どうも作者です。
ど〜も自分の言っていた「一週間以内の更新」が出来なさそうなことに気づきました(汗
今のペースだとだいたい二週間前後ぐらいが限界みたいです(汗
情けない限りですが、どうかお許し下さい(土下座
時間があるときは出来る限り早くしたいと思います。
第二十五戦:心配性の少女
あれ? ここどこだ?
「―――………………………」
たしか俺は桜木先生と戦ってて…
「―――…………………」
それでブッ飛ばされた所までは覚えてんだけどな…
「―――……………な……」
ん? 何か…甘い匂いがするな…
「―――……ら……な……」
食べ物の匂いじゃないな…でも…すげぇいい匂いだ…
「―――…ら…な…!」
それに頭の後ろが暖かいな…ほんわか包み込むみたいな温度は人肌ぐらいか?
「―――ら…い…な…!!」
あぁ…ずっと寝ときたいなぁ…さっきから誰だよ、俺に向かって叫んでるのは…
寝かしてくれよ…せっかくいい枕で寝られるんだからさ…
ん? 俺、何で枕なんか使ってるんだ??
「―――雷那ッ!!」
目を開けると千代が泣いていた。
正確に言うと、千代が正座している膝の上に倒れてる俺の頭が乗っている…いわゆる膝枕の
格好で驚いた顔で俺の顔を覗き込んでいる。
目は真っ赤で瞳一杯に涙を溜めている。が、既に決壊しているようで頬には涙の後が出来ていた。
突然目を開けた俺に驚いているのか口をパクパクさせているが嗚咽が混じって声が出ないようだ。
何故泣いているのか分からない俺は目を白黒させるしかないのだが…。
「…おはようございます。」
「―――ッ!! 馬鹿ッ!!」
「痛ぁッ!!」
とりあえず寝起きの定番の挨拶をしたら容赦なく拳骨で返された。
何で殴られるのか理由がまったく分からない。普通なら理不尽な暴力に憤る所なのだが、
目に涙を溜めて鬼の形相で迫る千代に威圧されて怒れない。俺、何かしましたか?
「な、何で千代さんはそんな怒ってらっしゃるのですか!?」
「うるさい!……う……人を散々心配させといて!……ひぐっ……」
「いや…模擬戦だからケガするぐらいあるワケでして…なにも泣かなくても…。」
「うるさい!!」
「痛ぁあッ!!」
再度、理不尽な拳骨をおでこで受け止める。
とりあえず理由ぐらい聞かせてもらっても良いんじゃないか?
「あらあら、死にかけた後だってのにラブラブね♪」
「どこ見たらそう見えるの!? もう誰でもいいから助けて!! ………って校長?」
膝枕の状態でギャーギャー騒いでいたのを首だけ動かして横を見る。
するとそこには何故かほんわかと温かい目でこちらを見ている校長先生が居た。
更に見回すと桜木先生に九条先生……ついでに戦闘医療科のナース服が数名。
いずれもほんわか温かい目でこちらを見守るように見ている。
唯一こっちを見てないのは……遠くで体育座りをしながら明後日の方向を眺めている猿飛だけだ。
周りを見ると、演習場は倒れた生徒と忙しく走り回る生徒で溢れ帰っていた。まるで野戦病院だ。
倒れているのはさっき桜木先生にやられた生徒で、忙しく立ち回っているのは医療科の生徒だろうか?
どうやら戦闘医療科は人数と残りの煉の関係で待機されているようだ。
「ってか………『死にかけた』??」
「あら、自覚無かったの? ウフフ♪」
自覚無かったの? とか言われても困る。
いきなり「死に掛けたのに元気ね。」とかいわれても困惑するばかりだ。とゆうより、俺は死に掛けてたのか?
