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短編(ジャンルごった煮)

リリちゃんと、冬と春の女王様

作者:港瀬つかさ
冬の童話祭2017さんに参加させて貰うために書いてみました。
童話初チャレンジです。

 その国には、季節の女王様が住まう塔がありました。
 春夏秋冬、それぞれの季節を司る女王様たちは、定められた期間をその塔で過ごし、そうすることで王国には季節が巡るのです。それはもうずっと昔から決められていた、王国の当たり前でした。

 けれど、今年は違いました。

 いつまでたっても、春が訪れる気配がないのです。冬の女王様は塔に閉じこもったまま、外へ出てはくれません。そして、春の女王様も、塔へ姿を現してはくれませんでした。
 季節は、正しく巡らなければ意味がありません。長すぎる冬は、王国の人々だけではなく、動植物達へも影響を与えています。このままでは王国が滅んでしまうかも知れません。長い長い冬の果て、雪に埋もれてしまうかもしれない、と。
 偉い人たちはたくさんたくさん考えました。賢い人たちもたくさんたくさん考えました。けれど、誰も、その謎を解き明かすことはできません。冬の女王様は塔の中。春の女王様は現れない。それだけが、事実なのです。

「ねぇ、おかあさん。どうして冬はおわらないの?」

 王国の小さな街に住む女の子、リリちゃんはある日お母さんに問いかけました。窓の外はいつまでたっても雪景色。お父さんもお母さんも、街の大人達はみんな辛そうな顔をしているばかりの日々。ちょっぴり好奇心が旺盛な女の子のリリちゃんは、遂に耐えきれずにお母さんに問いかけてしまったのです。
 お母さんは困った顔をしながらも、小さなリリちゃんの身体を抱き上げて、目を合わせて答えてくれました。お話をするときは相手の目を見なければいけないのよ?というのが、お母さんの口癖です。

「冬の女王様が塔の中から出てこられないからよ」
「冬の女王さまはどうしてでてこないの?」
「春の女王様が現れてくださらないからよ」
「春の女王さまはどうしてあらわれてくれないの?」

 お母さんの答えに、リリちゃんは疑問をぶつけます。一度目はちゃんと答えてくれたお母さんですが、二度目は答えてくれませんでした。しばらく、哀しそうに微笑んでリリちゃんを見つめていたお母さんは、小さく息を吐いた後に口を開きました。

「…それは、お母さんにもわからないわ」

 それは、リリちゃんが聞いたこともないお母さんの声でした。そんな寂しそうな、辛そうな、苦しそうなお母さんを、リリちゃんは知りません。泣きそうになっているお母さんのほっぺたをリリちゃんは両手で包みながら、大丈夫よ、大丈夫よ、と必死に訴えました。お母さんが哀しい顔をしているなんて、リリちゃんには耐えられないのです。
 その日から、リリちゃんは考えました。どうしてかしら?どうしてかしら?と必死に考えました。冬の上様が塔から出てこない理由も、春の女王様が塔に現れない理由も、リリちゃんにはちっともわからないのです。わからなくて困ったリリちゃんは、数日後、遂に答えに辿り着きました。


「わからないことは、聞けばいいのよ!」


 それは、いつもお父さんとお母さんに教えて貰っていたことでした。リリちゃんはまだ子供です。解らないことはたくさんあるのです。その時に、周りの人に聞いて、ちゃんと教えて貰いなさいと言われているのです。解らないままで勝手なことをして、大変なことを引き起こしてはいけませんよ、と。リリちゃんは賢い良い子なので、その教えをきちんと守っていました。だから今回も、そうしようと決めたのです。
 リリちゃんは、お仕事で忙しいお母さんに見つからないように、お気に入りのポシェットにお小遣いを入れました。お腹が空いたときの為に、おやつのクッキーも入れました。水筒に水を入れて、ポシェットと同じように肩からかけると、お気に入りの真っ赤なコートを着て、白いマフラーと白い耳当て、手袋を身につけました。そうして、大好きな大好きな、白いふわふわのついたブーツを履いて、そっと外へと出て行きました。
 リリちゃんは、街で出会う人たちに、元気に挨拶をしながら歩いて行きます。目指すのは、冬の女王様が住んでいる塔です。女王様達が住んでいる塔は、王国のどこにいても見えました。そして、王国のどこからでも辿り着くことが出来ました。詳しい仕組みは、リリちゃんにはわかりません。ただ、女王様に感謝を捧げるために、塔のすぐ傍まで移動できる門が、どの街にも作ってあるのです。

