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鈴華さんとの蟹デート

作者:香月 美夜
〇蟹デートが決まるまで



【鈴華先生に励ましのタラバ蟹を】
 これは2017/01/19の夜の鈴華さんのツイートである。全てはここから始まった。

「鈴華さん、タラバ蟹が食べたいんだって……」
「励ましたいなら送れるよ? 今はAmazonがあるから」
「え? Amazonって食べ物も扱ってるの? どれだけ巨大な倉庫を? 賞味期限とか大丈夫なの?」

 私は旦那のスマホに蟹の写真が並んでいるのを見て驚いた。Amazon、すごすぎる。

「それより、鈴華さんの家族構成の方が問題か。一人暮らしだったら二キロは困るだろう」
「家族構成は知らないけど、間違いなく迷惑だよね。祝福テロはしたいけど、一人暮らしの冷凍庫に入るとは思えないし……」

 意外と真剣に検討しつつ、鈴華さんに返信してみた。

【旦那が「励ます?」と言いながらAmazonのタラバガニを見てますけど。(笑)】

 欲しいと言われたら、すぐさまポチッと送るつもりの旦那と私。私達の本気が届いたのか、マジでヤバいと思ったのか、鈴華さんからはかなり焦りを含んだ返信がきた。

【待って待って大丈夫です大丈夫です!!!!笑
 むしろ食べるなら一緒に食べましょう!!!!】

「鈴華さんに一緒に食べようって言われたけど、いつだったら行けるかな?……子供達の塾がない平日にランチなら何とかなるかな……?」
「21日は俺と子供達がスキーだから一日中空いてるんじゃ? 仕事は?」

 学校の父親会の関係者で行くスキー旅行で旦那と子供がいない。私は再校の予定だったのでスキーは不参加だったが、再校は先週の土日に終わらせている。

「これはもしやドレッファングーアのお導きかも? 急だけど、この機会を逃したら平日ランチか、四月の休日になるね」
「それ、もう蟹の季節じゃなくなるから、おいしい蟹を食べるのが難しくなるよ」
「だよね? 鈴華さんの蟹食べたい気分も春までは続かないだろうし、どこか良い店あるかな?」
「検索中」

 さすが私の旦那。行動が早い。
 私が「あぁ、もう疲れた。温泉に行きたい。とんぼ玉みたいなガラス細工の体験ができて、宝石やガラス関係の美術館か博物館が近くにあるところがいい。印税からお金出すから取材兼家族旅行に行こう」と言ったら、三日以内に家族旅行の計画を立てて宿の予約が完了しているのが私の旦那で、一週間たったら行きたかったことを忘れて「家族旅行? また今度でいいんじゃない? 更新も仕事もあるし」と言うのが私である。全く自慢にならないけど、旦那の素早さを鍛えたのはきっと私だと思う。

 今回もその素早い手腕を存分に振るってくれたおかげで店の目途が立ったので、鈴華さんに予定を尋ねることに。ここからはメッセージを使った秘密のやり取りである。

【めちゃくちゃ急ですが、21日の私の予定はぽっかり空いて寂しいので、〆切が重なってなかったらいかがですか?】
【行きます】

 本当はもっとやりとりがあったけれど、要約したらこんな感じで鈴華さんの即答により、日付が変わる前に蟹デートは決定したのだった。



「ふっふーん、貴方達がスキーに行っている間、お母さんは鈴華さんと蟹デートですから!」
「はぁ? 朝から何言ってるの?」
「貴方達が寝た後の昨日の夜中に決まったんだよ、ふっふーん」
「うわぁ、その『ふっふーん』、すっごいむかつく! こっちが千円の夕飯を食べてる時に蟹とか! 蟹とか! 蟹とか! ずるい!」

 子供達にも朝一番に報告して自慢しておいた。ふっふーん。



〇蟹デートクエスト、店にたどり着け!