妙に桜木先生に殴られた後の記憶が無いのだが、死に掛けた覚えは無い。
それを聞いていた九条先生が付け足すように口を開いた。
「原因は桜木先生の最後の攻撃でしょうね。肋骨7箇所骨折。内二本が肺に突き刺さり、一本が内臓に刺さってたわ。
そして、内臓破裂4箇所に…衝撃のショックで心停止。なんてゆうか………よく生きてたわね。」
「…………は?」
キョットーンと思わず翔のような呆けた表情になってしまう。
骨折、内臓破裂ときて心停止って…ドコのジューショーカンジャーですか?
「つか、そこまでズタボロだったら普通死んでるんじゃ?」
「まぁ…正直、私がもう少し遅れてたら危なかったわね。」
「………え、マジで?」
「マジでよ。」
頬を引き攣らせながら確認すると、割りと真剣な感じで肯定された。
どうやらドッキリの類ではないらしい。千代の方に目をやると嗚咽混じりに目元を拭いながらコクコクと頷いている。
一拍置いて、サーと全身から血の気が引く。ダラダラと滝のように額から嫌な汗を流しながら
俺が寝てる間に俺が死に掛けてましたー!!と心の中で絶叫する。
クワッ!!っと首だけ動かして桜木先生の方を見て持てる力全てを使って睨みつける。
「い、いや、ちょーっと加減を間違ったつーか…思いの他お前の攻撃が強かったからつーか…」
「…………」×3
俺とついでに千代と九条先生にジト目で睨まれて汗を流しながらバツが悪そうに顔を逸らす桜木先生。
何故か三人シンクロして無言で桜木先生をに睨んでいると、次第に先生のあせの量が増えてくる。
「とっさにと言いますか…思わずと言いますか…」
「………………」×3
「いや、ワザとじゃないんですよ〜? 事故です。はい。」
「………………」×3
いつの間にか敬語まで混じって弁解を続ける桜木先生。
すでに大量の汗が流れていて、このままでは体中の水分が抜けてしまいそうで
不憫なので簡潔に済ませる。
「…その心は?」
「………思いっきり殴ってしまいました。」
ゴメンナサイと腰を90度に折って頭を下げる桜木先生。
元より俺は死にかけた記憶など無いので怒りもそこそこに『先公に頭下げさせた』ことだけで大満足なワケだが、
何故か頭上に居る千代だけは不満そうな顔でムスッとしてじっと桜木先生を睨んでいる。
同じように睨むのを止めていた九条先生も千代の剣幕に若干引きながら怪訝な顔をしている。
「ち、千代さ〜ん? もしかして怒ってます?」
「……………怒ってない。」
「いや、怒ってるじゃん。てか怒るか泣くかどっちかに―――――」
「怒ってない!! 泣いてない!!」
「あ゛痛ぁ!!」
ズビシッと千代の手刀が俺のおでこに叩き込まれる。
若干本気ぎみの威力におでこを抑えて悶絶する。ぐぅ、最近の千代は理不尽だ…
そんな千代を苦笑しながら見ていた九条先生がまぁまぁと仲裁(?)に入る。
「藤堂くん? 千代ちゃんは命の恩人なんだからもっと感謝しなさい。」
「ん? 命の恩人? 千代が?」
「あら、本当に覚えてないの?」
「え? あぁ……そうなのか?千代。」
俺を覗き込んでいる千代を見上げながら問いかける。
すると千代は頬を膨らましながらプイッと横を向いてしまった、まだ怒っているらしい。