「おや、リリちゃん。どうしたんだい?」
「門番のお兄さん、わたし、女王さまの塔にいきたいの。ごあいさつにいくのよ!」
「おや、女王様の塔にかい?まぁ、行っても構わないけれど、雪が深いから、気をつけるんだよ。それと、遅くならないうちに戻っておいで」
「だいじょうぶよ。だって、もうなんどもお母さんといっしょにいっているもの!」

 リリちゃんは笑顔で胸を張りました。そうです。リリちゃんは小さな女の子ですけれど、お母さんと一緒に何度も行った女王様の塔なのだから、一人でも大丈夫です。門番のお兄さんは笑いながら、門を開けてくれました。門の向こう側には、たくさんの人たちがいました。けれど、その誰もが困った顔をしているのが、リリちゃんは哀しいと思いました。
 てくてくと、リリちゃんは歩きます。真っ白な雪の中、リリちゃんの赤いコートはとても目立ちました。小さな女の子が一人で歩いているのは不思議なのか、誰もが驚いた顔でリリちゃんを見ます。けれど、真っ直ぐ塔に向かうリリちゃんはそんなことは気にしません。お構いなしです。だってリリちゃんの目には、女王様の塔しか映っていないのですから。
 塔の入り口の前に辿り着くと、リリちゃんは真っ直ぐと塔を見上げました。高い高い塔のてっぺんに近い場所に、窓が見えます。あそこに女王様たちが暮らすお部屋があるのです。リリちゃんは息を吸い込んで、大きな大きな声で呼びかけました。

「冬の女王さま、はじめまして!わたしはリリです。どうして春がこないのか、おしえてください!」

 ざわり、と周囲にいた大人達が驚きました。今まで誰も、こんなことをしたことはありません。女王様のご機嫌を損ねてしまう、と慌てて大人達がリリちゃんを捕まえようとしました。小さな子供の悪戯ですと、誰かが女王様に向かって叫んでいるのも聞こえます。
 リリちゃんはムッとしました。確かにリリちゃんは小さな女の子です。でも、ちゃんと考えて、一生懸命考えて、答えが知りたくて、ここまでやってきたのです。悪戯だなんて失礼です。

「冬の女王さま、りゆうがあるならおしえてください。わたしは、冬は好きだけど、春も好きなんです」

 真っ直ぐとリリちゃんは塔の窓を見上げて叫びます。やはり大人達が慌てていますが、気にしません。誰かがリリちゃんの口を塞ごうとしました。嫌々と、リリちゃんは暴れます。まだ答えを聞いていません。お話をしていません。絶対に嫌だとリリちゃんは大暴れします。


 くつくつと、楽しそうな笑い声が聞こえたのはその時でした。


 誰もが驚いて見上げてみれば、窓から顔を出しているとても綺麗な女の人がいました。全身銀色です。結い上げた髪も、切れ長の瞳も、身につけているドレスも全てが銀色でした。キラキラと輝くその姿は、リリちゃんには眩いばかりの雪景色と同じように、とてもとても美しく見えました。

「…きれいねぇ…」

 ぽつりとリリちゃんは呟きました。大人達は黙っていますが、みんな同じ気持ちです。そこにいるのは、冬の女王様でした。雪のように白い肌に、銀色の髪と瞳の、銀のドレスを身に纏った、それはそれは美しい女の人です。怖そうに見える面差しのその人は、リリちゃんを真っ直ぐと見つめて、やはり、笑いました。