 17時に駅で待ち合わせして、駅の近くの本屋さんを二軒ほど二人でうろうろして「本好き」コーナーだけを確認して本屋を出た。二人とも本気で本を見始めたら一時間では全く足りないし、本を買ったらこれから移動するのに大変な荷物になるからだ。

 ちなみに、片方の本屋さんには「本好き」が平積みにされていて、とても応援してくださっているのがよくわかった。いきなり作者と漫画家が「ありがとうございます」なんて挨拶をしたら本屋さんを困らせると思うので、こっそりと心の中だけで拝んでおくことにする。

 ありがとうございます、有隣堂さん。



「じゃあ、ちょっと時間は早いですけれど移動しますか? 道は御存じですか? 私、あまり地図が得意ではないんですが……」

 鈴華さんがスマホを取り出して地図を確認し始めた。

「いいえ、存じません。家のPCで地図は確認したけど、私も行ったことがないので。あ、でも、別の店舗で食べたことはあるので、味は保証します」
「うわぁ、店に着けるかが不安ですね」

 地図の確認で味の保証をしたため、いきなり鈴華さんを不安にさせる私。だが、安心してほしい。鈴華さんはスマホを持っているし、私にはWi-FiくんとiPadくんという強い味方がいる。二人で力を合わせればきっと何とかなるはずだ。私はWi-Fiくんの電源を入れた。繋がるまでの間に鈴華さんのスマホを覗き込む。

「どう行けばいいかわかりますか、鈴華さん?」
「この駅の○○口を出て、南側の斜めに出ている太い道路を真っ直ぐに歩けば左側にあるみたいですよ」

 鈴華さんの言葉と同じ説明を旦那にも言われた。最初の道を選択間違いしなければ、絶対に着ける場所にある、と。だが、方向音痴にはその道の選択が大変なのだ。

 よしよし、私もiPadくんで地図を確認して……

「大変です、鈴華さん。私のWi-Fiくんが仕事をしてません! iPadくんで地図が見えないです」
「え? いきなりですか!?」
「おかしい。こんなはずでは……」

 外に出たら繋がったので、どうやらWi-Fiくんの電波が届かなかっただけのようだが、その時の私には全くわからず、いきなり役立たずになったiPadくんを手に困る。だが、考えていてもどうにもならない。

「とりあえず駅の○○口へ行きましょう。上の方から見て、自分の勘を信じて太い道を選ぶのです。何だか店にたどり着くまでのクエストって考えると楽しくなりませんか?」
「装備ひのきのぼうって感じでとても不安になりますよ」

 このエッセイを読んでいる読者の皆様はどうか安心してほしい。鈴華さんのスマホがあるので、完全に無防備ではない。それに、私には勘しかないように見えるけれど、旦那に助言された最終手段があるのだ。

「大丈夫ですよ。私には旦那に言われている最終手段『タクシー』がありますから」
「香月さん、旦那さんに全く信用されてないじゃないですか!」

 うむ。その通り。これが経験則というものである。

 無謀なる勇気によって歩き出した勇者香月と賢者鈴華だったが、駅の中で迷うことはなく、無事に駅の○○口へ問題なくたどりついた。そんな私達の目に映ったのは、全く車が動いていないくらいに混雑した駅周辺の道である。

「ねぇ、鈴華さん。これ、タクシーを使ったら全く移動できないのにメーターだけが動く感じになりませんか?」
「そうなると思います」

 どうしよう? 最終手段がいきなり封じられてしまった。勇者香月、大ピンチである。大変だ! とオロオロする勇者香月と違って、地図を持っている賢者鈴華は冷静だった。

「あの全く動いていない道が一番太い道だと思うので、あの道が正解でしょう。あれを歩いて川が見えたら正解ですよ」

 あっちの道を選んでも、そっちの道を選んでも川には出るんだけどね。
 そう心の中で思いながらも、太い道という判断では間違いないと思うので、賢者鈴華の選んだ道を二人で歩き始める。

「足、大丈夫ですか? 歩けますか?」

 駅から一分と歩いていないところで歩けるかどうか確認された勇者香月。もはや勇者ではなくマインである。

「駅から店までは、家から老人ホームくらいの距離だから私でも歩けると旦那に言われてます」
「それはよかったです」

 私が歩ける距離は基本的に家から小学校までである。距離はメートルで言われても実感としてよくわからない。不動産屋にある徒歩○○分は全く基準にならないので、「徒歩何分って不動産基準? 旦那基準? 子供基準? 私基準?」となるので旦那もあまり使わないのだ。
 家から公園まで、家から老人ホームまで、家から花屋まで、家から川まで、家から小学校まで、小学校より遠いけど頑張れば歩ける、どう考えても無理、が私の距離の目安である。これが一番わかりやすい。