千代が答えてくれなさそうなので仕方なく九条先生に目を向ける。
すると九条先生はフフフと口元を抑えながら楽しそうに説明を始めた。
「アナタが吹っ飛ばされたと思ったら血相変えてすっ飛んで来たらしいわよ。
千代ちゃんがスグに治療し始めたから私がテントから駆けつけるまで生きてられたのかもしれないし…
千代ちゃんが藤堂くんの命の恩人で間違いないはずよ?」
九条先生の話を聞きながら上を見上げると千代は恥ずかしいのか耳まで真っ赤にしてそっぽを向いていた。
そっか…心配しててくれたんだな。と素直に嬉しくなるのだが、それと同時に何故か気恥ずかしくなる。
しかし、ここで恥ずかしさに任せてうやむやにしたら、礼を言うタイミングを逃してしまいそうだ。
千代の膝に乗せていた頭ごと体をガバッ!と勢いよく起こし、千代と向き合う形で胡坐を掻いて座る。
急に身を起こした俺に千代は驚いていたようだが、無視してジッと千代を見る。
「千代。」
「は、ひゃい。」
まだ目を赤くして瞳に涙を溜めている千代は、返事をするタイミングでしゃっくりが出てしまい変な声になってしまう。
また顔を赤くして俯いてしまいそうになる千代を強引に頭を抑えて止める。
そのまま少し乱暴に頭をワシワシと撫でながら、ゆっくりと、はっきりと―――――言った。
「―――――――ありがとな。」
「……………ズルイ……。」
少しの間沈黙が続いたと思ったら千代が小さな声でそう呟いた。
何故かふて腐れたような表情のまま耳まで真っ赤になっている。
「もしかして、まだ怒って―――」
「怒ってない!!」
恐る恐る聞いてみたら、全てを言う前に手刀を降ろされた。
俺にとっては、千代の心理がまったくと言っていいほど分からないのだが、
先ほどとは違って手刀の威力も弱く、声も勢いだけで怒気が混じってない所からすると
おそらく怒ってないんだろう。多分。
「いやぁ〜良かった良かった。 一件落着だな。」
千代が拒む気配を見せないので、そのまま頭を撫でていたら不意に横からいかにもやる気の無い声がした。
二人そろって声のしたの方へ振り向くと模擬戦の時の鬼気とした雰囲気の面影すらないやる気ナシ顔の桜木先生が居た。
実際には、今回のことは俺が悪い点は一切無く、俺に一対一で勝負をさせた辺りから
全ての原因が桜木先生にある訳で、俺が死にかけたのも千代が泣いてるのも全てこのセンコーが悪いのだ。
それを分かってないのか、分かっていてあえてこうしているのか知らないが桜木先生は
ケロッとした顔で反省の色すら見えない。
「おい、もっと申し訳なさそうな顔しろ。」
「仮にも教師にむかってタメ口はどうかと思うのだが、どうだろう?」
「知るか! てかアンタが一番悪いんだろうが! なんだそのやる気の無さは!」
「だから謝っただろ?」
いかにもメンドクさそうに答える先生。
覚えてないからそんなに怒ってはないのだが、あからさまにやる気の無い態度を取られるとそれはそれで腹が立つ。
「てか、俺がこんな目にあってるのにコイツが無傷ってのが気にいらねぇ!!」
「お前が負けるのが悪いんだよ。」
ブッチーン! と頭の中で血管の切れる音が聞こえる。
黙って聞いてりゃヌケヌケと…てか結局開き直りかコノヤロウ!!
