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ブサイクの逆襲  作者: 黒田 容子
おまけ。
31/33

実力の無駄遣い

毎度あり!

人材派遣会社に勤めてるあたし、権田藍よ。コンニチハ



これはとある夜のこと


きむきむきむきむきむ! FLASH!!どうだ!」


 とある客先に出したとある作業員名簿を…


 金永良きむえいりょうさんと

 金光徹きむぐぁんちょるさんと

 金哲志きむじぇあじさんと

 金仁照きむいんじょさんと

 金在旭きむじぇうくさん


 上記 計五名、

 全部同じ名字で揃えてやったぜ。


 客先困るだろうけど、

 たまには、これぐらいのことやってもいいよね?

 ダメかしから?




 そもそもの始まりは、〆をやりながら、モニターみてた時だった。

「権田さあん、電話でーす」


 だいたい、こんな時間に掛かってくる電話にロクな内容はないんだけど、さ。


 まあ出てみたら、

「明日、作業員ひと出る?」

 受注の電話だった。


 シメで残業してた最中だし、本当はイレギュラーな客先に構ってるヒマないんだけどな… 困ってる人助けは、悪いことではない。

 ご要望通り作業員を手配してみたの。

 

 まあ、ここまでは優等生よね。


 だがbut!

 出した名簿は オール在日アジア人。中国人が1人、朝鮮人が3人、韓国人が1人… まさかの全員同じ名字。

 半分狙ったと言えば狙ったんだけど、


 あ、やっぱ掛かってきたか。案の定、さっきの客先から電話が掛かってきた。


「なんなんだよ、あの名簿!!」

 あー、やっぱり笑いながら怒ってる。

「フリガナ振ってくれよ!っーかよ、日本語通じるのかよ?!」

 残念でしたー その辺はばっちりでーす

「全員、日本語通じまーす」

「…あんなあ…カタコトとかじゃねーだろな?」

「問題ないと思いまーす!日本生まれの日本育ちなんで読み書き問題なしでーす!」

「ハア?ややこしい手配しやがって。」


 そんなこと言っちゃうわけ?いいの?ひっひっひ。


「みんな良い子ですよ?」

 それも、物凄く良い子。そしてほとんどのご親類が本国(といわず世界でご活躍な)のエリートなので、子供も非常に品行方正、聡明ときたもんだ。


「わかった、わかった!これで荷主に名簿出すよ!!」

 客先はしぶしぶと言わんばかりに電話を切ってくれた。


 はーい 毎度ありー




 あれから数日後。

「お前な、俺の仲間んトコに面倒な名簿出すんじゃねえよ」

 悪事?は、後日 予想外の所でバレた。


 出所は、とあるスーパー登録作業員こと武藤さん。通称武藤のオヤジさん。

 この人は、昔、大手商社の物流センターで課長さんだったんだけど、その現役時代のコネが恐ろしいこと、恐ろしいこと… 


 ウチの会社の所長クラスが寄ってたかっても負け続けたとある客先の課長さんとの料金交渉を 

「あぁん?どこぞの海っペリに飛ばされた小僧だろ?アイツの親父には俺、相当呑ませてやったんだぜ?

 あんにゃろ、なにフザケたこと言ってんだよ。」

 オヤジさんは、そこから電話一本で

「てめえ、そんな金額で大の大人が喰って行けると思ってんのかよ?マトモな男なら、絶対ぇ勤めねぇんじゃねえか?」

 一喝したかと思うと、料金交渉はあっという間に成功してしまった。



 だから今回みたいに、若干の悪ふざけをすると…


「残念だったな?お嬢。俺とアイツは、ガキの時分からの付き合いでな。この前、アイツんとこの倅の野球を見に行った時、聞いたんでぇ 」

 マジかあ、しっかりバレてやんの…


 ニヤニヤしながら、一緒にいた同僚が聞いてくる。

「権田さん、何、やったの?」

 武藤さんは、ヘッと笑いながら答えた。

「ヤッコさん、全員 きむで 揃えやがって。呼べば全員振り向くんだぜ?どんだけやりづれぇんだよ?」


 あたしは、自分も悪いんだけど、悪事がバラされて恥ずかしいやら腹立たしいやら。


 あんにゃろー!変なところでチクりやがって。

 営業時間外にキッチリ作業員ひとだしてやったんだから、文句云うんじゃねえっちゅうねん!


 誰が懲りてやるか、コンチキショー

 次回は超美人ベトナムガールで固めて名簿だしてやる! 

 全員「グェン」で始まる五人組だぞ、せいぜい驚きやがれ!


 ヒーッヒッヒッヒッ!

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