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  神が鳴く 作者:
第二十二戦 斧槍 ハルバート
「ん? そういや猿飛は? 」

「さっき治療テントに運ばれていったけど?」

「はぁ? 何でまた?」

「……校長のウインクにコーフンして倒れてたら凶悪少女に腹思いっきり蹴り入れられて肋骨折れたから…かな?」

「………あの哀れな少年って猿飛だったんだ……。」

意外な事実を蓮から聞いて顔を引きつらせながらも合掌し、猿飛の冥福を祈る。
今俺が居るのは、沈み始めた太陽からの夕陽が眩しい演習場中央辺り。
近くに居るのは、いつもどうりのんびりキセルを吹かしている蓮と、ワイワイしている向こう
の方を楽しそうに眺めている翔の二人だ。
そのまた周りには、まばらに数人の男子生徒が談笑しながら翔の向いているのと同じ方向を眺めている。

「戦部は?」

「あそこ。」

即答で近くにある人混みの中を指差す蓮。
指差したほうを見ると、男子のみで構成された人ごみの中で頭一つ抜けた大柄な男が
「何故俺がこんな所に居るんだ…」と言っているようなウンザリした表情を浮かべているのが見えた。
ちなみに、その人混みは一人の哀れな男(桜木先生)を中心に2〜3mの距離を保ちながら
20人ほどの男子全員が武器の柄に手を掛け、今にも飛びかかりそうな血走った目でハメられた男(桜木先生)
を睨んでいる。
その男はとゆうと、全身から「不幸だ…」とゆうオーラを出しながらガックリ肩を落としている。

「戦部って洗脳された組?」

「コッチに移動しようとしたら「お前はコッチだろ!!」って5人ぐらいの人に連れてかれたみたいだよ。」

「……まぁあいつ前衛みたいだし、丁度いいんじゃねぇの?」

「雷那くんも前衛じゃん。」

アハハ〜と和やかにお互い笑い合い、一瞬の平和な瞬間を噛み締める。
本当に久しぶりの平和な時間だ。…思えば、戦部にボコられ、千代に殴られ、千代に蹴られ、千代にかかと落としされ…
アレ? 千代ばっかりじゃね? そういや最近千代って乱暴……アレ? 目から不思議な液体が流れてきたよ♪
ちなみに戦部が恨みの篭った目でこちらを見ているが無視無視。あ〜平和だなぁ〜。
のんびりと平和な時間をすごしていたら、何処かに行っていた校長がどこからともなくスッと現れた。
ビクッ!と数人の生徒が驚き、瞬間的に身構えるが校長は気にした様子もなくキョロキョロ周りを見回す。

「あら? 前衛後衛に分かれるように言ったはずよ? 前と変わらないじゃない。」

「今のフォーメーションが一番いいらしいですね。(暴走組と冷静組に分かれている)」

「ふぅん…まぁいいわ。5分も持つか分からないでしょうからね♪」

「まぁこの人数ッスからねぇ〜」

「ウフフ♪そうゆう意味じゃないわよ。」

「???」

意味深なセリフを言い、疑問符を浮かべる俺を無視して横を通り過ぎ、桜木先生の方へ向かう校長。
校長の存在に気づいた生徒は瞬時に対桜木包囲網を解いて、パーティにVIPを招待するような扱いで
校長の歩く方向に道を作る。レッドカーペットが無いのが逆に不自然なほどに完璧に。
周りの冷静な男子と遠くで見守っている女子がドン引きするのも気にしてない様子だ。…どこの宗教?

