第二話〜569号室〜
タクシーを降りて、学園前まで着いた。
ここは、県立夕凪学園。普通じゃないほどの大きさを持つ学園であった。
ざっと見回してみると、校舎はドーム型で少し離れたところに学生寮がある。
はずは学園長に挨拶をして、寮の番号を聞かなくてはならない。
息を深く吸った後、門の中に足を踏み入れた。
外はまだ明るい。挨拶をしたら今日の夕食の材料を買いに行くか。
そんな事を思いつつ歩いたいたときに気が付いた。
「学園町室・・・・どこだっけ?」
たしかこの町の周辺の見取り図と、学園内が書かれている地図を受け取った気がしたが・・・・
「無いな・・・・」どこを探っても出てこないのであきらめてしまった。
とりあえず、学園に入ってみることにした。
今日は日曜日。生徒たちの姿も見られない。
とりあえず歩いてみることにしたが・・・・・・この学園なかなか広い。
5階建てで、建物自体はドーム型。
1階は図書館、保健室、職員室などである。
2階は各クラス教室とくつろぐためのバルコニー。
3階も各クラス教室。4階は各種部室で、最後の5階は学園町室。
と言う訳で、今居るのは学園町室前。扉をノックして勝手に入った。
「久しぶりだな、ジジイ」第一声はそれだった。
「3年ぶりだな・・・・下川よ」老人はそう返した。
この老人は県立夕凪学園の学園長、長谷川真二郎。
短く剃ったひげと、まだ若く見える顔でとても80代後半には見えない。
「早速だが寮の番号を教えてくれ。早く休みたい」
亘希は早々そう言うと鍵を手渡された。
「569号室。荷物は届いてある」
真二郎はそう言うと窓の外を眺め始めた。
買い物でも行って来るか・・・・・。
亘希は一人そう思い、学園を後にした。
そういえば、入学式いつか聞いてないな・・・・・まぁいいか。
そう思いながら町を歩いていた。
小さい商店街が広がり、活気に満ちている。
時間は五時。夕食が近くなってきたところだ。材料を買って早く食べて寝よう。
ふと、目にした人参から思いついた夕食が一つ。
「今日はカレーにするか」一人ポツリとつぶやいた。
夕日に照らされた人参が、妙に赤くなっていた。 |