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心の魔法 2

作者:月華  雫
王様からのお触れは、瞬く間に家来達によって村へ行き民逹に伝わりました。
~~~~~~~~~

その頃、村で一件の貧しい家では、三人の子供逹が朝食を食べていました。

「カイ兄ちゃん、パンはないの?」
髪はブラウン、そして瞳もブラウン、痩せた色白の男の子が言いました。
「ああ、ごめんなロイーーー」
答える男の子も痩せています。髪の色も瞳も同じくブラウンでした。
普段からろくにたべられない子供たち。しかし心の優しいカイはなんとかしてやりたい気持ちでいっぱいでした。
「お腹すいたよ・・・とうもろこしだけなんていやだー」
 年端もいかないロイは耐え切れず駄々をこねます。
「明日は必ず小麦粉を買ってきて、焼きたてのパンを食べさせてやるからな!」
「ほんとう?!」
嬉しそうにはしゃぐロイでした。
そんなロイの姿を見て、むっとしている女の子が一人。金髪の髪で、瞳がブルーの色白のその子は持てる意地の全てを使って強がります。
「カイ兄ちゃん、大丈夫だよ、私お腹なんかすいてないから!ほら、ロイ、くずくず言わないでせっかくあるんだから食べなさい!お姉ちゃんが食べちゃってもいいの!?」
「嫌!!わかってるよ、サラ姉ちゃん。ちゃんと食べるよー」
 そんな叱り役を買って出てくれたサラにカイは聞こえないくらいの小さな声で謝っていました。
「サラーーーすまない」
食卓のテーブルには、干したとうもろこしを蒸したものが、一切れずつお皿に乗せてありました。
代わり映えのないいつもの食事。
兄として、少しはいいもの
を食べさせてやりたい。そんな気持ちはあるものの、子供三人の家に先立つものなどありません。
 近所の優しい人がくれる野菜や穀物を少しずつ食べていくのが関の山でした。

 三人の子の両親は、隣の町へ出稼ぎに行くと言ったまま三年が経っても帰って来ませんでした。
 どうなったのか三人は知る由もありません。
 ただ分かっているのは、いつも助けてくれていた両親はが今はいないということだけ。
 一番上の兄がカイ(十六才)、二番目に姉のサラ(十三才)、そして三番目に弟のロイ(七才)がいます。
 カイはいつか両親が帰ってくると信じて、二人の妹や弟の親替わりになっていました。

「サラ、今日も雪が積もっているから、学校へ行くのは無理そうだな」
「うん、そうね、私はその方が気が楽でいいわ」
 サラはカイに気にしなくていいというつもりでそう言いましたが、カイはサラに少し怒りました。
「何を言ってるんだ!学校で色々な事を勉強するのは大切なことだ!」
「う、うん・・・」
 いつも穏やかな兄のカイが、声を荒げのでビックリしたサラでした。
 カイはサラには全うに勉強してもらい、やりたいことを精一杯させてやりたかったのです。疲れること、辛いことは俺が全てやればいいと。
 そしてサラにはそんなカイの気持ちが痛いほどよく分かっていました。だからこそ心配もつきないのですが。
「それじゃあ、兄さんは町に行ってくる、夕方までには帰るから、ロイのこと頼むなサラ」
「うん、任しといて!気をつけてねカイ兄さん」
ドアを開けると、外は真っ白な世界でした。
「うー、寒い!」
カイはうすいコートの襟を首に押し付けて雪道を歩いていきました。

 町へ行くには、雪の中を三時間もかけていくのです。
 そこまでして行くのは、働く所を見つけるためでした。もう、お金も食料も尽きてしまっていたからです。
 やっとのことで町に着きました。冷たくなった身体を暖めることもできないまま、カイは働ける場所を探し始めました。