心のなかで絶叫しながら、効かないと分かっていながらも右手に電撃を流そうとする。
しかし、体の中で煉を生成する段階で自分に煉を生成するだけの体力がないことに驚く。
戦部と戦った時もそうだったが、この『電撃』はかなり燃費が悪いらしい。
何度も(と言っても今日は数える程度しか使っていない)使うとすぐに煉が尽きてしまいそうだ。
どうしたもんかな…と考えながらふと横を見ると
「ひ、ひぃ!!」
目が据わった千代がショートソードの柄に手を掛けていた。
「お、落ち着け千代!! その一線は越えちゃダメだ!!」
無言のままショートソードを引き抜こうとしていた千代を必死の思いで羽交い絞めにして抑える。
千代が切りかかっても桜木先生なら簡単に避けられそうだが、その後が色々と問題だ。
とゆうより俺ならともかく、千代が怒る理由はまったく無いのだが…どうしたんですか?千代さん。
「まぁまぁ雷那くん♪ 勝ったんだからいいじゃない♪」
「そ、そうだぞ千代!! 勝ったんだから――――――――って…は?」
校長以外キョットーンと呆けた表情になってしまう。
特に桜木先生はキョットーン顔と一緒に「い、いやな予感…」と言いたそうな表情を浮かべている。
一人楽しそうな校長先生はウフフ♪と笑っている。
しばらくキョトーンとし終えると桜木先生が口を開いた。
「こ、校長。勝ったって…コイツらが…ですか?」
「信じられナーイ」と言いたげな表情の桜木先生がビシッと俺を指す。
ついでにやっと落ち着いた千代も俺を指差しながら校長を驚きの表情で見ている。
まぁ俺も俺を指差して驚いてるんだけど…
「えぇ♪ 生徒全員対桜木先生は生徒の勝ちね♪」
「な、何故??」
「だって、あなた言ったじゃない♪――――『三分で十分です。』って。」
どこから出したのか、校長はズイッと手に持ったストップウォッチを突き出す。
三人でそこに写し出された時間を覗き込むと―――――――4分38秒。
「時間切れ♪ 雷那くんの勝ち♪」
「ええぇ!?」
桜木先生が驚愕の叫び声を上げる。
「あら? 三分で片付けるって言ったくせに、雷那くんと悠長に世間話してたアナタが悪いのよ?」
「いや、あれは……そ、その場の勢いと言いますか…バトル漫画によくある挑発と言いますか…。」
今度こそ滝のように汗を流す桜木先生。
校長は満面の笑みのままストップウォッチを印籠のように見せ付けている。
「あら……法力団員ともあろう者が約束を破るのかしら?」
「ぐっ…」
勝ち誇った笑みを浮かべる校長と滝のように汗を流しながら悔しそうに押し黙る桜木先生。
なにはどうあれ…何か勝ったらしい。
「…う〜ん、何か嬉しくねぇな…」
「…だね。」
勝ったのに微妙なリアクションの俺と千代をほっといて、校長は勝手に話を進める。
「しかし、これは問題よ♪ 現役団員が訓練生に負けるなんて…」
言葉の割りにはとても楽しそうな校長。
言質を取られている桜木先生は汗をダラダラ流しながらも何も言い返せない。
「これは何かしらの処分が必要ね♪」
瞬間、ビシッィ! と桜木先生が固まる。
自業自得なのだが、この辺りから流石に不憫に思えてきた。
校長は一見清楚で美しい笑顔で口元を上品に押さえている。その笑顔が逆に怖い。
「とゆうわけで……」
「桜木先生♪ 罰ゲームけってーい♪♪」
「えぇぇぇええええええええ!!!??」
すっかり日も沈んだ演習場に桜木先生絶叫がこだました。
そういや、これで合宿終わったんだよなぁと後で気づいた今日この頃。
おまけ:その頃の三人。
薫「見て見て!! 膝枕!! 千代がヒザマクラ!!」
蓮「痛い痛い、分かったから治した所叩かないでよ。」
薫「あぁ〜泣いとる千代もカワイ〜わ〜。」
蓮(…この子はソッチの気でもあるのかな…)
薫「てか、あんなん見せつけて付き合ってへんって詐欺やろ!!」
翔「所がどっこい、俺に取ったらあんまり珍しいことでも無かったりする。」
薫「うっそぉ!!?」
翔「中学の時に数回同じことしてるぞ〜」
薫「ヒザマクラ安売りすんなぁぁぁあ!!」
蓮「ま、まぁそれはともかく、戦部くんは?」
翔「桜木先生に二撃も食らったからまだ伸びてるんじゃねぇの〜?」
蓮「それじゃ…猿飛くんは何であそこで荒んでるの?」
翔「…さぁ〜?」
薫「医療テントで九条先生に遊ばれとったで? ちなみに猿飛くんのプライバシーのために内容は秘密や。」
蓮「……つくづく便利だね、その目…。」
薫「フフフ…翔と蓮くんの秘密も掌握済みや…」
翔&蓮「「―――ッ!!??」」
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