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Chapter:02 翳り
Episode:12
「魔力石かなにか……?」
「ンなわけねぇって。
 えーと……あ、これだこれ」

 箱の中から、目当てのものを探し当てて出してやる。
 こいつの顔に笑みがこぼれた。
――これが可愛いんだよな。
 ルーフェイアのやつは素直で無邪気だから、なんかちょっとやっただけですげぇ喜ぶ。

「このカード、可愛い……♪」
「何のカードです?」
「え……」

 何気なくタシュア先輩が訊いてきたとたん、慌ててこいつがカードを、胸に抱くようにして隠した。
 しかもそのあとが傑作だ。

「ルーフェイア、見せてくれないか?」
「あ、はい」
 シルファ先輩の方にはこいつ、にこにこしながらあっさりカードを差し出す。
 もうこれには俺もシルファ先輩も、横を向いて笑いをこらえるだけで精一杯だった。

「やれやれ、嫌われたものですねぇ」
「先輩がこの間こいつからレアカード巻き上げたから、警戒してるんですよ」
「巻き上げたとは聞き捨てなりませんね。
 あれはきちんと勝負をした上で、勝ったから頂いたまでです」

――あれを「きちんと」って言うか、普通?

 ルーフェイアにやったのは、けっこう前からあるトレーディングカードの一枚だ。何年か前から学院の中で、かなり流行ってる。
 で、勝負して勝てばもらえんだけど、こいつこないだタシュア先輩に負けやがった。

 じつ言やルーフェイアは、そんなに弱くなかったりする。クラス内じゃ屈指の強さだ。なんでも同室のロア先輩がめっぽう強い人だったとかで、カードを一揃いもらった上に、一から教えてもらったらしい。

 それにこいつも飲みこむまではともかく、分かっちまえば今度は忘れない性格?してる。ルールも今じゃかなり複雑でもきっちり把握して、しっかり利用すっから始末に追えない。
 けど、タシュア先輩となるとなぁ……。

「先輩相手にルーフェイアが、勝てるわきゃないじゃないですか」
 もうこの人は、「普通」の範疇は外れてる。

「なのに勝負すんですから、巻き上げてんのと一緒ですよ」
「勝負をすると言ったのは、ルーフェイアです」
 毎度のことながら、この先輩は絶対自分が悪いとは言わない。

「話には聞いていたが、可愛いな。初めて見た」
 シルファ先輩のほうは俺らのやりとりより、このカードが気に入ったみたいだ。
――まぁ、女子が欲しがるカードだよな。
 やっぱ気になんのか、タシュア先輩がシルファ先輩の手もとを覗き込む。

「ほう、仔竜ですか。確かに珍しいですね」
 ほんと言うとこのカード、まるっきり枚数がないってわけじゃないんだとか。でも女子が秘蔵しちまうことが多くて出回らないから、結果的にかなりレアになってる。

「それにしても、良く手に入ったな」
「真ん中の姉貴――って従姉妹ですけど、かなりのカードプレイヤーなんですよ」
 このゲームはアヴァンのほうが本家で、姉貴ときたらガキの頃から、オモチャ代わりにカードやってたっつーツワモノだ。
 で、この姉貴に頼んどくと、けっこうレアカードを取ってきてくれる。

「あと叔父さんもマニアで、しっかり集めてますし」
 もっともこっちはプレイはさほどしなくて、友達やら患者――一応開業医――が持ってきてくれるらしい。




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