 しかし、町は静まり返り、店もポツポツとしか開いていません。冬が長く続いているせいで、町の活気もどんどん下がっていくばかりでした。
 雪道をザクザクと足を引きずるように歩いていると、傘を売っている一件ありました。
 カイは中に入り声をかけます。
「すみません!誰かいませんか?」
 すると、のそのそと、お爺さんが奥から出てきて答えます。
「傘を探してるのかい?」
「あっ、いえ、あの・・・実は何かお手伝いできることがあればとーーー」
 お爺さんは深いため息をついた後、答えてくれました。
「一日、店を開けてても、だあれも買いには来んさ」
「そうなんですか・・・あの、お爺さん。無理を言っているのは分かっているんですが、僕、仕事を探しているんです!どうか、少しでも働かせて頂ければ!」
「すまんのう、手伝ってもらっても、支払う金すらないからのぅ・・・町の者はだあれも外に出んようになってしもてな、まあ、この雪じゃあ出たところでなんもできないからなぁ」
 お爺さんはひどく疲れているように見えました。
「お爺さん、何故今年はこんなに冬が長いのですか?何かあったのですか?」
「おやおや、知らないのかい?町のもんじゃないのかい?」
「はい、隣の小さな村から来ました」
「隣の村とな?えらい遠い所からきたもんじゃ。そうかい、そりゃあ大変だったのう」
「いえ、僕は大丈夫ですよ。それで、何故冬が長いのですか?」
「それがなぁ・・・・・・」
お爺さんは、冬の女王様が、塔からでなくなり、春の女王様が訪れない話をしてくれた。
「そんな・・・春が来なければ作物もできないし、牛の食べ物もなくなり、そして、火をくべる乾いた薪もなくなるーーーそんなことになったらたら何もかも滅びてしまう・・・」
「そうなんじゃよ」
「・・・・・・」
 カイは活気のなさの一端がよく分かりました。町に希望が見えないのです。どうすることもできない、そんな絶望が町全体を覆っているように見えました。
 そう思っていたとき、お爺さんが思い出したようにポツリとつぶやきました。
「実はな・・・昨日、王様の家来の人が触れ事をしにきたんじゃよ。内容はーーー確か・・・冬の王女様と春の女王様を入れ変えることができた者に、なんでも褒美を取らせる、そんな内容だったかのう」
「何でも・・・」
「そう、欲しい物をなんでもとな」
「本当ですか!」
「ああ、わしはまだ、聞き違えるほど呆けとらんよ。いや、呆けてなくてももうこの年じゃからのう、身体が言う事をきかんから、いくら褒美をくれてもそんなことはできんなぁ」
「褒美ーーー何でも・・・」
「お前さんはまだ若いからなぁ・・・」
「お爺さん!ありがとうございました」
カイはまた、雪が積もった道を歩き始めようとした時、後ろからお爺さんの呼ぶ声がしました。
「いくのか?」
お爺さんは心配そうにカイを見ていました。
「はい。行きます!待っている弟や妹がいますから」
「そうか・・・無理はしすぎんようにな。ほらっ、この傘をもっていきな。少しでも雪を凌げるじゃろう」
「えっ、でも僕はお金がありません」
「いいんじゃよ、どうせ売れやしないからな、気を付けて行くんじゃぞ」
「ありがとう!お爺さん」
もらった傘を広げザクザクとまた雪道を歩き始めました。
去っていくカイをみてお爺さんは思いました。
「守るべきものがある強さかのう・・・いっぱしに男っぽく言いおって」
そういうおじいさんの顔は微笑が浮かんでいました。

 さてそんな中カイは、いきなり躓いていました。
(雪の女王様と春の女王様の入換、雪の女王様は塔から離れない、そして春の女王様は来ない・・・まず何処に行けばいいんだ!妹と弟の命がかかっている、そう、よく考えろカイ!)