 店までの話題は「Twitterと私」である。以下が話題の基になった1/16の私のツイートである。

【私がTwitterを始めた時の裏側は、初日をご存知の方ならば少し想像がつくかもしれませんが、「Twitterと私」というエッセイが書けるレベルで一人大騒ぎをしていました。】

「あのツイートを見た時は笑いましたよ。『Twitterと私』、めっちゃ読みたいと思いましたもん」
「笑い事じゃなくて、本当に大変だったんですよ!」
「香月さんがTwitterを始めたら何か連絡があると思ったので、最初はなりすましかと思ったんですけど、ツイートから香月さんのテンパリ具合がよく見えて、あぁ、御本人だろうなと確信を持ちました」

 そんな確信の持たれ方をしていたなんて!
 鈴華さんは私のテンパリ具合を想像してニヤニヤしていたらしいが、実際の私のテンパリ具合を話すと、「まさかそこまでだったとは思いませんでした」と感嘆の息を吐かれた。どうやら鈴華さんの想像のはるか上だったらしい。どうだ、恐れ入ったか。



 そんな話をしながら歩いているうちに橋と、その先にゴールの看板が見えた。

「ありましたよ、鈴華さん! あそこです」
「あ、本当だ。看板がわかりやすくてよかったです。それにしても、川の上の風、めっちゃ冷たいですね。さっむぅ~」

 勇者香月と賢者鈴華、無事に目的地へ到着。クエスト完了である。予約した時間より二十分ほど早く到着したけれど、中で待っていればいいのだ。

「いらっしゃいませ」

 だが、店側はすでに準備できていた。色々と準備が足りないのは私だけだったようだ。



〇蟹と肉で半分こ



 お店で席に着いて、飲み物を選ぶ。

「香月さんは飲める方ですか? 私、飲むのは好きですが、量はあまり……なので、梅酒で」
「妊娠と出産で飲めない期間が長かったので、飲める量はかなり減りましたよ。でも、今日のお料理だったら日本酒かな?」

 蟹を食べるならワインより日本酒がいいな、と思いながら飲み物メニューを見ていく。八海山と獺祭でしばらく悩んだ後、獺祭に決定。
 飲み物を注文した後はメニューを選ばなければならない。

「鈴華さんの好みがよくわからなかったので、席の確保だけで料理の予約はしていません。蟹コースにしてもいいし、肉コースに蟹を一品料理で追加してもいいですし、気の向くまま好みの一品料理ばかり注文してもいいですけれど、どうしますか?」
「あああぁぁ、悩みますね」

 蟹は主目的なので絶対に食べたいが、肉も捨て難いと頭を抱える鈴華さん。あれもこれもと目移りしている様子を見ながら、一つ提案してみる。

「私は取り分けて食べるのに慣れているので、鈴華さんがお嫌でなければ、鈴華さんが蟹コースで私が肉コースにして取り分けも可能ですよ」
「いいですね。じゃあ、蟹のコースにします」

 嬉しそうに蟹コースを見始めたので、私も肉コースを見ていく。

「鈴華さんはしゃぶしゃぶとすき焼き、どっちがいいですか?」
「どっちでもいいです。それはさすがに香月さんの好みで選んでください」

 すき焼きならすっきりとした味わいの獺祭より濃い目のお酒の方が合うので、どちらかというとしゃぶしゃぶの方が良いかな、と思いながら私はメニューを捲っていく。しゃぶしゃぶと蟹なら、お酒は八海山の方がよかったかもしれない。
 そんなことを考えていると、「しゃぶしゃぶ&とらふぐのコース」が目に入った。

 ふぐ!? これ絶対に獺祭と合うよ!

