「さぁ、行こう」
この子をうながして調理室を出、船着場まで行った。
休みの日の、それもちょうどお昼前のせいか、案外混んでいる。
「えっと……」
「あそこが、空いているぞ」
ちょうど船内の真中辺り、通路を挟んだ両側の席が空いていた。
「あ、はい」
この子が素直にそこまで行って、向かって右の席を選ぶ。ケンディクへ行くときは、左舷に本島を見ながらになるから、海原の見える右側を選んだのだろう。
私たちも後から続いて、反対側の席へ座ろうとした。
と、ルーフェイアがこちらに視線を走らせ、心細そうな表情を僅かに見せる。
「――何を甘ったれているのです」
隙を見逃すようなタシュアではない。ルーフェイアの視線の意味を即座に悟り、すかさず突っ込んだ。
「ご、ごめんなさい!」
またこの子が謝る。
「1年生でも、行く子はひとりでケンディクまで行きますよ。ましてやあなたは何年生ですか」
「ごめんなさい……」
キリがない。
ただ私は、ルーフェイアの気持ちは分かった。
ひとりは――寂しい。
「ルーフェイア、そっちへ座っていいか?」
「え、あの、でも……」
泣きそうになりながら、それでもそう言うこの子が、なんだか可笑しかった。
「座るぞ」
ルーフェイアを窓際へ押しやり、私も座る。
「あの……」
「いいんだ」
言い切って頭を撫でると、この子がやっと少し落ち着いた。
「そうやって甘やかすから、いつまでたっても成長しないのですよ」
「ご、ごめんなさいっ!」
私に言ったはずの言葉に、なぜかルーフェイアが謝る。
「謝る暇があるのでしたら、少しは考えたらどうなのです?」
「………」
またこの子が泣きだした。
「ほ、ほら、動き出した」
急いで気を逸らす。
「泣いていたら、海が見えないぞ」
「あ、はい」
ルーフェイアが慌てて涙を拭いた。
ほっとする。
「……♪」
入り江から広い海へ出ると、この子が嬉しそうな表情になった。
――本当に好きなんだな。
ルーフェイアは海が好きだった。特にケンディクの港で眺めるのが好きで、時々友だちやイマドと一緒に座り込んでいるのを、見かけることがある。
と、タシュアが不意に口を開いた。
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