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英雄たちの回廊 作者:松本裕弐

【元勇者と仲間達の回想録】

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【80-1話:ウギの太刀?振る舞い修行!】

 マギから呪術の内容を教えて貰ったおかげでウギの身に起こった状況の理由が理解出来た。
 特段に呪術の相性とウギの『闘気』の関係で問題があったわけでは無いようだった、そのことは安心材料としてマギに感謝する情報だった。要はウギが小太刀こたちの魔力の使い方に慣れれば良いだけと言うことがわかった。
「そうね、毎度ウギが盛りの付いた猫の様になっていては可哀想だから太刀の時はサギの血をかりる方が良いわね」
そんな事をマギがつぶやいていた。
 と、その物言いもいかがなものかと思ってしまうが……。
 でも、その場合のウギ身体の反応はどうなってしまうんだろう? 要らぬところで興味が湧いてきた。
「あら、ラリーも太刀の時のウギの反応に興味があるのかしら? サギが恋敵になるかもね? 小太刀こたちの時にラリーにあの反応だものね、サギの魔気に反応するようになるとどうなるのかしら?」
「なっ、何を言っているんだか」
思わずうわずった声で返答してしまったが、その事を此の後ずっと後悔するとはこの時は露も思っていなかったよ。
 ウギの小太刀こたちへの慣れの訓練って一体、何をすれば効果的なんだろう? 真剣に考えると難問だったことに今更ながら気が付く。
 ウギが持っていた魔力の量以上の保有量をそれぞれの刀が持っている事になる其れを自分の力として制御する事が必要とされる訳だが……。その訓練とは? 簡単そうで相当難しい事がわかってきたがウギならばやりきれると信じている。
「まあ、ウギがラリーの恋心に自身が持てると良いのよね」
と、マギがポロリとつぶやいくその言葉に思わず俺は反応してしまったよ。
「マギっ! 其れってどういうことだ?」
「あら、余計な台詞だったわね。ラリーのニブチンには荷が重いわ」
「いやいやそう言うことでは無くて……ニブチンは認めますが、其れが今回の事に何で結びつくのか教えて欲しい。其処にウギのトレーニングのヒントがあるのか?」
マギのひと言に何か引っかかる物を感じて何となくたずねた。
「そうね、恋心も魔術も実のところは心の……気持ちの持ちようって事かしらね」
そう言うマギのひと言がひらめきを誘う。そうか! そう言うことか! 
 ポンとひざを打って思わず叫んだ。
「其れか――その考えがあったか、ありがとうマギっ! 助かったよ、そうかその方法を試してみる」
そう言うとマギにお礼をしつつ自分の部屋で有りながらもマギに後をお願いすると疾風の如くその場を駆け抜けていった。
「あらあら、ラリーったら本当にわかったのかしら? なんか怪しそうだわね」
マギの独り言のつぶやきが主人を欠いた俺の部屋に木霊していた。
 マギの言葉からヒントを得た気持ちになった俺は一先ず試してみたい事があったので中庭に赴いた。マギの言葉通りならば俺でも同じ事が出来るはずだ、そう思って腰の剣を抜いておもむろに構えた。
 目の前に構えてその剣の中に自分の魔気を少しづつ流し込んでみる。そのまま魔気の流れに逆らわずにおのれの剣に対する心根をその魔気に乗せていく。すると、先程まで素直に流れていた魔気がわずかながら先細っていった。
「そうか、魔気と単なるの気を混じらせれば魔気の量は制御出来る、でも単なる気――気持ちを乗せるって事をどういう風に伝えると良いのか?」
はたとそこで迷いが出てきた。今の俺は単に此の剣に対する愛着心を乗っけてみたが其れで良いのか? 他にウギの場合に適切な気の入れかたはあるのでは無いだろうか? 
 そんな事を思っているとそっと寄り添ってくる気配があった。サギだった。
「サギ、どうしたんだ?」
「ううん、さっきラリーが勢い込んで駆けていくのが見えたから――来てみたの、邪魔だった?」
「いや、そんな事は無いさ。ウギの小太刀こたちの修行の件で色々と試してみていたところだよ、誰かさんにノーアイデアなのって言われてたしね」
そう言ってサギの方に皮肉っぽく返しておいた。
「あっ、だってそうだったから――ごめんね。ちょっと嫉妬してたかな、私」
「いや、実際あの時はノーアイデアだったからな……サギのお察しの通り」
「あーっ、そうまで言い続けるのは少し酷くなくてっ! さっき謝ったじゃん、ふん」
「ごめん、ごめん」
そう言いながらサギの手を取って少し歩くことにした。
「あっ!」
サギの手を取った瞬間、貴女かのじょの頬がほんのり赤くなるのがわかった。それでも繋いだ手の温もりからそんな恥じらいが新鮮でキュンとする気持ちの心地よさを感じて握り替えして来た手をしっかりと繋ぎ直していた。
 そのままサギの手を引いて中庭を後にする、特に向かう先は決めていなかったが今はサギとこうしていたかった。
「――ねぇ、ラリー? 何処に行くの?」
そんなサギの問いにハッとして我に返った。そのまま貴女かのじょの方を振り向くと手を引き寄せて抱き締めていた。
「あっ――ラリーっ? どうしたの?」
サギのつぶやくような問いを耳元で聞いてようやく俺は口を開いた。
「サギの事がたまらなく可愛く見えてだな――ちょっとキュンときた」
そう言いながら俺はサギを更に強く抱き締めていた。
次回【80-2話:ウギの太刀?振る舞い修行!】を掲載いたします。
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