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遅くなりまして、申しわけございません!!

ルカ「遅い!!」

ひぃ!!

ルカ「今度からはちゃんとしてよね」

はい。

ルカ「ポケ神の先輩達も一周年迎えていろんな人に祝ってもらえて、うらやましいな」

そうだね。でもルカ達もきっといつか祝ってもらえるよ。

ルカ「それまで続いてるよね?」

う、うん!

ルカ「何そのためらいは!!」

本編をどうぞ!

ルカ「あ、待てKaryu!」
ルカ
第五章:豪華客船サント・アンヌ号 III:秘伝の漢方
サント・アンヌ号 ショッピングモール:

 漢方豊、という漢方に熱心な人なら名門中の名門店が今、目の前にある。

「ほわぁ~」

 自然と気分が高揚とした感じになるのは抑えがたい。すごい。

「んー。良薬口に苦しと名高いのは匂いも強烈だねー」

 鼻孔をくすぐるのは漢方特有の匂い。でも、臭いじゃない。あくまでも匂い。

 ガーディはさすがに限界みたいだけど……。

「戻って、ガーディ。シャワーズはどうする?」
「フィ~~~!!」
「あ、ごめん。戻って」

 やっぱりポケモンは嫌いなのかな?

 私は二匹のボールをウエストバッグへと戻して、店の中へと入る。

 店の中は所狭しと薬棚が並べられている。隣国の中国という国から伝わった整理方法で、漢方や生薬はそれぞれに分類がされていて、棚に書かれている薬名と同じ場所に入れられなければならない。

 龍脈という気の流れにも重みを置いている中国では、どの漢方がどの漢方の近くにあるかでその効力を増したりするという伝承があるって聞いたことがある。

 店内も赤い薬棚が並べられて、その奥のカウンターに人影が見える。

「いらっしゃい」

 私の来客に対応してくるのはおばあちゃんだった。

「ほぅ、漢方に興味があるかえ?」
「あ、はい!」

 私は目がいっていた棚から視線を戻す。

「メディター志望かのう?」
「はい、そうです」

 おばあさんは私に優しく語りかけてくる。

「あ、ごめんなさい」

 とん、と私の背中にぶつかってくるのは私と同年代ぐらいの女の子。

 黒くて長い髪が綺麗でさらさらしている。

「おや、また来たのかい?」
「はい。お願いします」
「いつものだね?」
「はい」

 おばあさんとその子は面識があるのか、そんな感じの会話をする。

 女の子はおばあさんが用意をしている間に私の方へと振り向いてくる。

「あなたも漢方?」
「え? あ、うん」

 その子のもっとも印象的な部分といったら、やはり着こなしている巫女の服だろう。

 ハナダ神社の時、カナとも一緒にみた巫女さんの服を彼女は着用している。しかも、なんか高級感溢れるような生地が目に優しくも眩しい。

「わー、同い年ぐらいの子で同じ趣味があるなんて! よろしくね!」

 巫女姿の子が私の手を両手で握ってくる。

 私は突然のことにあわあわとしてしまう。

「えーとっ……」
「あ、ルカです。ハヤミ ルカ」
「ハヤミ……? どこかできいたような……」

 その子は何やら思いだそうとして頭を少し抱える。

「えっとー」

 私は握られた両手を見ながら、ちょっと困ったように上目づかいでその子を見上げる。

「ああ、ごめんなさい。私はスグラノ ハル。ハルって呼んでねルカちゃん」

 輝いていて、眩しいくらいの笑顔でハルちゃんが微笑みかけてくる。

「う、うん」

 でもその子のペースに乗りきれない私はちょっとおどおどしてしまう。

 わ、私が他人のペースに巻き込まれるんて!!

 そこでちょっとしたショックを受ける……。

「ハルちゃんは、どうしてそんな格好してるの?」

 私はおばあさんがカウンターの裏の在庫室から戻ってくる間、話を繋げる。

 ちょっと失礼だったかな?