 こうして、私は「しゃぶしゃぶ&とらふぐのコース」に決めたのである。



 ちょっと色々な事情があり、席を移動して食事をすることになった私達。先付けとてっさを獺祭でいただきつつ、鈴華さんが漫画家になった経緯や私が「本好き」を書くまでのプライベートなことも含んだ話、これから先の漫画のプロットや予定についてなどの話をする。

「次にお会いするのは本編が完結してからって言ったじゃないですか。本好きについて色々と聞きたいのにネタバレが怖くて、聞けないことが多すぎるんですよ!」

 鈴華さんに嘆かれたけれど、本編が完結するまで待っていたら蟹が食べられないので仕方がない。

「次こそ本編完結してからにしましょう」

 まるで予告詐欺時の後書きのようなことを言う私。鈴華さんには「絶対に終わってからですからね」と念押しをされた。どうやらあまり信用がないらしい。いや、これこそ経験則か。



〇香月さんは常に予想の斜め上なんですよ



 蟹鍋をつつき、しゃぶしゃぶも食べて、最後の雑炊までいただく。
 もちろんその間全く本好きの話をしなかったわけではない。1/5のツイートに関連した話もした。

【「ねぇ。面白かったけどさ、巨大洗濯機の展開って初笑い以上の意味があるの?」 「あるよ!……っていうか、別に初笑いのために入れた展開じゃないから!」】

 そう、巨大洗濯機化した講堂の戦いについての話である。

「香月さんは本当に予想の斜め上に行きますよね。私は作者側の視点で予想しながら読むんですよ。あれがこうなって、これがああなったから、この後はきっとこんな感じか、あんな感じで……って」

 シリアスになったらこうで、ギャグに走ったらこう、と予想しながら読んでいたら「どうしてそうなった!?」という展開になるらしい。巨大洗濯機も鈴華さんにとっては予想外だったそうだ。

「いや、でも、護衛騎士達に周囲をがっちりと守られたローゼマインから護衛騎士達を引き剥がして、一人だけ祭壇の上へやって、その後の展開のために魔力をガッツリ使っておく必要があったんですよ。講堂内を巨大洗濯機にするだけで全ての条件が満たせるんです。思いついた時は、完璧じゃない?って思ったんですけど……」

「香月さんは設定をがっちり固めすぎているから、大変なことになるんですよ。普通は護衛騎士達に守られたせいで主人公が動けなくなるような設定を大詰めの戦闘時に律儀に守りませんから。ローゼマインの背中を机にした時と同じですよ。読者には斜め上すぎるんです」

 自分で作った設定に縛られて、突飛なことをしなければ状況が打開できなくなるのが『本好き』らしい。なるほど、第三者の意見はとても勉強になるね。



 ちなみに、「背中を机にした」一件はランツェナーヴェの掃討戦の時である。
 フェルディナンドが冬を呼ぶための魔法陣を描く必要があったけれど、フェルディナンド視点で考えると、相乗りしているローゼマインが邪魔で仕方がないのだ。
 この後でグルトリスハイトを使うための隠れ蓑として同乗させているので、しばらく自分の騎獣にいろと放り出すこともできない。後ろから抱きしめるようにして頭を下げさせてローゼマインの腹の上に画板みたいな魔石の板を置いて魔法陣を描くことを考えた瞬間、「破廉恥な!」と脳内フェルディナンドに怒られた。
「それならまだローゼマインを騎獣の上に伏せさせて空間を確保した方がよい」
「いやいや、でも、これからグルトリスハイトを掲げる新アウブが騎獣の上に伏せてデローンとたれぱんだみたいに垂れているのもまずいでしょ」
「ローゼマインの背中に画板を押し付ければよかろう。肘をつくよりは手をついたくらいの角度の方が描きやすい」
 そんな感じで脳内フェルディナンドとは決着がついたのだが、実際に書いた結果、感想欄には「破廉恥な体勢」と書かれてしまった。破廉恥を回避したはずなのに、解せぬ。

 この話は10月に鈴華さんとランチした時に出てきた話題である。あの時も「そういう流れを聞けば、なるほど、と納得できるんですけれど、普通に読んでいたら斜め上ですよ」と言われた気がする。



