4day-2
「ふぁ〜、眠みぃ」
一は駅までの道のりをとぼとぼ歩いていた。
昨日、中途半端に寝てしまっていたため、夜に中々寝付けなく、結果的に寝たのは1時を過ぎた頃だった。
一が自分の腕時計を見ると、時刻は9時45分を指していた。
「余裕だな」と、一が思っているうちに駅の前まで着いた。
「え〜と、愛は、っと」
一は周りを一通り見た後にまだ来ていないことを視認すると、柱にもたれ掛かった。
「まだ、来てないか」
一がため息をついた時、
「誰がまだ来てないって?」
後ろから、声をかけられた。
「うおっ」
「おはよ」
いつの間に来ていたのか、そこには愛がいた。
「で、なんで周りを見回していたのに、私のことに気付かないのよ?」
気付く訳ないと、一は思った。
一の服装はいつも通り、ジーパンにTシャツ姿の普段着を着ているのに対し、愛は一の服の費用の何倍もしそうな、かわいらしいよそ行きの服を着ており、パッと見て普段の愛とは結びつかなかった。
「いやー、可愛すぎて、気付かなかったよ」
一は、とりあえず逃げるように笑って答えた。
「本当に?」
愛は多少不安げな気持ちを顔に含ませて聞いた。
「本当だって」
一の台詞は嘘ではなかった。
現に道行く人は、何度も愛の方を振り返っていた。
「あは、この服を着て来て、正解だったかな」
愛は照れ隠しに微笑んだ。
一はこんなところを見ていて、「本当に見た目なら、美少女と言ってもいいだろうに」と、心の中で呟いていた。
「あっ、そうだ。早く行こう。電車来ちゃうよ」
愛は一の手をとり急がせた。
「あっ、おい」
「はい、文句言わずに走る、走る」
愛は一の言葉には耳を貸さずに、握った手は離さなかった。
一はこの胸の鼓動が早くなるのは、走らせているからなのかも解らないまま、電車に乗る為、二人で走って行った。
しかし、愛は改札を通る時も手を離してくれなかったため、そこで無賃乗車と勘違いした駅員に止められ、結果的に二人は一本乗り遅れることになった……… |