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Chapter:05 急転
Episode:49
「大丈夫、なんだろうか……?」
 遠ざかる足音を聞きながら、私は何か心配だった。もし犯人たちが口止めしていたら、絶対に説明はしてもらえないはずだ。
 だが、タシュアは指摘した。

「大丈夫でしょう。婦長に許可を取るとは言っていましたが、彼女はこの病棟の主任ですから。
 それに看護士が病室で何をするかまで、彼らもチェックはしきれないでしょうからね」
「あ、そうか……」
 どこまでも見透かしたかのような冷静さに、舌を巻く。
 そして、気が付いた。

「どうして、彼女が……この病棟の主任だと、分かったんだ?」
「名札にそう、書いてありましたが」
「そ、そうだったか?!」
 どこを見ていたのかと、自分が少々情けなくなる。

「ええ。
 シルファも緊張するのは分かりますが、イマドの図太さを少々見習った方がいいかもしれませんね。
――いい加減にしてはどうです」
 最後の一言は、私ではなくイマドへ向けてだ。

「だいじょぶです。ちゃんと先輩の分、残ってますから」
 タシュアの突っ込みに、けろりとイマドが答えた。どうも私たちがいろいろやっている間に、しっかりサンドイッチを食べていたらしい。

「まったく、少しは状況をわきまえなさい」
「ですけど、腹減って」
 言いながらこの後輩は、またひとくち口に運んだ。

――確かに図太い。

 学院生と言うことを差し引いても、この状況で食事が出来る人間は少ないはずだ。
 というより、ひとりでさっさと食べていたり、さっきのように病院のベッドで寝ていたりということ自体が、かなり珍しいだろう。
 見かけからは、そんなことをするようには見えないのだが……。
 そうこうしているうちに、手に別の点滴を持って先ほどの看護士が戻ってきた。

「またですか」
 よほど点滴に嫌気が差しているのか、タシュアは半分拒否状態だ。
「してあげてもいいんだけどね、これは残念ながらダミーよ」
 手ぶらで病室へ行けば怪しまれるからだと、この看護士は言った。

「で、婦長には了解取ったわ。何をどう知りたいの?」
「知りたい内容は、先ほども言いましたが」
 タシュアは「事実を言ったまで」という顔をしているが、看護士のほうはこの答えに気を悪くしたらしい。

「ほんとに点滴する?」
「する必要もない点滴をしようなどと、医療者が言うこととは思えませんが」
「あなたねぇ……」
 険悪になりかけた雰囲気に、慌てて私は間に入った。

「す、すまない。そういうつもりじゃないんだ」
 ともかく謝る。
「それでその、何が起こったか、教えてもらいたいんだが……」
「――お見舞いだと思ってた男たちがいきなり銃を出して、脅されたのよ」
 どうにか機嫌を直してくれたこの看護士が、少し声をひそめて言った。

「人数はどのくらいです?」
 さっきのことなどお構いなしに、タシュアが簡潔に訊く。
 そんな彼を、一瞬だけじろりと見てから――それでこたえるようなタシュアではないが――主任看護士は答えた。

「うちのナースステーションへ4人、向こうの病棟に4人以上。
 それと向こうとこっちの昇降台の前に1人づつ、あと廊下にも何人かいるらしいわ」
「最低でも十数人と言うわけか……」
 思ったより多い。逆に言えば、それだけ向こうもプロ?ということだ。






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