「ねえ、人間が進化したら何になると思う?」
久々に会った幼馴染の第一声は、久しぶりでも元気だったかでもなくこの質問だった。まあ彼が誰にも…それは幼馴染の僕に対してでも、元気だったかなんていう相手を気遣うことをいわないのは知っているけど。だけどだ。だからっていきなりこんな質問はあんまりだろう。君の前にいるのはお隣に住むつい先日旅行から帰ってきた僕、なんだよ?
「…はあ?」
「だから、人間が進化したら…」
「それはもういい、もういいよ頼むからそれ以上言わないで。混乱する」
もう一度同じことを言おうとする彼を言葉とともに手で制して、あいてるもう片方の手で頭を抱える。え、なんだって?人間が進化したら?しるかそんなもん。
「何だっていきなりそんな質問をするんだよ」
「急に疑問に思ったから」
急な疑問を僕にぶつけるな。
「じゃあさ、君はどうなの?」
「…僕?」
「そ、君の考え」
「……候補としては二つ…かな。僕の中では」
「へぇ。話してみてよ。興味出てきた」
こほんという咳払いを一つしたあと、目の前の幼馴染は口を開いた。
「一つ目は、そうだね。簡単に言うと環境に応じて進化する」
「環境に応じて……どんな風に?」
「地球の未来を考えてみたらすぐ分かると思うよ。考えてみて」
「地球の未来、ねえ」
未来を考える前には現状を考えた方がいいだろう。えー…なんだ、オゾンホールが、そうあって、そんで酸性雨に砂漠化、だよね。あとは…えっと地球温暖化?かな。
「そう、それ」
「温暖化がどうかしたの?」
「暖まった地球はどうなるか、一個すぐ思いつくのがあるでしょう?」
「……あ、水位上昇?」
「あたり。だから、エラ呼吸でもできるようになるかなって思って」
「…エラ呼吸?人間が?」
「まあこれは一説だけど、人間は進化してこうなったと言われてるじゃない」
「それはまあ、うん、そうだね」
(まったくもってとりとめもないとは思うが)ありえない話ではないだろう。そう思いながらうなずいて、先を促す。
「それで、もう1つは何?」
「滅亡」
「…めつ、ぼお?」
「正しい発音は、めつぼうね。」
わざわざ一音一音区切りながらそう言うと、「うん滅亡」と、さっきよりネガティブな話に変わっているのに間違いは無いのに彼の表情には一寸の変化も見当たらなかった。動揺してるのは、僕自身であり同時に僕だけなのだ。
「まあいくつかに分かれるのだけれどね。1つは何も無いまま終わる。地球が沈む瞬間も見ないでね。」
ようするに人口の減少がさらに加速するってことだろう。これくらいは僕にもわかる。想像できる
現に日本人は年々人口が減ってきているのだから。
「もう1つはもしかしたら進化の可能性は残っていたかもしれないけれど、時間に間に合わずに飲み込まれる」
「海に?」
「海に」
「……うん。それも想像はつくね。あとは?」
「これが僕の想像の最後。進化する可能性もなく沈む。僕としてはこれが一番近いと思うけど」
どうかな、と聞く彼に無言で答えたあと、僕は1つだけ聞いてみた。
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