「面白い童よな。…おいで。お話をしよう」
「はい!」

 周囲は絶句していますが、リリちゃんは気にしません。塔の入り口へと向かって歩き出します。誰もリリちゃんを止めることは出来ません。だってリリちゃんは、冬の女王様に招かれているのですから。
 そうして塔の入り口をくぐったリリちゃんは、階段を上ろうとして、足下が小さく光ったことに気づきました。何か綺麗な模様が描いてあって、それが光ったのです。驚いている間に、リリちゃんの姿はその場から消えてしまいました。
 眩しくて目を閉じていたリリちゃんが目を開けると、そこはお部屋の中でした。木の調度品に囲まれた室内に、先ほど見た綺麗な女の人が立っています。こんにちは、と綺麗な声で挨拶されて、リリちゃんはつっかえつっかえしながらも、こんにちはと答えました。

「それで、妾に話があるとはどういうことかな?」
「冬の女王さま、あの、どうして春がこないのですか?」
「ふむ。それはな、春の女王がこの塔へ来ぬからだ」
「春の女王さまは、どうして塔へきてくれないんですか?」
「まさに、妾もそれが知りたい」
「…女王さま?」

 はぁ、と大きなため息をついた冬の女王様に、リリちゃんは目をぱちくりしました。冬の女王様は、困ったように笑いながら、リリちゃんに説明をしてくれました。
 四人の女王様は、それぞれが受け持つ季節の間、この塔で生活をします。そして、次の担当の女王様がやってきて、交代して、初めて自分のお城に戻れるのです。次の人が来なければ、塔から出ることは出来ないのです。何故なら、女王様が塔にいないということは、季節が存在しないということになるからです。
 だから今、冬の女王様は、お城に戻りたいのに、戻れないのです。

「春は生真面目な性格をしているからな。今までこんな風に、遅れたことなどないのだけれど…」
「春の女王さまに、お話をきいたんですか?」
「聞いておらぬよ。というか、塔にいる間は、外の女王達と連絡は取れぬのだ」

 やれやれ、と疲れたように呟く冬の女王様。キラキラ綺麗な銀色が、どこかくたびれて見えました。本当なら、冬の女王様は今頃、自分のお城でゆっくりと休んでいるはずなのです。お仕事を終わっていても良いはずなのです。それなのに、春の女王様が来てくれないので、戻ることも出来ないのです。

「冬の女王さま、わたしが、春の女王さまにお話をきいてきます」
「そなたが?」
「はい。だから、春の女王さまのお城への道を、おしえてください」

 真っ直ぐと冬の女王様を見て、リリちゃんは言いました。冬の女王様はしばらく黙っていましたが、すぐに楽しそうに笑うと、白くて綺麗な手で、リリちゃんの頭を撫でてくれました。まるで雪のように真っ白なのに、その手はとても優しくて、暖かかったのです。

「それでは、お願いしようか。こちらへおいで」

 冬の女王様は、リリちゃんを連れて、塔の屋上へと向かいました。そこには、真っ白で銀色の綺麗な馬車がありました。馬車は馬車でも、引いてるのは天馬です。銀色の翼を持った、真っ白い馬でした。リリちゃんは目を輝かせて綺麗な綺麗なお馬さんを見ています。
 そんなリリちゃんに微笑みながら、冬の女王様は天馬に何かを囁いています。綺麗な馬車を見ることに一生懸命なリリちゃんは気づいていませんが、天馬は冬の女王様の言葉に何度も頷きました。そうして、リリちゃんは冬の女王様に促されて、綺麗な馬車に乗り込みました。