 カイは自問自答しながら、深い雪道を歩きました。

 何処からとなく歌声が聞こえてきます。
 ほんのかすかにだが、カイには聞こえてきました。
 その声には悲しみと、切なる願いとが感じられました。
 カイは思わず耳を傾けました。
「お許しください、春の女王様。私は貴方の深い悲しみを癒してさしあげたい。ですが私は貴方に、雪を降らすことしかできません。私は貴方を同じように苦しませたくないのです。どうか愛をつらぬいて欲しいのです」

「愛をつらぬく?」
カイには意味が分かりませんでした。とはいえあまりにも気になるこの歌声。
また、かすかに美しい歌声が聞こえてきました。

「心が壊れてしまいそうです。いつも泣き叫んでいます。どうしてこんなに苦しいのでしょうか?恋を知った私はどうしたらよいのでしょうか?今はもう花を咲かせることができない・・・」

お爺さんが言っていた女王様のお話。そしてこの歌声。カイの中でひとつに繋がりました。
「もしかして、これは冬の女王様と春の女王様とが話しているのか?!」
更なるヒントはないものか、とカイはまた耳を済ませます。その時でした。
ドサッ!木に積もった雪が、カイの頭の上に落ちてきました。そして、雪ではない何かも一緒に落ちてきました。

「いてててー」
自分も雪をかぶって痛かったカイでしたが、誰かの声が落ちた雪の中から聞こえてきたので、雪をかきわけてみました。

雪の中にいたのは真っ白な、瞳の赤いうさぎでした。

「大丈夫かい?」
雪を払い除けて抱きかかえてやりました。すると
「やあ!君は誰だい?僕はバロル」
当たり前のように自己紹介してくるうさぎさん。
「ああ、僕はカイーーーって、うさぎなのにしゃべれるのかい?」
あまりに自然な流れだったため、思わずそのまま話しそうなカイでしたがおかしいことに気付きました。
うさぎが話せるわけがありません。
「ああ、魔法にかけられてるんだ」
またうさぎが普通に答えてきます。
「えっ!魔法?」
「ってか、抱きしめられて苦しいよ、下ろしてくれないかい?」
「あっ、ごめん!バロル」
カイはそっとうさぎを下ろしました。
「魔法さっ。魔女にかけられたんだよ!俺様を家来にしようとしたから逃げたんだ。そして雪のなかに紛れて隠れたんだ。そしたら、雪が積りすぎて落ちてしまったってこと」
「魔女って、怖い人なのかい?」
「ああ、それは怖いさ、何でもできるんだからなっ」
「何でも?」
「ああ、いたずら好きの魔女さっ」
「いたずら?」
バロルは偉そうに指を立てて、カイの周りを歩き始めました。うさぎなのに動きがやたら人間らしくて笑いがこみ上げてきます。
「そうさっ、例えば・・・カイに呪文をかけたとしよう!今から王様の所へ行き、宝物を全部取ってこい!そんなこと言われたら、君は即座に王様の所へ行き、宝物を盗むだろう」
「ちょっと待ってバロル!そんな、僕はそんな大それたことしないさ」
「だから、呪文にかけられたらって言っただろ?」
「あ、ああ・・・呪文ねーーー」
「その通り!うさぎの俺様がしゃべれるなんて、普通ではないだろっ?」
「そうだな、ありえないし、不思議なことだ・・・」
カイは手をあごにあてて首を傾げた。
「魔女はいたずら好きなんだ!困ったもんだよ」
「なあ、バロル!他にも魔法をかけられた人はいるのかい?」
「さあ?俺様はわかんないな」
「ーーーそうだよな」
「ちょっとまてよ!魔女は確か・・・・・・確か・・・それよりさっ、何か食べ物は無いのかい?俺様は腹が減って死にそうなんだ」
 頭をわしゃわしゃと掻きながらバロルはカイにねだります。
「ーーーごめん、何も持ってないよ」
「この雪じゃな、にんじんも実になるどころか葉もでないんだよ!まったく、冬はいつになったら終わるんだ!?」
バロルはぷんぷん怒っていました。
「・・・このままではだめだ」
「何がだめだって?」
「もう、このままでは、妹や弟を助けられない」
「妹?弟?何でだい?」
きょとんとするバロルでした。
