我が一族の当主に代々受け継がれている禁断の箱が今俺の目の前に置かれている。
俺の名は【魔矢】
当主である父が突然の不慮の事故にあったと聞かされ、今日当主となった。
『さぁ、当主となった魔矢にはこの箱を受け継いでもらうことになる。』
『ではこれを。』
父と同じ年齢の親族から当主が保管するべく箱を受け取った。その箱には護符が貼られ、何十にも紐で縛られている。魔矢は緊張した面持ちでじっと箱を見つめた。
【ゴクリ。】
この禁断の箱の中に何が入っているのかは当主以外には秘密とされ、親・兄弟であっても明かすことは禁句とされていた為、前当主である父が亡くなってしまった今、それを知るものはいない。そのため、禁断の箱とは言われているものの中身が分からないとあってはどう扱ったらよいのかも分からない。そこで今集まっている親族に開けて見てもいいかどうかを聞いてみると、皆一様に首を横に振った。
『叔父さん、中身が分からなければどう扱ったらいいのか分からないよ。』
『そうだな、魔矢の言い分にも一理あるな。』
『だが、その護符を破ってしまった後、良からぬ事があったらどうするのだ?』『けど、私達の先祖が代々受け継いできたものが、呪いとも何の関係も無いものだった場合は?』
親戚一同皆黙ってしまい、皆顔を合わせないようにそれぞれが違う方向を見ていた。
魔矢の言うことにもいちりある。だが呪いがかけられていた場合の事を考えただけで皆怖くて仕方がないのも事実。
でもこんな調子では堂々巡りになるだけ。そこで魔矢は別室に一人で行き、そこでその箱を開けることにした。
床の上にそっとその箱を置き、そして慎重に紐を解いて行く。
【スルッ】と簡単に紐は解け、残されたのは色が変色をしている護符のみとなっていた。
魔矢はほんの少しの間その箱をジッと見つめていたが、意を決してその護符に触れた。そして、箱から引き剥がそうとしたが、全く引き剥がせない。
『古いはずなのになんで引き剥がせないんだ?』
奇妙に思いながらも護符のふちに爪を立てて引っかいて無理やり引き剥がしていった。
ビリビリと音を出しながら徐々に剥がれていく紙を見つめながらドキドキしていた。
そして、剥がし終えた後の箱に両手を添えて蓋を開けた。
その中に入っていたのは不気味な仮面だった。真っ黒なのに不気味に艶があり、口元だけは異様に赤い。そして何より恐怖を感じたのはその仮面が鬼だったからだ。ひたいには巨大な角が二つも・・。
魔矢は蓋を開けた事を後悔したが、今となってはどうしようもならない。元に戻そうと蓋を取ろうとした時、置いたはずの場所にそれがない事に気付いた。
『ちょっ、まずくないか?』
独り言をブツブツと言いながら蓋を探した。
仮面から目を離していたのを忘れ、回りを見回していた。
ドキドキしながら蓋を探していた魔矢の後ろ、空中にそれは浮かんでいた。そう、仮面が・・・。
背中に寒気がしてさっと振り向いた時、その瞬間に魔矢の顔に張り付いた。
『う、うわぁ〜!!』
恐怖で叫びながら顔からとろうとしたが、しっかりと張り付いて剥がれない。
汗をかきながらも必死に・・・・。
しかし、しばらくすると両手をだらりとたらし、体をゆらゆらと揺らしながら立ち上がった。
そして、そのまま台所に歩いていくと包丁を手に親族がいる場所へと歩いていった。
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