第4話〜俺が見ていたもの〜
ガタン・・・ガタン・・・
まだ目が半開きの俺は電車に揺られていた。
現在時刻 9:32
今日は合格発表のため1人電車に乗って目的地に向かっていた。
俺が受験した高校・・・
【私立閃光高校】
創立5年目のまだ新しい高校だ。
この学校を受けたのは光中でも俺だけ。
教師や親にも反対されたが俺は反対を押し切ってここにいる。
俺を心配してくれる気持ちがわからないわけじゃないが
俺が行きたいと思う気持ちが変わることはなかった。
俺は・・・この・・・がっこぉ・・・で・・・
───スゥ・・・スゥ・・・スゥ・・・
「・・・・。・・・」
フッと目を開けた。
眠い目をこすって無理やり目を開けた。
目的地にちょうど到着していた。
あいにく平日の昼間ということで人は少なかった。
プシュー。・・・ガタン・・・ガタン・・・
出発した電車のほうを少し見た後に
俺は閃光高校に出発した。
歩いて5分くらいのとこにそこはある。
2週間前に来たばかりだが、やはり何か興奮する気持ちがあった。
ここにはじめて来たときにはもっとはしゃいでいたのだろう。
冷静に振り返っていたが。
目的地が近づくにつれて胸の高鳴りが大きくなってきた。
到着したときにはすでに11時を過ぎていて、
高校から親子や数人の友達と一緒に出てくる人がたくさんいた。
翡翠高校とは比べ物にならないほどの人がいたのにはもっと驚いたが。
校門の前で立ち止まり3回ほど深呼吸をして
───よし!
俺は歩き始めた。
時刻は12時50分
光中学校には続々と3年が集まっていた。
今日は2年が午前中で下校し、午後から3年が登校するというシステムだった。
教室にはすでに虎谷と栗子は他のクラスメートがおり、空席が数個あるくらいだった。
「遅いね・・・」
心配そうな顔をする栗子。
「・・・」
無言で頷く虎谷。
2人ともさすがに困惑した表情は隠せていなかった。
クラスでは明るい声が飛び交っているが
2人がその輪に入るはなかった。
ガラッ!
2人が戸の方を見た。
「よーし、席につけー」
担任がやってきた。
少しうるさかった教室も静かになっていった。
先生はしばらく無言になり、空席のほうを見ていた。
やがて口を開いた先生は口を開く。
「・・・3人、か。」
先生は少し低い声でそう言った。
クラスの人たちも周りの席をみて少しざわついている。
その3人の中に神山は含まれていた。
下をうつむく栗子。
窓のほうを見ている虎谷。
2人とも少し切なそうな顔をしていた。
「しかし、お前たちは合格をしたんだ。胸を張っていい!
不合格の人たちには少しでもいいから励ましておいてくれ。
先生からも言っておくから・・・」
少し声を詰まらせた感じで先生は続けた。
「卒業式は1週間後だ。なので3日前から学校に登校するようにしてくれ。
予行練習もあるからな。あとは・・・」
ガラッ!
「すいません!電車に乗り遅れて遅刻しました!」
普段より大きい声でそういった彼は神山だった。
虎谷と栗子が少しずつ笑顔になる。
「なんだ受かったんだ!てっきり落ちて家で落ち込んでるのかと思ったわ」
涙目で彼女はそう言った。
「驚かせやがって!こいつは罰ゲームだな!」
ガハハと笑いながら虎谷が続ける。
そしてクラスメートたちがいろいろなヤジを飛ばしてくる。
俺は苦笑しながら席に着いたのだった。
「ただいまー!」
栗子が元気な声で言う。
「おじゃましま〜す!」
虎谷と俺が続けて言った。
奥から栗子のおばちゃんが出てきて
「あら、いらっしゃい!3人そろってるって事はみんな合格したのね!おめでとう!」
おばちゃんが祝福してくれた。
「お母さんは奥に言っててよ〜」
先に行ってて、と栗子は言いながら母を奥に連れて行っていた。
笑いながら栗子の部屋に行く2人。
小さいころからの知り合いなので栗子の母ともすっかり顔見知りになっている。
栗子は小さいころから母が俺たちと話すのを嫌がっていた。
それは今でも同じらしい。
「おまたせ〜」
3つのコップとジュース、そしてお菓子を持って栗子がやってきた。
「悪いね、くり坊」
俺は軽く礼を言った。
今日は小さいながら俺の祝勝会だった。
学校帰りに急に栗子が提案してきたので制服のまま俺たちは栗子の家に来た。
「かんぱ〜い!」
3人はグラスを鳴らす。
「改めておめでと〜☆」
栗子は拍手をしながら言った。
「これで3人とも【高校生】になれるんだな!」
ジュースを早くも飲み終えながら虎谷も祝福してくれた。
「余裕じゃん!」
いつにもなくご機嫌な俺はそういった。
もちろん強がっているのだが。
3人は笑いながら談笑を続けた。
「おじゃましました〜!」
笑顔で見送る栗子。
手を振る虎谷と俺。
宴の時間というのは時間が過ぎるのが早く
すでに夕日が沈みかけていた。
「トラ、また来週な」
「おう。遅刻するんじゃねえぞ!」
虎谷は俺を叩きながらそう言うと走り出した。
俺は虎谷の背中を見えなくなるまで見続けた。
虎谷の見えなくなった視界にはまばゆい夕日が
あと少しで落ちるとこまで来ていた。
俺はその夕日をただひたすら見ていた。
夕日を見ていると今までの思い出がなんとなくよみがえる。
夕日は俺に思い出を見させてくれる。
俺はずっとずっと夕日を見続けていた。
なぜか心が締めつけられ、涙があふれそうになる。
───結局夕日が落ちるまで、俺はそこで夕日を見ていた。
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