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友情小説…だと思います。
notBLですが、少しそういう雰囲気が出ていたら申し訳ないですorz
真昼、進めた距離は
作:真嶋雪


「…やっば…のわ!?」
「っ!」

 待ち合わせの時間から+10分ほど経ってしまった。いつも5分以上前には到着している彼のことだからもう15分以上待たせている計算になる。やばいな、と思った。怒られるから、ってのもあった。遅れた理由が「待ち合わせ時間より1時間も早くついちゃったから喫茶店で休んでよう」→「あ、やべ、DSしてたらこんな時間になった」だったら誰でも怒る。俺でも怒る。こんな炎天下の中待たせてしまっているんだ、とせめてもの償いとして飲みかけのアイスコーヒーはテイクアウトさせて頂いたけれど彼は苦いものが苦手だった気がする(俺より大人っぽいと思えば味覚は俺のほうが大人だった)。それになにより毎度毎度待たせて悪いと思ったんだ。だから今日は凄く余裕を持ってきたのに遅れるなんて。やっぱ俺は馬鹿だなあと我ながら思う。
 …そんなことを考えながら走っていたら駅のホームの柱にもたれてケータイをいじってた人の足に思いっきり引っかかって俺は見事に体勢を崩し、転びこそはしなかったものの持っていたアイスコーヒーの約3分の1はこぼしてしまった。ああああもったいない。

「…なんだ、お前か」
「あ、よう!遅れてごめん!」
「ホントにな…てか何かけた?」
「…え、かけたって…あ、ごめん腕にかけちゃってる」
「別にいいけど」

 言いながら、肩にかけていた鞄から小さいタオルを取り出して軽く腕を拭いた。ああ、俺ホント馬鹿。遅刻して悪いって思ったのにまた迷惑をかけてしまった。彼は凄くいい人だ。素っ気無いし手は早いし足も早いし気も短いけど、心配性で人のことばっかり考えてて困ったことがあったらすぐに察してくれる人だ。俺より背は低いのがとても気に食わないらしくてたまに愚痴をこぼしているけれど、俺は俺よりよっぽどかっこいいその性格がとても羨ましいと思った。

「…おい、何ボーっとしてんだよ」
「え、ううん!なんでもないない」
「ならいいけど。オレのど乾いたから自販寄っていい?」
「あ、アイスコーヒーでいいならあるよ!」
「じゃあそれ貰う」
「うん。はいガムシロ」
「ありがと」

 喫茶店を出るときに持ってきたガムシロップを渡したアイスコーヒーにかけて、近くのゴミ箱に捨てた。
 彼はアイスコーヒー(ガムシロ入り)を飲みながら、俺はポケットに入っていた飴(カシスオレンジ味)を舐めながら駅を出て、商店街を抜けるために歩き出した。

「俺さ、お前が羨ましい」

 ついぽつりと、口からこぼれた。
 隣にいた彼が驚いたように少し目を見開いて俺を見ている。

「…どこが?」
「どこがって言われると全部って言いたくなるけど…強いてあげるなら、性格」
「素っ気無いし手は早いし足も早いし気も短い性格が?」
「でも心配性で人のことばっかり考えてて困ったことがあったらすぐに察してくれる人じゃん。それに…お前が言ったところも羨ましいって思うよ」

 ないものねだり、だけれど。

「…別に…お前、自分の性格把握できてる?」
「俺?」

 俺…遅刻魔で無駄に明るくてハイテンションでたまにうるさいって言われるけどあまり懲りなくて人に親切にしようと思ってもなかなかできない。
 そのまま口に出した。

「…バーカ」
「あだっ!…何するかな」
「俺はお前のこと親切だし優しいって思う」
「どこが?」
「今日だって、お前オレのためにアイスコーヒー持ってきてくれたんだろ?」
「え?何で分かったの?」
「ガムシロップ。お前使わないだろ。そういう風に考えられて羨ましいってオレ、たまに思う」

 時折ストローをガジガジ噛みながら彼はそう言った。
 俺は、俺が優しくて親切だとは思えないけど。


「ははっ…ありがとう、な」

 彼にそう言ってもらえて、確かに嬉しかったのだ。














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