「読者の意表をつくという意味で斜め上の展開はいいと思いますよ」
「ふふっ。私、意表をつくの、好きなんです。特に祝福テロとか……」

 私がそう言った途端、鈴華さんがぶるぶると首を横に振った。

「祝福テロは絶対に止めてください! もう、本当に止めてください。あの時、本当に心臓に悪かったんですからね。絶望って感じだったんですよ!」

 実は私が鈴華さんと初めて会ったのは、TOブックス主催のお食事会ではない。一年前の冬コミである。鈴華さんが出るよと旦那が教えてくれたので、お菓子の差し入れを持っていって、一般客の振りをして買い物をして「頑張ってください」と告げて帰るという祝福テロを決行したのが初めての出会いなのだ。

 携帯で旦那に「ミッションコンプリート!」と送ったところ、「もうちょっと時間がかかるから、その辺で時間を潰してて」と言われて、ブラブラしていたら旦那からメールが届いた。

「Twitterの鈴華さんが大変なことになってるから、挨拶に行ってあげて」

 私はガラケー使用者のため、鈴華さんのTwitterを確認しようがなかったので、旦那に言われるまま再び鈴華さんのところへ行ったのだ。

「あの時、差し入れのカードを見て、マジで悲鳴上げましたからね! 絶望って感じで、友達にもめっちゃ迷惑かけましたから。本当に旦那さんがTwitterを見てくれて、挨拶しろって言ってくださってよかった。今度からは絶対に連絡してください。連絡なしで来たら怒りますよ」

 気分は報連相しろとベンノに怒られるマインである。祝福テロは絶対にダメらしい。



 そんな感じでかなり打ち解けた話もして、食事は終了。お会計である。鈴華さんが伝票を手にしていたので、それを私がそっと取った。

「ちょっと待ってください、香月さん。まさか……」
「今日は接待ですから」
「いやいやいやいや、半額払います」
「え? だって、今日の趣旨は鈴華先生に励ましのタラバ蟹を……」
「怒りますよ!」

 今日は「励ましのタラバ蟹」を食べる日なのにおごろうとしたら怒られた。二キロのタラバ蟹よりずっと安いのに怒られた。解せぬ。

「ほら、あといくらですか? 伝票、見せてください」
「さすがに百何十円まで細かく割る必要はないですよ。千円単位だけいただきます」
「……わかりました。ごちそうになります」



 お会計を終えて外に出て、また駅に向かって歩いていく。

「お腹いっぱいですね」
「満足、満腹ですよ。おいしかったですね」

 二人共満腹で幸せ気分である。冷たい夜風が気持ち良い程だ。

「そういえば、ご家族はスキーなんですよね? 香月さんの明日のご予定は?」
「急ぎの仕事はないので、更新準備と余裕があれば発売記念SSの準備かな? あとは誕生日なので家族でディナーに行きます」
「は? え? 誕生日!? 香月さんの!?」

 鈴華さんが目を丸くして私を見た。そう、実は明日が誕生日なのだ。

「どうして早く言ってくれないんですか!? 知ってたらプレゼントを準備したのに! 最後の最後でこんな……もー!」

 明日の予定を言ったら怒られた。解せぬ。

「気にしないでください。今日一日を一人で過ごすんじゃなくて、可愛い女の子とおでかけできて楽しかったですし……誕生日デートの気分ですよ」
「私に蟹をおごっている場合じゃないでしょう!? さっきの、私がおごるべきだったじゃないですか! あぁ、もう、これだから香月さんは! 何に関しても斜め上なんですよ。私の誕生日にSSをアップするし!」

「私がおごりたかった」と怒る鈴華さんはとても可愛い。私くらいの年齢になると、家族以外に誕生日をお祝いされるなんてなかなかないのだ。

「Twitterで皆に暴露しますからね。……あ、もしかして隠しています?」
「別に隠していませんから構いませんけど……」

 鈴華さんの暴露により、私はこれまでの人生で一番多くの人にお祝いされることになるのだが、この時の私はまだ知らなかった。



「ところで、香月さん。駅から一人で帰れますか?」
「最終手段タクシーを使うので大丈夫ですよ」
「安心しました」

 最後まで鈴華さんに心配されて、私達の蟹デートは終わったのだった。
家に帰っても誰もいなかったので誰かに報告したくて書かずにはいられない気分で、ついつい書いてしまったものです。


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