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春風 ~四季の想い・第二幕~ 作者:雪原歌乃

第四話 彼女と彼女の間

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Act.3-02

『えっ、高沢君も休みなの?』

 予想外に、朋也の休みに涼香が食い付いてきた。

『私も休み。先週の日曜が出番だったから、代わりに今週の金曜が休みになったのよ』

 奇遇ねえ、と妙に喜んでいる。

 金曜日に涼香と休みが重なった。
 だからどうした、ともうひとりの朋也は言っているが、わざわざ休日アピールをしてきたことも何となく気になる。

『一緒に飲みにでも行く?』

 躊躇いもせず、サラリと朋也を誘う。
 もちろん、深い意味はないのは分かっているものの、本当に怖いもの知らずだと改めて感心させられる。

「いいけど、俺と飲んでも大して楽しみはないぞ?」

『別に気にしないわよ。私は単に美味しいお酒を飲みたいだけだから。ちょっと、ウチの上司にいい感じの店を教えてもらったしね』

「女の友達と行けばいいのに。紫織でもいんじゃない?」

『紫織はダメよ。あの子は下戸だから。どっちにしても男性受けしそうな雰囲気の店だから、高沢君と行った方が絶対いい』

「――山辺さんは男じゃねえだろ……」

『あら、普通に〈女〉として見てくれてたんだ!』

 何気ない一言が嬉しかったのか、涼香はケラケラと笑い出す。
 いつまで笑っているのだろうと思っていたが、笑い声はわりとすぐに収まった。

『そんなわけだから、良かったら予定を空けておいて。出来れば休前日の木曜日。あ、どうしても無理だったら、ギリギリでもいいから連絡ちょうだい?』

「分かった」

『悪いわね、勝手に決めて。それじゃ、また今度。おやすみなさい』

「おやすみ」

 最後の挨拶をしてからも、向こうからの電話は切れない。
 朋也は少し悩んだが、結局は自分から通話を切った。

 誓子に引き続き、涼香から電話がかかってきたことで忙しなかった。
 しかし、涼香と話をしたら、不思議と心が穏やかになっていた。

 涼香と誓子の強引さは似ているようで似ていない。
 涼香は誓子と違い、ほど良い距離感を保ってくれる。
 ましてや、男に『好き』などと軽々しく口にはしない。

「って、そもそも彼女が俺を好きなわけねえし……」

 自惚れにもほどがあると思いながら、朋也は自嘲した。

「それにしても、いつ帰ってくるんだか……」

 朋也は隣のベッドに視線を向ける。
 合コンに一番乗り気だった充のことだ。間違いなく日付が変わった頃の帰宅になるだろう。

「さて、俺は寝るぞ」

 まだ帰っていないルームメイトに告げ、朋也は瞼を閉じる。
 アルコールがいい具合に眠りを誘い、数分も経たないうちに意識が遠のいた。
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