第8話〜繋がり〜
5月の1週目。
テストが終わり数日が経っていた。
テストの結果は・・・まあ良いほうなのだろう。
117名中34位。
特に勉強したわけではないらしい。
神山の母も結構満足していたようだ。
窓際の席に座り風に涼みながら神山は遠くを見ていた。
昼食の時間になり購買部に行く神山。
いつもどおりパンとコーヒー牛乳を買った。
教室に行くと、神山の机の前に2人の生徒が立っていた。
「よぉ」
嫌な目つきをしている。
「待ってたぜ。優等生君」
不動兄弟であった。
1時期はゆるくなった暴力も神山の成績を知るや否やまた激しくなっていた。
「今日も待ってるからよ。一緒に勉強しようぜ?」
ニヤニヤしながらいう良太。
「逃げたらわかってるな」
鋭い目つきの良平。
当然逃げられるわけも無く。
ただただうなずくだけだった。
クラスの連中も見て見ぬ振りをしているだけであった。
逆らえるわけもなくみな静かにそのときが過ぎるのを待っている感じだ。
神山が逆の立場であってもたぶんそのようになっていたのであろう。
面倒ごとに口を挟むとろくなことにならない。
クラスメートをうらむわけにもいかなかった。
「なにしてるの?」
いきなりの声をかけられた神山はバッと声の主のほうに顔を向けた。
「春日さん!」
不動兄弟は声を合わせて言った。
神山はこの顔に見覚えはあったがなかなか思い出せないでいた。
「神山君と何をするの?」
自分の名前を知っていたことに驚きを隠せない神山。
「いや・・・ただ・・・そう!こいつに前から勉強教えてもらってて、今日も教えてもらおうと思ってたんですよ」
しどろもどろな良平。
「そうそう!こいつ頭良くてね!そうだよな?神山」
神山に目で合図する良太。
「・・・そうだよ」
神山はそう答えるしかなかった。
何より彼女を巻き込みたくは無かった。
「そう。でも彼を解放してくれる?私、神山君に用があるの」
神山は耳を疑った。
「そうでしたか。ほら神山!春日さんに何かあったら承知しねぇからな!」
そういい残すと、不動兄弟はご機嫌な感じでそこから立ち去っていった。
「さぁ、行きましょう」
彼女はにっこりと微笑むと、神山の手を引いて歩き始めた。
無言で歩く2人。
何か言わなければならない。
神山は少しあせっていた。そして、
「あの、ありがとな・・・」
「へっ?」
彼女は不思議そうな顔をした。
「君がいなかったら、またやられていたよ」
「ああ、そのことね」
彼女は納得したようにそういった。
「たまたまだったのよ。教室に行ったら不動君たちと神山君が一緒にいたから、またやってるなあ・・・と思って声をかけたの。」
「でも勇気があるね。俺なら絶対に出来ない行為だよ」
「みんな不動君たちのことは悪く思ってるみたいだから。それに彼らは女には暴力は振るわないみたいだったからね。普通だったら私もそっぽを向いてたわ」
ちょっと舌を出しながら彼女は言った。
「それで、僕に何の用?」
「もうすぐわかるわよ。」
階段を上りながら彼女は言った。
そして最上階まで行き、ドアを開いてから彼女は言った。
「昼食まだでしょ?一緒に食べよう」
太陽の光かはわからなかったが、彼女の顔はとてもまぶしく見えた。
そしてそこには数人の生徒の顔も見えた。
「私は春日。春日 桃花。よろしくね」
彼女は神山にそう言った。
「俺は神山 薫。よろしく」
俺は少し笑ってそう答えた。
「モモちゃん、新しい友達?」
1人の女の子が問いかけてきた。
「そう。紹介するわ。神山君、ここに座って」
というと、彼女は私の隣に座れと合図をしていた。
小走りで向かう俺。
そこには7人の顔がうかがえた。
そこにいる顔はどれも見覚えのある顔で、たぶん全員が神山と同じクラスメートであると感じた。
「1人ずつ自己紹介していこう?まず神山君からね」
そういわれ、神山は咳払いをした。
「えー・・・神山 薫です。趣味は読書で、映画も好きです。あまり見ないけど・・・。あとは〜」
「なんか合コンの自己紹介みたいね」
1人の女子が少し笑いながら言った。
「短く短く。はーい、次」
神山の隣の男子を指差した。
「俺は磯谷。磯谷 翔太。勉強は出来ないけどスポーツなら負かしてくれ!」
鼻に絆創膏に手を当てながら彼は言った。
とても元気のある少年と言うことはわかった。
「僕は冬芝。冬芝 啓太。腕力には自身があるから、力仕事があったら僕に言ってくれよ。」
優しい目をしているが、彼はかなり大柄な体格のようだ。そう。いわば虎谷のような体格である。性格はまるで反対のようだが。
「俺は菊池 綾人。よろしく。」
───・・・うん。とてもシャイボーイだ。いや、クールなのかな?
少し興味をもった。
「次はあたしだね!あたしは茅野。茅野 夏生。天然入ってるって言われるけど入ってないから大丈夫だよ〜」
癒されるような笑顔で彼女は言ったが。
見た目的にも彼女は天然っぽい顔だ・・・
「はいはーい。次はあたしアル!」
元気いっぱいの声が響いた。
あたしはコウラン。李 香蘭アル。中国語は話せないけど中国のことだいすきアル!よろしくアル」
・・・中国語はなせないのに「アル」なのか・・・。実に不思議だ。
たぶん女子の中で一番元気のある子であろう。
「私は南雲。南雲 一。好きなように呼んでくれ」
気の強そうなタイプ。でも、長い黒髪に白い肌があり、引き込まれそうな感じだ。
たぶんこの子の事を狙っている子はたくさんいるだろう。
純和風な感じがしてとても落ち着いている。
「これで全員ね。今日から神山君は私たちの仲間よ。遠慮せずに話しかけてね。」
彼女はまたニコッと笑みをくれた。
そして神山はこの閃光初の、にぎやかな昼食を取れたのであった。
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