「このまま春が来なければ、畑で実らす野菜も無く、食べるものがなくなる。そんなことになれば、妹や弟は・・・」
「ーーー?なあ、カイ、そんなに大切なのかい?妹や弟が・・・それはにんじんよりもかい?」
「バロル・・・にんじんと一緒にするんじゃない!」
怒りをあらわにするカイにびっくりしたバロルでした。
「あっ!カイがいきなり怒鳴るからさっきの話の続きを思い出したぞ!」
「続きの話・・・?」
怒鳴られると思い出すのか?と少し不思議なカイでしたが、相手はうさぎだからと無理やり納得することにしました。
「魔女のはなしさっ、俺様がにんじんを食べられないのも魔女のせいさっ!くそー、魔女のやつめー」
「バロン、にんじんが食べられないと言うことは、この冬が終わらないからだよな?」
「そうそう、それそれ!確か・・・俺様が魔法にかけられてすぐだったな、硝子の玉にてを当てて、冬の女王様と春の女王様を写し出していたーーーそれから、確か・・・」
期待していた人物の名前が出てきました。思わずカイは先を促します。
「よく思い出すんだ!バロル、頼む!」
「うーん、そうだ!二人を恋の魔法にかけてやるとかなんとか・・・そんなこと言ってたな」
「恋の魔法?」
「惑わす恋の魔法だとか」
「惑わす?」
「そんなことより、カイ、食べ物を探しにいかないか?」
もっと聞きたいカイでしたが、バロルの機嫌も大事かと思いとりあえず探すのを手伝うことにしました。
バロルを抱き抱えると、カイはコートへ包み込み、歩くのが大変な雪道を、精一杯早く歩き始めたのでした。

「おいおい、カイ!何処に行くんだ?にんじんを食べさせてくれるのか?」
「ああ、うまくいけばなっ!」
「なぁカイ、少し寝ててもいいか?」
「バロル!寝てる場合じゃない!魔女の処へ案内してくれ!」
「・・・えー!イヤ!魔女に捕まったら、また召しつかいのように扱われるんだ!俺様は行かないぞ!」
 否定を続けるバロル。どうすればバロルが動いてくれるのか、カイは考えました。
「・・・・・・にんじんは?」
「・・・・・・」
思わずぐっと声を漏らすバロル。
「欲しくないのか?」
「・・・欲しい」
「なら、頼む!案内してくれ!そのかわりにんじんを絶対食べさせてやるから」
「・・・本当か?よしっ!その話のった!」
にんじんで釣れてしまう辺り、言葉は話せてもうさぎでした。
「どっちだ?」
「あの山の梺さ、歩いていくしかないぞ」
「大丈夫だ、よしっ!行くぞ!」
「はぁー、あったかい、少し眠るよ、カイ・・・」
そう言うと、すやすやとカイのコートに包まれたバロルは眠ってしまいました。

やっとのことで、カイは山のふもとに辿り着きました。
「はぁーはぁー」
息切れをするカイでした。辺りは雪におおわれて、寒いはずなのですが、一生懸命歩いたカイは、汗をかいています。

一息ついたカイは眠っているバロルをコートから出して、雪の中に置きました。
「うひゃ~、冷たいー!寒いー!何すんだ、カイ!」
「バロル、着いたぞ」
顔を上げると、目の前に大きな木があり、スッポリとくりぬかれていました。
「この中なんだな・・・よし、行ってみる」
「いやだ!俺様はいやだー!行かない」
「わかったよ、案内はしてくれたわけだしな。ここで待ってろ」
「本当に魔女は恐ろしいんだ。カイ、気をつけろよー」
寒くて震えるのか、怖くて震えるのか、バロル自身もわかりませんでした。

樹の空洞は中は真っ暗でした。明かりになるものも持っていません。
カイは少し目が暗闇に慣れるのを待ってから、おそるおそる足を踏み入れました。

何歩か進むと、暗闇の中から声がしました。

「もっと雪を降らせろ~、そして王が困りはてるがいい~」
恐ろしいくらい低い声で話す言葉は、呪いをかけてるようでした。

(やはり・・・くそー、どうすればいいんだ!見つかったら俺も呪いをかけられるかもしれない、でも、このまま帰ることもできない・・・あー、考えろカイ!妹や弟、そして民たちも滅びてしまう。魔女の弱点はないのか?)