「あ、これ? 私はね、アルセウス教なんだ。それで今日はその祝日なの」

 アルセウス教。聞いたことがある。

 ううん、勉強したことがある。

「アルセウス教って……まだあったんだ」
「あ、ちょっと傷ついたよルカちゃん」
「あ、ご、ごめん!」

 アルセウス教は昔に生まれた宗教。それで聖戦の後には様々な地方や場所から潰えたときいている。

 私だって無宗教だし……。

「確かにアルセウス教って、ほとんど消えちゃってるけどちゃんとまだ信仰されてるんだよ」

 自分の存在をアピールするようにくるりと狭い店内で回転してみせる。白い小袖と袴がふわりと遠心力で小さく浮く。

「へぇー……。そうだったんだ。ごめんね、知らなくて」
「ううん、今こうやって知ってもらえたから嬉しいよ。ルカちゃんも、興味ない?」

 ぐいっと私を自らの袖元まで手繰り寄せて、小声で私に囁きかけるハルちゃん。

「ハルちゃん、勧誘?」
「んふふ、どうですかい?」

 ノリの良い子なんだな。嫌いじゃない。

 私はなぜか微笑んでしまう。

「ん、どうしたの?」
「ううん、ハルちゃんって面白いなって」
「……」

 なぜか頬を赤らめるハルちゃんはそのままだんまりとなってしまう。

「はい、お待ちどうさん。これだね?」

 奥から出てくるおばあさんが抱える小さな木箱にハルちゃんは反応してカウンターへと向かう。

「うん、ありがとうございます!」
「いいやいいや。またきんさい」
「はい!」

 ハルちゃんは大事そうに木箱を両手で握っておばあさんにお礼を言う。

「それじゃあね、ルカちゃん! また、会おうね!」
「あ、うん! バイバイハルちゃん」

 大きく手を振るハルちゃんはすごい勢いで店から出ていく。

「おやおや、もう友達になったんかえ? 若いもんはいいのお」

 乾いていて、でも柔らかい声でおばあさんは笑う。

「あの、ハルちゃんが買った漢方ってなんなんですか?」

 やっぱり興味が湧いた。

 アルセウス教は、自然の治癒力に特化した医学に富んでいたことは知っている。というか、それぐらいしかしらないんだけど……。

 その信者のハルちゃんが大事そうに買ったものは、やっぱり気になる。

 漢方とは複数の生薬を組み合わせた方剤のことをいう。まあ、自然のものを用いてつくられた天然の手作り薬みたいなもののこと。

 その種類は多岐に渡って、用法も全部全部が異なる。

 昔の人は今みたいな医療技術が無かったからアルセウス教みたいに人間とポケモンが自然の中で生まれるのであれば、必要なもの全てが自然に宿り、循環するという理念のもとに漢方を用いた漢方医学が盛んになった。

「あの子が持っていったのは百年は生きるといわれるパラセクトのキノコからつくった漢方じゃよ」
「そ、そんなのがあるの!?」

 パラセクトのキノコの胞子は猛毒であることで有名だけど、その胞子を漢方にもできることを授業でならったことがある。そして百年生きるということは、そのパラセクトもだけどキノコ自体の持つ胞子が万能なことを示している。

 強力な毒程効用がある。それは毒を以て毒を制すという考えにも関連している。

 それは是が非でもお目にかかりたい。

「ああ。うちでしか仕入れない、このサント・アンヌ号でないと仕入れることのできない貴重な漢方薬じゃよ」
「こ、効果は!?」

 百年生きるパラセクト……。それでいてあの少量しか手に入らない。どんな効用があるのかすんごい、すっごい気になる!

「パラスに生えておるキノコが冬虫夏草だというのは知っておるな?」
「うん」
「冬虫夏草の効用は、主になんじゃ?」

 冬虫夏草。虫ポケモンに寄生する菌の一種。

「確か、健肺、強壮効果、そして抗がん効果だったような……」
「そうじゃの。しかし他にもパラセクトになるとな、万能薬として使われておる」

 万能薬。それは医学界においては奇跡と呼んでも過言ではない薬。

「ほんとに……?」
「うむ、そしてそれをポケモンに用いることで様々な効用をもたらすのじゃ」
「ほぇぇ」

 私は夢想してしまう。

 そんなすごい薬があったなんて。それさえあれば、カナも治るかもしれない。

「それって、もうないんですか?」
「いや、あるぞ?」
「ほ、ほんとに!!」
「なんじゃ、欲しいのか?」

 おばあさんの下から私を誘うような視線に、私は興奮によって若干汗ばんだ顔を縦に振る。

「うん!」
「よし、待っておれ」

 ガーディ達には悪いけど、そんなレアアイテムが手に入るなんて夢にも思ってなかったし!

