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Chapter:07 緊迫
Episode:69
「同時に上手く、中を殺れれば言うことナシなんだけどね」
「そんなこと出来れば、苦労しないわよ」
 2人でため息をつく。

「ともかくあたし、待機場所へ戻るわ」
「あ、うん、頑張って」
 エレニアも出て行く。

「さ、ルーフェ、あたしたちもどっか……場所移ろうか?」
 まさかずっと指揮所にいるわけには、いかないだろうし。
 けど、この子は動かなかった。

「ルーフェ、どしたの?」
「あの、あたし……」
 普段はどっか儚げなこの子が、海色の瞳に強い光を見せる。

「あたしが、行きます」
「え?」
 言ってる意味が分かんなくて、思わず聞き返した。

「行くって、どこへ?」
「あたしが、潜入します。あたしだったら――小児科の入院って言っても、通るはずですから」
「――あっ!」

 確かにちっちゃいこの子なら、あたしたちと違って、簡単に子供たちに紛れ込めるだろう。
 それに実力だってルーフェは、そこらの傭兵隊を遥かに上回る。
 でも……。

「でも、どうやって? あのとおり、外からはそう簡単に入れないよ」
 だからこそ、突入なわけだし。
 けどルーフェが、しっかりした声で言った。

「屋上から懸垂降下なら、入れます」
「屋上から?」
 一瞬、言葉に詰まる。

「たしかにそれ、常套手段だけど……でもあそこ、ほかに高い建物ないよ?」
 そばにもっと高い建物があれば、そこから懸垂降下はよくやる。けどあの病院、あの地区でいちばん高い。だから下から登るのはアリでも、降りるのはできなかった。
 でもルーフェは、あたしの想像なんか超えてた。

「巨鳥を使えば、出来ます」
 強い瞳に、はっきりした声。
――勝算がある。
 表情が、そう告げてる。

「わかった。聞かせてもらえるかな」
 ヘタすればここの誰よりも、前線慣れしてるこの子だ。聞いて損はないはず。
 ルーフェが話し始める。

「えっと、まず巨鳥はこういう状況なら、ケンディク基地からすぐ、借りられると思います」
「あー、たしかに」
 巨鳥はいまでも空の主役。
 たしかに陸は、炎石を利用した魔動機関で動く車両が、走竜に取って代わった。

 けど空を飛ぶ乗り物は、まだ出来てない。ってのも浮遊石自体ははメジャーなんだけど、じつはかなりデリケートで、他の魔力石と一緒に使うとちゃんと浮力が出ない。だから軽量化に使うのがせいぜいで、大きな乗り物を浮かせるまでには至ってなかった。
 そんなわけで今でも、軍はどこでも巨鳥部隊を備えてる。

「でもさ、借りたとしてどうすんの? 巨鳥ってば、1人乗せて飛ぶのが限界だよ」
 この案が検討されなかったのは、これがいちばんの原因だ。
 巨鳥には必ず、騎手が要る。けど屋上へ飛び降りちゃったら、騎手ナシになった巨鳥が、好き勝手にどっかへ飛び去っちゃうわけで。
 かといって屋上にあんなものを、降ろして待機させとくわけにもいかない。




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