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ブサイクの逆襲  作者: 黒田 容子
おまけ。
30/33

人を呪わば、穴いくつ?

 あたしには、一つ 本社に言えない特技が一個ある。それは…


 ある日のこと。イヤな通達が回ったなーと思ったら、案の定「どうするぅ?」社内電話が鳴った。


「今度の監査、またお願いしたいんだけど?」


 うわ、やっぱ掛かってきた!


 生まれつきなのか、手先が器用なあたし。

内部監査の度に、作成が間に合わない書類の偽造を手伝ってきたんですよ、それも、支店中の仲間たちから。

 

 元々はね、自分の客先が監査になった時、偽造したんだけど、それが何かの拍子に漏れちゃってね…


「偽造って分からない出来映えでさー」


 評判が評判を呼んで、以来 監査シーズンは毎回繁忙期だったりする。


 こんな調子で、回収しそびれた相手客先のサインや印鑑、社判の偽造などなどを、合間見ては、作ってきた。


 中でも一番やりたくないのは、社判。丸印はフォントさえ覚えれば何とかなるけど、社判は…バリエーションが多すぎるから…結構時間掛かるのよね。


「本当に今回は勘弁して」


 バレたら絶対処分だ。でも頼む方も諦めてくれない。



「いままで大丈夫だったじゃん?それに、ほぼ公然の秘密でしょ、アンタが偽造してるのは。」


 とにもかくにも そもそも、所長、支店長経費の落とせない領収証関連の偽造にも、何回か関わっている。


「困ったら権田に相談。」とばかりに、話が回ってくるので、たぶん 本社の総務課も経理課も営業管理課もコンプライアンス業務課も、いい加減知ってると思うんだよね…


「もー今回はヤダ。だって、監査すんの…例の係長様かなこのだーりんでしょ?」


「大丈夫だよ、あんな本社出禁のヒマな係長」


「ヒマだからこそ、困るんじゃん。時間は有り余るくらいあるのよ?…あたしの手口、知ってるからやりづらい。」


 今回は断りたい!!カナコの(逆)恨みも相当買ってるので、このタイミングでは、人様にいえない事だけは、やりたくない。


「大丈夫!言わせないし、言えないしょ?」


 だーかーらー!その根拠はなんなのよ!


 あの本社案件大失敗事件以来、カナコ彼氏の信頼はどん底に落ちた。

 本社からは、案件一つ成功させられない男とみられ、事業所間では、空気も読まないで仕事を増やす厄介者として認知されている。


 …まあ ハメた中にあたしも入ってるからさ…むしろ、あたしってその主犯?

「勘弁してよ…恨みは相当買っている今、漬け込まれるような事はしたくないのよね」


 頼むから、自衛させて。


「そんな心配しなくてもいいのに。今更、『これ、偽造です』って騒いで誰が信じるのよ。各事業所を敵に回すような事言わないでしょ?」


「それでも気がのらなーい」


 アンタたちは良いわよ、人に頼むだけだもん。こっちは、カナコという密偵いるのよ?どこで仕事しろって言うのよ。


 そんな時だった。

「じゃあ良いわよ」


 やった!免除?心がぱあ~と明るくそして軽くなる。


ところがどっこい…


「ウチの所長が、そっちの所長と話つけて、『書類確認のヘルプに来れないか』進めてもらうから」


 ズドーン!やーめーてー 上を活用しないでくらさいー!


「ウチだけでも、権ちゃんの手口が分かってれば、監査の時いくらでもフォローするから」


 あのさあ?

 なんでそっちの方向に持ち込むかなあ?

 そろそろ手口教えるから、自分でやろうぜい?




 アタシは一つ、学習した気がした。

 因果応報。自業自得。

 

 よいこのみなさん、悪いことは やっちゃダメよ?

 足洗うときが、大変だから…


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