼を見れば分かる、これは負け惜しみではない。
撫でられたいというやや愛玩動物的な欲求が赴くまま仰のいて部下を腿に乗せ、息を上げ、汗ばんで、へとへとになっても自らの威厳というものに何ら疑問を覚えないこの姿勢。
うっかり感動してしまった。

「はっ、ありがとうございました!!」

最後に額をなでなでしたのは分を超えていたような気もするが、隊長からの咎めはなかった。
何を今更と思ったのかもしれない、実は私はそんなノリだった。
睡眠時間の不足は痛いが、隊長の乱れる姿にはそれ以上の価値がある、思えばいい汗をかいた。

「失礼致します」
「ああ、ご苦労」

一礼し、そして引き開けた扉の向こうから、見知った顔がぼたぼたと倒れ込んで来た。
こんな夜中に何事だ。

「……二人とも、何をしているんですこんな時間に?」
「馬鹿っ、だからさっき引き上げようって言ったじゃないか!」

「るっせぇ!結局お前だって残ってんだ、今更何だよ!?」
「何をしているのか答えろ、ルーイン、ジャド」

足音一つ立てない流石の身ごなしで、早くも隊長が私の後ろにいた。
声に先程までの満足感は名残もなく、ゆっくりと苛立ちが湧き上がってきた。


――台無しじゃないか…!


不機嫌に睨みつけるが、ルーインもジャドも険しい雰囲気を撒き散らす隊長に視線は釘付けだ。
二度促されるという失態は犯さず、ジャドがその軽過ぎる口を開いた。

「オレ達は斜め向かいの部屋なんですが、その、妖しげな軋みと呻き声みたいなのを聞きつけ、これは男なら行かねばなるまいと決意しまして――」
「黙ってジャド、あんたはバカだ。墓穴掘るなら一人分にしてよ、僕まで巻き添えになっちゃう。だから黙れ、いいね?」

「もう全てジャドがぶっちゃけたようですが?今更取り繕うのは難しいでしょう」
「何言ってんのビスタ、まだ共犯から主犯とその巻き添え役に収まることは出来る」

「汚ねえぞルーイン!!お前って奴はっ……もう絶対ぇ誘ってやんねえかんな!!」
「望むところだよバカ、こんな肩透かしなら二度と御免だね」

「息止まる程笑ってたじゃねえかっ!?」
「あっは!思い出させないでよあの隊長がっ……んんっ、まぁソレはソレ」

背後の殺気がひたひたと増してゆく。
本音だだ漏れのルーインもまた口が災いする性質だが一向に自覚しないようだ、何という同類っぷりだろう。
まあ、聞けば下らない動機だったが、気になる点が一つだけ。

「二人とも、ここが誰の部屋か分かっていましたよね?」
「当然だろ?だからこそ眠いのを押してだな、禁断の――」

「あ、バカっ……ホント馬鹿だ!!」

その言葉は、私の闘争心に火を点けた。


『――禁断の……何だ?』


奇しくも重なった台詞は私と隊長の分だ。
視界の端でルーインがこっそりと退却を図ったが、隊長が低く唸って牽制する。
そんな攻防の分、次に口を開いたのは私だった。

「君達が獣人女性に欲情した事は知る限りない。だがは今夜この部屋に情事を期待し覗きに来た。となれば答えは一つ、君達が反応したのは我らが隊長というわけだな?あまつさえ戸が開いた途端押し入るなんて……何を企んでいた?そこまで飢えているのか!?君達こそ獣だっ、ケダモノだよっ!!」

「はあぁ~!?おまっ、誰がこんなごつい野郎にっ!?見ろっ、考えるだけで鳥肌立ったじゃねぇか!!」
「そうだよ何でそっちに行くのさっっ!?隊長相手にハァハァやる野朗なんて変態だけだ、僕達がそう見えるってのっ!?」

「ふん、否定するのか?口では何とでもいえるさ。だがこの状況が動かぬ証拠、扉が開いた瞬間二人して隊長をっ……何て奴らだっ!!相手をどうするつもりだったのか知らないが、出て来たのが私で随分慌てたようだな!?」
「気色悪りぃこと言うなぁあああぁっ!!おぞましい……っ大体オレ達は、お前の部屋が開いてんの見ててっきりだなっ!?」

「……私――?」
「――てっきり何だ?何を想像した……?どういう状況を期待しやがったゴルァ、あぁン?」

「ジャド!!もうあんたの友達止めたいよ……」

ああ、二人に詰め寄る隊長が笑っている。
というより、牙を剥き出しにした表情が人間でいう笑顔のように見える。
この表情の意味は威嚇、そして問答無用の憤怒。
キレている、と言ってもいいかもしれない。
やはり人間種、それも雄に邪念を抱かれるという状況は耐え難いものなのだろう。
ジャドは喋るどころではないが、何を言い掛けたにしろ隊長が、私はもとより他の人間など相手にするものか。

隊長の笑顔は揺らがず、恥じらう様子のルーインとジャドはお互いを盾にしつつじりじりと後退し、場の緊張は刻々と張り詰めて――。

「お客さん方。もしこれ以上夜中に騒ぐなら今後一切の宿泊をお断りします。これは、最終通告ですから」

きっかけは、手燭片手に一切の表情を消した宿のおやじ殿。
亡霊もかくやの登場に、素直にビビる余裕のあったのは私一人だった。
これ幸いと脱兎のごとくおやじ殿の影に逃げようとしたルーインとジャドだが、反射神経において隊長を上回ろうなどとは夢のまた夢だ。
結果両手に男二人をぶら下げた隊長はおやじ殿に丁寧に謝罪し、ついでに人気の無い場所を聞いていたようだった。
……話を、付けに行くのだろか。
隊長の様子からみれば報われる可能性は砂粒以下だが、思いの丈が伝わった二人が実は少々うらやましくもあった。