カイは自問自答し、息を潜めて魔女から身を隠していました。

「おいっ!カイ!」
小さな声で呼ぶにも関わらず、カイはビックリして肩がぴくりと上がりました。
「ーーーなんだバロルかよ・・・」
「カイ!魔女の弱点が解ったんだよっ!」
得意そうな顔をしてカイに話し始めました。
「弱点?!それはなんだ?」
「確か・・・」
「バロル!」
「ああ、確か、魔女はどうも何かに弱いらしいんだ」
「何か?それだけ?」
「う、うん」
「あー!どうすればいいんだ!」
「迷ったときは迷わずに行動!とりあえず、行けばいいんだよ」
バロルがカイの背中を強く押しました。

「なっ、何するんだ!」
そして人気を感じた魔女がふりかえったのです。

「誰なの!?」
「あーーーえっと・・・こんにちは」
魔女はカイと同じ年くらいの女の子でした。
赤色の髪が腰まで延び、赤い大きな瞳でカイをみていました。
バロルから聞いた感じの魔女とは違っていました。

「だから、貴方は誰なの?」
「僕はカイ、その、君は魔女さんですか?」
カイの目の前にいる魔女は笑い出した。
「あなた面白い子ね」
少しカイはムッとしました。
「別に面白くはないけど・・・」
「でっ、ここに何しに来たの?」
「その・・・季節を巡らせる女王様の事で・・・」
「なるほどね。季節が変わらないからそれをやめて欲しいと、そういうわけね?もちろん嫌よ?断るわ」
「困るんだ!これ以上冬が続いたら、妹や弟は食べるものもなくなってしまう、それに民逹は皆、生きていけなくなるんだ!」
「だから?そんなの私には関係ないわ」
「何でこんなことするんだ?!」
カイは魔女がこんなことをする意味がわかりませんでした。そして返ってきた答えは驚くべきものでした。
「面白いから」
「・・・民逹が滅びる事が面白いのか?まだ幼い僕の妹や弟が生きていけないことが面白い?」
カイの心を怒りが塗りつぶしていきます。面白半分で人を困らせている魔女に、理解できないいらただしさが募ります。
そして、突然カイは魔女の前に置かれた水晶を叩き落とした。
「何するの!」
魔女は慌てて水晶を拾い怒りました。
そして、カイの方を向き、こう言いました。
「貴方なんかに何もわからない!一人で毎日この暗い穴の中にいる悲しみ!」
 カイの怒りは少し収まりました。魔女が放った理由がカイにとって理解できるものだったからです。
「それじゃあ、何故外にでようとしないんだ?」
「この赤い髪や赤い瞳を見ると、人は皆、怖がるわ!」
「そんなことない、俺が君を怖がっているか?」
「・・・生意気なヤツね。あーこうしてやる!」
魔女はカイに杖を向けました。
「貴方なんか、石になれー!」
そのとたん、カイは、石になってしまいました。

バロルは怖くて、隠れながら震えていました。
「バロル、隠れてるのは知ってるのよ」
「!?」
「出てきなさい!」
「はい・・・」
バロルはふっと顔を上げた。そう、思い出したのです。魔女の弱点を。

魔女の名前は、ティラナと言いました。
「ティラナ様、カイの心を覗いてください」
「心を・・・何故?」
バロルは震えながら、何度もお願いをしました。
「煩いわね!わかったわ」
ティラナは、水晶に手を当てて呪文を唱えました。
「カブラディオラ、カブラディオラーーー」
ティラナは水晶をじっと見つめていましたが、赤い瞳から涙がこぼれ落ちました。
「こんな、綺麗な心が人間にあったのーーー」
水晶に写し出されたカイの心は、真っ白に透き通っています。
ティラナは杖を持ち、石になったカイに向けました。
そうすると、カイはもとの姿に戻りました。
「へっ?僕はどうなったんだ?」
「カイー!」
バロルはカイに飛びつきました。
「バロル?俺は一体・・・」
「ティラナ様に石にされてたんだ。今戻ったところさ」
「そうだった!ティラナ、なぜ戻してくれてんだ?」
「貴方なら、友達に、なれそうだった、から・・・」
「友達?そうか、ティラナは友達が欲しかったのか。そんなのお安いご用だ。たった今心をぶつけ合ったしね。俺たちは友達になれるよ」
「・・・・」
ティラナは嬉しさを噛み締めているようでした。
「ティラナ、とりあえずみんなを助けたいんだ。元に戻してくれる?」
「ええ、貴方が王様の所へ行ったら、こう言って(これから、女王様逹の入れ替わりがあります)とね」
「わかった!ありがとう、ティラナ!」
「カイ!それでね、また遊びに来てくれる?」
「勿論、いやーーーティラナが来ればいいんだ、僕の家へおいでよ」
ティラナの手を、カイは握り、穴から走り出た。
そして、ティラナの杖に乗り、カイとバロル、そしてティラナは空高く飛び、王様の元へと行きました。

季節の女王様は、ティラナにかけられた魔法が解き放され、恋に迷う事が無くなりました。

そして春が来て、桜の花びらが舞い散り、暖かい日が訪れました。
野に草が咲き、牛や馬は走り回っています。

カイの家には、両親が戻り、ティラナもカイの家族の一員となり幸せに過ごしました。

おしまい。



















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