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画面から出てきたのは嫁のライバルキャラでした

短編です。暇な時に読んでください……。

__俺は乙女ゲームが好きだ。

正確に言うと乙女ゲームの主人公であるヒロインが好きだ。
ヒロインの容姿は千差万別、趣味嗜好もある程度の共通事項があるとはいえ別人だ。
しかし、だ__俺は乙女ゲームのヒロインが好きだ。

まずはあの優しい性格。
大抵の乙女ゲームのヒロインは平凡だが心優しく、めんどくさ……ゴホン、心に闇を持つ数々の攻略対象を「それでも貴方が好き!」というこの言葉で、その深い愛で包みこんでくれる。

次にどんな逆境にもへこたれずに前を向き、最終的にはまあメタなことを言うとルートによって結末は様々だが幸せを勝ち取るというガッツ。時たまへこたれて下を向くことがあっても寧ろそこも可愛らしいので問題ない。

そして花のような、儚げでいて鮮やかな笑顔。
この笑顔を見るだけで俺は一日の疲れを全て吹き飛ばせる。

そして今日__一人のヒロイン(嫁)との蜜月が、終わりを告げた。



「ちくしょう……!リリィちゃん、幸せになれよ……!!」

繊細なBGMを流しながら幸せ涙を流す愛しのヒロイン(リリィ・シュバルツ、18歳男爵令嬢)に俺は滂沱する。長かった、ほんとうにながかった。
『百合の寵姫』__愛しのリリィちゃんがヒロインのこの乙女ゲームは乙女ゲームの中では比較的珍しい後宮物だ。
リリィちゃんの故郷、シュバルツ領が財政難に陥りリリィちゃんはそれを解決するためコネ作りのために後宮入りをした健気な子である。
その中で運命の出会いにあう__という物語でルートは様々。その中で俺が選んだのは国王ルート。よくある王道の少女漫画展開とでも言えばいいだろう。

「くぅ……。ハイド、リリィちゃんを頼んだぞ……!幸せにしなかったら今度こそぶっ殺す……!」

何度も画面越しでリリィちゃんを泣かせてきたクソヤロウ。それでもリリィちゃんのためならと歯を食い縛って攻略した。

そして、先程ライバルである正妃を国外追放に処した。さよなら俺の最愛。さよなら俺の儚い恋。

「あー……。泣いた…。よし、58回目の失恋記念になんか食おう……。」

ズビズビと鼻を啜りながら冷蔵庫を開けたその瞬間__それは来た。

ガラガラガラ……ゴッ!!

……ゴッ?え、今何がおちた?

おそるおそる音源の方へと振り返る。そこには__

「う、うーん……こ、ここは、どこですの……?」

漆黒の髪に、夜空の瞳、青いドレスを纏った美女がそこにいた。
奇しくもそのす姿は、愛しのリリィちゃんのライバルキャラであるローゼ正妃にそっくりで__

「……嘘だろオイ。」

「……?」

頭を抑えて涙目でこちらを見てきたローゼ正妃(仮)にゴクリと喉を鳴らす。目があった、その時__

「い……いやぁぁぁぁ!?」

「どぅわぁぁぁぁ!?」

突如絶叫したローゼ正妃(仮)にビビり思わず俺も叫んでしまう。そんな俺を意にも介さずローゼ正妃(仮)は豊満な胸を腕で覆い隠し涙目で座り込みながら後ずさる。

「こ、国外追放だけでは飽き足らず私をどうするつもりですかリリィさんの心棒者!!」

「何言ってんの!?」

突然変なこと言い出したローゼ正妃(恐らく)に思わず突っこむ。そんな俺をものともせず彼女は叫んだ。

「いーえ誤魔化してもこのローゼ様には分かります!このフレッシュ贅沢ボディをいいように弄ぶつもりなんでしょう!性春画のように!性春画のように!!」

「そのネタどこで仕入れた!?あとヤメロ、てかおいまじか!?」

オヨヨヨとなきくずれるローゼ正妃(確定)に俺は混乱する。
確か、ローゼ正妃はゲーム上では気のいいお姉さんだったはずだ。悪役といっても国王ルート以外だと側妃としての心構え的な意味での意地悪(教育)はするもののそれ以外だとリリィちゃんと恋愛トークをする可愛らしい人である。まさしく親友といって過言では無い。
国王ルートでは正妃といってもお飾りで夜の訪れもないという不憫きわまりない人で、それ故に毎夜国王がリリィちゃんのところにいくのに嫉妬し、洒落にならない折檻をしてしまうのだが……どうもそうにはみえない。

「ちょ……とにかく誤解が……!」

なんとか情報を整理しようと泣き崩れる正妃に歩み寄る。すると、キラリと正妃の目が光った。

「かかったなトドメの金的じゃぁぁぁぁ!!!!」

「ぎぃやあぁぁぁぁぁ!?」

大きく振り上げられた拳が男の急所にクリーンヒットする。洒落にならない痛さに気が遠くなるのを感じながら俺は息も絶え絶えに叫んだ。

「ほん、ほんと、に……!誤解、なんだ……!!」






「……つまり、本当に貴方は関係ないと……?」

「はい……ほんとに、たまたまなんです……。」

アッサリ信じた正妃にプルプル震えながら答える。ちなみになぜ正妃がこんなにも異世界転移して冷静なのかというとしょっちゅうゲームの中ではしてたからだ。ちなみに俺は全く慣れてない(当たり前だ)。

「たまたま……。なんというか、貴方様はそう言った御冗談がお好きなのですか?」

金的だけに……と引きながら呟く正妃にお前がな、と心の中で呟いて息も絶え絶えに言葉を返す。

「せ、正妃……。女性がそのような言葉を言うのはいかがな物かと……。」

「な、このローゼ様に女性としての心構えを問うのですか!?このローゼ、グリンアイド一の良妻と呼ばれた女……!女性としての品格、知性はグリンアイド王国一ですわよ!」

バッとポーズを取りキリッとした顔をする正妃に若干生温い物を感じつつ痛みが引いてきたのを確認して上体を起こす。すると、ジワジワと涙を浮かべて正妃はわんわんと泣き出した。

「グリンアイド一の良妻なのにどうして陛下ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「……俺でよければ話聞きましょうか?」

「よろしくお願いしますぅ……!!」




__画面から出てきたのは嫁のライバルキャラでした。




けれども彼女は、思ったよりも俗世に染まった可愛らしい人でした。
俺……ゴリマッチョの筋肉男。乙女ゲーム大好き。趣味は筋トレと裁縫。女子力高い戦うゴリラ。この後正妃のためにめちゃくちゃ現代向けの服作った。オタクだがめっちゃいい人。絆されやすい。ちなみにニート。働かなくても生きていけるレベルの資産持ち。

ローゼ・フェルシチアーノ…グリンアイド国王の元正妃。侯爵令嬢。淑女の皮を被ったお転婆娘。実は庶民の母を持ち下町で育ったためかなり逞しい。この後めちゃくちゃご飯食べた。リリィのことは好きだった分裏切られた気持ちでいっぱい。国王ガチ勢。

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