「真っ直ぐ春の女王の城に向かうように言い聞かせてある。…理由を聞いてきておくれ」
「はい!」

 リリちゃんは元気いっぱいに答えました。お行き、と冬の女王様が命じると、天馬は綺麗な声で嘶くと、空へ向けて駆け出しました。馬車の中のリリちゃんは、窓の外から見えるお空に大喜びです。空飛ぶ馬車に乗せて貰えるなんて、すごくすごく嬉しいことでした。
 そうして辿り着いた春の女王様のお城は、花が咲き乱れる温かな場所でした。冬に包まれて、雪に埋もれてしまっている王国とは全然違う、常春のお城です。たくさんの蝶々が飛び交いながら、リリちゃんと天馬の馬車を出迎えてくれます。
 リリちゃんは馬車から降りると、天馬に待っていてねとお願いして、お城の入り口へと駆け出しました。誰かいませんかと呼びかけても、お返事はありません。ドアノッカーをコンコンと鳴らしても、誰も返事をしてくれません。仕方ないので、リリちゃんはそぉっとドアを押してみました。そうすると、ドアはゆっくり開いたので、リリちゃんは意を決して乗り込みました。
 春の女王様に怒られるかも知れません。でも、リリちゃんは冬の女王様に頼まれたのです。それに、リリちゃんだって、お母さんだって、お父さんだって、街の人たちだって、みんな困っているのです。冬は嫌いじゃ無いけれど、それでも、長すぎる冬は困ります。春が来ないと、困ります。それをちゃんとお話するために、リリちゃんはここに来たのです。
 広いお城の中を歩いていると、どこからかしくしくと女の人の泣き声が聞こえました。リリちゃんは耳を澄ませて、声のする方へと走ります。そうして辿り着いたのは、お城の中でも一番立派そうなお部屋でした。そぉっとドアを開けてみると、部屋の中央、テーブルに突っ伏して、女の人が泣いていました。
 柔らかな緑色の髪が、ふわりと広がっています。それはまるで草の絨毯のようで、リリちゃんは綺麗ねぇと呟きました。その呟きが聞こえたのか、驚いたように女の人が顔を上げます。吸い込まれそうな緑の瞳が、涙に濡れながらリリちゃんを見ていました。

「…貴方は、誰?」
「はじめまして。わたしはリリです。あなたが、春の女王さまですか?」
「……えぇ、そうよ。私が春の女王です。どうしてここへ?」
「冬の女王さまに、どうして春の女王さまがこないのかを、きいてきてほしいといわれて、きました」

 リリちゃんが答えると、春の女王様はわっと泣き出しました。リリちゃんは大慌てです。どうしたら良いのかわからずに、泣いている春の女王様の背中を撫でました。だいじょうぶよ、だいじょうぶよ、と何度も言いながら撫でるリリちゃんです。リリちゃんが哀しいことがあったとき、お母さんがこうして慰めてくれたのを思い出したからです。
 しばらくして、春の女王様は泣き止みました。それでもまだまだ哀しそうでした。リリちゃんはどうしたら良いか解らずに困っていましたが、春の女王様がぽつりと言葉を零したのです。


「だって、春が来ない方が良いって思っている人が、いるんですもの」


「えぇ?!」

 リリちゃんは驚きました。どうして?と問いかければ、春の女王様はぽろぽろと涙を流しながらも答えてくれました。
 冬が終わりに近づいて、自分のお役目が近づいたと解った春の女王様は、支度をして塔へ向かおうとしました。いつも通り、ちゃんとお仕事をしようと決めたのです。

 けれど。

 ふと、風に乗って聞こえてきた街の人々の声の中に、春が来ない方が良いと言っている人がいたのです。大半の人たちは、寒い冬が終わって、実りの春が来ると待ち望んでくれていました。けれど、今まで一度も、春が来ない方が良いなんて言われたことの無かった春の女王様は、衝撃を受けたのです。哀しすぎたのです。
 そして、どんな理由かを調べてみました。耳を澄ませてみました。
 それは、春にはれば親しい人と別れなければならない人たちの、声でした。春になったら別の街へ出稼ぎに行く人の話。春になったら、仕事が終わって元の街へ戻らなければならない人の話。学びに行く人の話もありました。卒業する人の話もありました。とにかく、多くの人にとって春は別れの季節で、春が来なければ別れも無いのにと言われていることを知ってしまったのです。
 春の女王様は何も悪いことはしていません。自分の仕事をしてきただけです。けれど、自分が司る春が、別れの季節だなんて言われたら、どうして良いのかわかりません。人々が悲しむことなんて、したくないのです。
 そういう話を聞いて、リリちゃんは目を大きく見開きました。リリちゃんは小さな小さな女の子です。難しいことはわかりません。お仕事も、お勉強も、リリちゃんにはわからないことです。でも、わかっていることはちゃんとあります。