「隊長、どちらへ?」
「ちょっとな、夜間訓練を思い立ったんでこいつらを連れて行く」

「私も同行しましょうか?万が一、ということも無いとは言えません」

そう、どれだけ実力差があっても偶然という要素で結果は移ろう。
事は色恋沙汰、男だって狼というではないか。
振られ逆上した彼らに万一隊長の貞操が奪われてしまったなら、私もそして隊長の心にも深い傷が残るだろう。
きっと警告を込めて彼らを睨みつけると、なぜか縋るような眼でこちらが見返された。

「心配するなビスタ、そこまで血は昇っていない。ハズだ。訓練だ、これは訓練……クック、きっついヤツいこうなぁ……?」

痛々しくも装う平静をぶわ、と逆立ったうなじが裏切る。
それでも、私の介入が隊長の自尊心を痛めるなら出来る事は無いのだ。

「そうですか……では、お気をつけて」
「え゛っ、なんでビスタ付いて来ないのっ!?」

「野暮は止しておきますよ。君達の想いは――……いえ、後は隊長の気持ち一つ」
「違ぇよっ!!イヤ合ってるけど隊長が握ってんのオレ達の生死じゃん!?お前そんなんでいいのかよっ!!」

「ガタガタ騒ぐなルーイン、ジャド。覚悟はいいか?いいようだな、窓を開けろビスタ」
「はい」

言われた通りに開け放つと、月を戴いた蒼闇が微かな夜鳥の声に震う。
薄く森の臭い、陽が名残を残す土の臭い、眠りに消えるは人の臭い、そして広がる夜の香り。

「朝には帰る――」

音も立てずに床を蹴り、狭い窓枠をくぐり飛ぶ暗色の毛皮は闇に濡れてこそ最高に艶めく。
後ろ手にはためく男二人は、真っ白な顔の中虚ろな眼差しを何処へともなく放っていた。

今宵、勝負の時。

彼らの目が力を取り戻した時、隊長はどんな言葉で、どんな態度で彼らに向かうのか。
夜の静寂に耳を澄ませても、彼らの行方を知るすべはなく。
最早心証は最低だが、暫くはついでに窓辺に広げた敷布から抜け毛を静かにはたき落としていた。
眠気などもう、消えてしまっていたから。





翌朝のことだ、隊長は溌剌と、二名は良く言って目を開けた屍の体で帰り付いた。
屈託なく話はついたぞと話す隊長、涙の跡その他で汚れたルーインとジャドの顔。
……やはり、振られてしまったのか。

人間種など、獣人の眼に恋愛対象として映らないのは解っていた筈だ。
僅かに落ち込む自分を戒め、どう見ても今日の行程をこなせない二人を宿の相部屋に放り込んだ。
青ざめて寝台に横たわる二人を上掛けに包み、剣を枕元に立てかけてやる。
合流の日時や宿の支払いを済ました旨を書き止めた薄板を枕元に置き、特に痛々しいジャドの顔を一撫で。

「元気、出して下さいね?」

聞こえないと知りつつ、自分の為にも呟いて。
部屋を後にし、出立を待つ馬の嘶きが遠く響いて来る方を目指した。





「…………ヒヒ~ンってか。俺達ただの当て馬?」
「あっは!ウマいこと言うね。けど残念、あて馬ってのは裏返せば縁結び役だけど、僕達は違った」

「じゃ、何だよ?」
「飛んで火に入るバカ二人」

「くそ……痛ってえな、事実ってやつはよぉ。けど俺達の上を行くバカもいる」
「ビスタ?彼女は端から諦めてるから、その事実ってやつが見えないんだよ」

「隊長がやる事なす事、全部で好きだと絶叫してんのに?」
「恋は盲目、とか言うんじゃなかったっけ」

「あの人間不信の塊が、四六時中呼び付けて傍に置いてんのにかよ?」
「ビスタにはわりと最初から懐いてたろ?説明してやっても信じなかった」

「凄っげ風呂嫌いだったくせに、石鹸一つ貰って豹変したぞ」
「だね、夏場は戦う以上にきつかったよあの臭い」

「時々気配消しつつガン見してるしな」
「ん、尻尾振ってね」

「そうそう、あいつのマント幸せそーに嗅いでるのも見たなぁ……」
「こうして挙げてくとちょっと変態じみてるね。ま、今更か」

「もうすぐ春だよな~、今年はどうすんだろ?去年はビスタをどっかに派遣して凌いでたけど」
「ああ、大騒ぎだったって?僕も離れてたんだ」

「教えてやろうか?夜鳴きはするわ徘徊するわ冗談一つでブチ切れる程ピリピリしてて凄かったぞ。夜中になぁ、ガリ、ガリって音が響くんだよ毎晩。見回りがそっと音の方に行くとそこには……ビスタの部屋の扉を引っ掻く隊長が……とか」
「恐っっ!!色んな意味で凄い恐いよっ!?うっわ見たくないな~ソレ」

「安心しろ、今年も見られる。だって発情期とか、やっぱ違うじゃん?俺達とはさぁ……」
「微妙に両想いっぽいんだけどね……何とかならないのかなぁ?」

「…………知らね、まだ懲りないのかよ?も、いいから寝ようぜ……――」
「そうだね、あ~あ酷い目に遭ったよ……――」


『――ああ、そうだ』


「治ったら一発殴らせろこの卑怯もんが。人を散々盾に使いやがって」
「奇遇だね、僕もそう言おうと思ってたんだこの失言野郎。ついでに一回舌噛んでくたばれば?」



本作はゲストa氏より頂いたお話です。許可をもらいrikiが投稿しております。

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