 ハルちゃんの時に比べて断然にはやくおばあさんは戻ってくる。

「これじゃ」

 出される小さな木箱の中には白い油紙に綺麗に包まれた茶色い粉塵があった。

「こ、これが」
「うむ、パラセクトの秘伝薬じゃ」

 手が震えているのがわかる。

 こんな、メディターでもない私が万能薬をもっている。

「も、もらえますか?」

 声が震えるのもわかる。

「証明機を出してくれるかの?」

 証明機とはポケギア・ポケッチ・ポケナビのことで今ではそれが個人のIDとして成り立っている。

「はい」
「ほぅ、あんたもS区かえ?」
「え?」

 おばあさんが私のポケギアをID照合機とへ通す。

「さっきの子もS区なんじゃよ」
「え?」

 ああ、だからあの子そのまま行っちゃったんだ。

「最近の若いもんは良い趣味をもっとるな。ふぉふぉふぉ」

 それと私は気になっていたことを尋ねる。それはカナのこと。もしかしたらこの薬で治せるのかもしれない。そしてチイラの実のことも。

「ふむ、そういえばハナダシティは大変だったみたいじゃの。しかしあんたの話を聞いている限り、この漢方では難しいかもしれん」
「え?」
「漢方は、そもそも予防の薬じゃ。この秘伝薬に至ってわ万能薬と言われてはおるが、万能な故に極所的な欠陥には効き目が薄い。聞く限り、その友達は背骨に【毒針】が刺さっておる……それを治すにはチイラの実の他にはあるまい」
「チイラの実はここには……?」

 期待を込めて、おばあさんに聞いてみるけど首を横に振られてしまう。

「お目にかかれるのであれば、この老婆も一度は見てみたいものじゃよ」

 それはそれほどまでに希少なものみたい。

 パラセクトの秘伝薬が入った手渡された木箱と共に、私はおばあさんにお礼を告げる。

「ありがとうございました」
「また、きんさい」

 カナを治す為の治療薬は手に入らなかったけど、胸の高鳴りが治まらない。

 か、買っちゃった……。ううん、手に入れちゃった……。

 はわぁ……感動。

 それはメディターを目指す私だから、有頂天になっているのかもしれない。カナのことはもちろん心配、でも私はカナのことを信じて前に進むしかない。その為にはホウエンに行かなきゃいけないんだ。

 私はポーチに木箱を大事に入れて、マップを見直す。

「えっと、次はどこへ行こうかな?」

 そう思った矢先に、館内アナウンスが流れる。

『サント・アンヌ号乗船の皆様、後15分程でドレスコードのお時間となります。規定されました服装で残りの一日を満喫してくださりますようお願い申し上げます。繰り返します。後15分程で―――』

 あ、そっか。もうこんな時間なんだ……。

 今日はもう部屋に帰ろっかな。

 私はさっさとS区へと戻る為に歩き出す。

 豪華絢爛な船内は乗っている人も紳士婦人の方ばかりで、恐縮しちゃう。

 なんか私がS区にいてもいいのかなっていうぐらいだし……。

 でも、折角だし楽しまなきゃ損だよね。

 うんうん。

 私は自分の客室へと戻って、ナイトガウンをドレスの上に羽織る。

「わー、凄いきれい」

 ちょっとハルちゃんの真似をして一回転とかしてみる。

 ふわっと体にまとまりつくけど優しい感触をもたらすドレスの生地……。そして暖かいにもかかわらず、そんなに肩に重みを感じないガウン。

 私って、セレブ?

 そんな妄想が駆け巡り、私は夜のサント・アンヌ号へと赴く。

 さ、ごはん、ごはん~♪
なるべく更新を早くしたいと思います。

ルカ「秘伝薬~♪」

満喫しているのでルカのご機嫌はきっともう少し長く続くでしょうw

ルカ「るんるん~♪」

それでは次回w


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