「それでも、たくさんの人が春をまってます!」
「……リリちゃん?」
「春がこないほうがよいっていってる人がいても、春がきてほしいっておもってる人もいます」
「……けれど、望んでいない人に、別れを悲しむ人がいるのに、私は…」
「ダメです、女王さま!それじゃあ、みんなが死んじゃいます!」

 ダメダメとリリちゃんは大きな声で叫びました。春の女王様は驚いたようにリリちゃんを見ます。季節を司る女王様たちはどうか解りませんが、人間は春が来ないと死んでしまいます。人間だけじゃありません。動物も植物も、春が来なければ弱ってしまいます。今だって、雪に埋もれていく王国では、食べ物が育たなくてみんなが苦労しているのです。

「女王さま、春がこなくて困っている人もたくさんいます」
「…でも」
「春がこないほうがよいっていってた人たちは、今もそういってるんですか?」

 何となく気になって、リリちゃんは問いかけました。違うと思ったのです。春が来ない方が良い。別れが寂しい。そういう風に言っていたという人たちは、本当に春をいらないとおもっているわけではない、と。春の女王様がきょとんとしていますが、リリちゃんは気にしません。だって、その人達だって、今は冬が続きすぎて困っていると思うのです。
 しばらく春の女王様は目を閉じて、何かを聞いているようでした。彼女が何をしているのかは、リリちゃんにはわかりません。とにかく、リリちゃんは大人しく待っていました。
 しばらくして、春の女王様は驚いたように顔を上げて、立ち上がりました。大変、と小さく叫んだ春の女王様を、リリちゃんはじっと見つめます。

「大変よ。大変だわ」
「春の女王さま?」
「春が来ない方が良いと言っていた人たちも、困っていたわ。冬が続いて困っていたわ」

 大変大変と言いながら、春の女王様は部屋の中を走り回りながら、旅支度を調えています。リリちゃんは首を捻りました。そんなリリちゃんに向けて、春の女王様は嬉しそうに笑って言いました。

「大切なことを教えてくれてありがとう、リリちゃん。私は、私のお仕事をしに行くわ。冬の女王に伝えて頂戴ね」
「はい、わかりました!」

 大変よ、大変よ、と支度を調えるために走り回る春の女王様にぺこりとお辞儀をして、リリちゃんは転がるように走って、馬車の元へと戻ります。天馬に冬の女王様の所に戻ってくれるように頼むと、リリちゃんは馬車の中に潜り込みました。リリちゃんが馬車の中で座ると同時に、天馬が空へと駆け上がります。そうして、あっという間に馬車は塔の屋上へと戻っていきました。
 塔の屋上では、冬の女王様がリリちゃんを待っていました。リリちゃんは扉を開けて馬車から降りると、冬の女王様に笑顔で言いました。

「冬の女王さま、春の女王さまは、今、こちらへくるじゅんびをしています!」
「おや、本当か。ありがとう、リリ」
「いいえ、リリちゃんは何もしてません」
「それで、春は何故来なかったのかね?」
「……春をいらないっていう人がいて、かなしかったそうです」

 リリちゃんはちょっとしょんぼりしながら答えました。誰だって、いらないなんて言われたら寂しいです。リリちゃんはどの季節も大好きなので、春をいらないと言った人の気持ちがわかりません。そんなリリちゃんの頭を優しく撫でで、冬の女王様は困ったように笑っていました。

「冬の女王さま?」
「そなたが悪いわけではないよ。…まったく。女王だというのに、まるで子供のようだ」

 呆れたように春の女王様について呟く冬の女王様に、リリちゃんはきょとんとして、けれどすぐに、笑顔になりました。だって、冬の女王様の顔は、とてもとても優しい、笑顔だったのですから。



 そうして春が訪れたけれど、リリちゃんは自分が女王様達とお話ししたことは、誰にも言いませんでした。


FIN
童話ってなんだっけ?と思いつつ書いてみましたが…。
色々とアレだとは思いますが、とりあえず企画に参加してみたくて、滑り込みで頑張りました。
今度からはもっと、ちゃんと計画を立てて参加したいと思います…。
ご意見、ご感想、お待ちしております。
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