「はぁはぁはぁ。ねえ。ねえ。家のステレオ、何色? 何色?」
はぁはぁやかましい。誰だいったいこいつは。
「銀色だよ!」
怒鳴ってやった。
するとそいつは更にはぁはぁする。
「はぁはぁはぁ。ぎ、銀色。ぎ、銀色」
なんだか興奮してる。きもいなぁ。
「誰だかわかんないけど用がないならもう切るよ。ヒマじゃないんだから」
「あ。ちょっと待って。ねえ。ねえ。頼むよ。頼むよ。「フリーチベット」って言ってくれまいか?」
もううざい。
「フリーチベット」
「うきいいい!」
更に興奮してる。
「もっと言って。もっと言って。もっと言って」
ああうぜえなぁと思いつつ早く切りたいので言ってやった。
「フリーチベット。フリーチベット。フリーチベット」
「む、むぎゅうううううう」
無言になった。
あれ? 失神でもしたのかな。
しばらくしたらまた声が聞こえた。
「はぁはぁはぁ。あんたすごいねえ。最高だよ。すげえよ。あんた。はぁはぁ」
さっぱりわかんない。
「もう切るよ」
「あ。ちょっと待って。最後に最後にこれだけ」
「なによ」
「「この薄汚ぇブタ野郎」って言ってくれまいか?」
うわあ。キタぁ。こいつ、やっぱ変態だ。
「い、いやよ。そんなの」
「ね。ね。一回だけ。一回だけ。そしたらもう切っていいから」
「ううん。しょうがないねえ」
しかたないので棒読みで言ってやった。
「コノウスギタネエ、ブタヤロウ」
「むきいいい!」
ひっ。何。何、こいつキレてんの。
「なんだと、このアマぁ。初対面の人に対してブタとは上等だコラ」
あ、あんたが言えって言ったんでしょおおお!
「こらてめえ。なめるなボケ。いや、なめろボケ。あれ。どっちだ。ううん。コラぁ。どっちやぁ!!!」
し、知るかああああ!!!(了)
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