「何時まで沈んでるの? 早くしないと日が暮れるわよ♪」

「……ダレのせいだと思ってるんスか。」

沈んだ顔のままジト目で校長を睨む桜木先生。しかし校長はソレすらも無視して「早く始めろ」と
言うような目(表面上は笑ってるが、裏に物凄い威圧感)で桜木先生を急かす。
その目に圧されたのか、初めから諦めていたのか、桜木先生は頭をぼりぼり掻きながらダルそうに
戦闘服の内ポケットに手を入れて一枚の金属のプレートを取り出す。おそらく、戦部が使っていたのと同じ『武器封印プレート』だろう。
桜木先生がプレートを地面と水平に掲げると、プレートの表面から武器が吐き出される。


複雑な形の穂と煌びやかな装飾が施された巨大な銀の槍。


「知らねー奴に教えといてやる。俺のこの相棒の名は……『ハルバート』」



 武器ファイルNo.10

 『ハルバート』

 分類:長柄・槍類 長さ:2m〜3,5m 重さ:2,5kg〜3,5kg 発祥国:スイス

 日本語では「斧槍」「鉾槍」などと訳される。槍の穂の根元から小型の斧、反対側に突起ピック
 取り付けてある。その形状から、突く・切る・叩く・引っかけるといった4つの攻撃を使い分けることが出来る
 多芸な武器である。それ故に重量自体も重く、扱いの難しさから使いこなすことが出来る者が限られている。
 しかし、マスケット銃が登場するまでのヨーロッパルネサンスの頃には白兵戦主力武器として使われ、その形状の美しさ
 から戦場から遠ざかっても儀礼用として様々な祭典に使用された。



プレートから吐き出された銀の槍『ハルバート』を掴み、頭の上で2,3回振り回すと
石突きを地面に突き立てて、槍に寄りかかるように楽な姿勢をとった。
さっきとは違い、ニヤリと笑うような好戦的な笑みを浮かべている。
それに対して校長は上品そうにウフフと口元を押さえて微笑んでいる。

「だいたい五分ってところかしら?」

「三分で十分ッスよ。」

不敵な発言と取れるセリフを周りを囲んでいた生徒が聞き、更に目を血走らせ
桜木憎しとばかりにジリジリと包囲の距離を縮めていく。
ある程度距離が縮まったと思った瞬間、一人の生徒が怒りと緊張に耐えかねて
腰に提げてある剣を勢いよく鞘から抜き放ち、切っ先を桜木先生の額に向ける。
それにつられるかたちで周りの生徒達が一斉に腰から武器を抜き放ち、プレートから武器を出現させる。

十数もの様々な武器の切っ先を向けられた桜木先生は、それでも表情一つ変えずに不敵に笑う。

「ずいぶんとまぁ嫌われたもんだなぁ…」

独り言のように呟いたセリフは悲しげな声ではい……むしろ、楽しそうな声。
校長は自分に向けられたのではない切っ先を避け、包囲の輪からゆったりとした歩調で離れていく。

「ウフフ♪ 気の早い子たちね。合図は私の仕事よ?」

そう言って、俺達の居る横を通り過ぎ、少し離れた場所で立ち止まる。
少し遅れて、包囲の周りにいた生徒達もそれぞれの武器を抜き、構える。
翔は日本刀を、蓮は二本一対のサイを、俺は後ろ腰に交差するように差した二本のナイフを。
さっきまでののんびりした雰囲気は消え、張り詰めた空気が辺りを包む。

「それじゃあ始めましょうか。時間は三分♪ 教師と生徒のデスマッチ♪」

張り詰めた空気をまったく読まない気楽な声。
少し離れた場所から観戦するらしい校長は、ゆっくりと右手を振り上げる。
その間にも桜木先生を囲む輪は縮まってゆく。少し手を伸ばせば届く距離まで。


それでも、桜木先生は不敵に笑う。


「始め♪」












こんにちは作者です。
今回は短いですが、ココで切るほうが都合がいいので
そうさせてもらいました。桜木先生の能力はまた次回とゆうことで(汗

さて、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、
目次下に新しく「武器図書館」のリンクを張らせて頂きました。
その名の通り、武器の詳しい説明の他、画像なども載っているので
この小説の説明だけでは分からない人はココから調べてみて下さい。
いろいろ載ってるので、普通に行ってみても楽しいですよ。
『ハルバート」や「日本刀」は武器ファイルに書ききれないほど
特徴のある武器ですからね〜(笑

てなわけで、これからも「神が鳴く」をよろしく御願いします。
ご意見、ご感想もお待ちしておりまーす^^
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