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私説イソップ ―ウサギとカメ―
作:西宮尚


あるところにウサギとカメがいました。
ウサギはカメの遅さとバカにしました。
怒ったカメは、ウサギと山の頂上まで競争することにしました。
競争がスタートして、ウサギは最初一生懸命走りましたが、カメが遥か後ろにいることを知って昼寝をしてしまいました。
カメはコツコツと歩んでいきました。寝ているウサギを追い越して、一番に頂上につきました。
カメは勝ったのです。
カメは、自分の生き方が正しいものだと確信しました。

しかし、しばらくするとカメの体調が悪くなりました。
身体がだるく、何もやる気がおきません。
カメは医者に行きました。
医者はカメを一通り診察して言いました。
「あなたのように、まじめでコツコツと仕事をこなす人が多くかかる『うつ病』です。
あなたも、ウサギのように、働く時は働き休む時は休むというように、生活にメリハリをつけた方が良いですよ。」

この話は、本来は美徳であるはずのまじめさだけでは生き辛く、生活に楽しみを持つことが良いことを示しています。


私説イソップ ―キツネとブドウの木―

あるところに、キツネとブドウの木がありました。
ブドウの木には、美味しそうなブドウが実っています。
キツネはブドウを取ろうとしました。しかし、高い場所になっていたブドウは、どんなにがんばっても取れません。
仲間のキツネたちは、「あのブドウは酸っぱいに違いない」と毒づいて去っていきました。
しかし、一匹のキツネだけはあきらめずに、ブドウを取る努力を続けました。
キツネは、『こんなに一生懸命にがんばっているのだから、絶対に美味しいブドウに違いない』という妄想を抱いてしまいました。
そのようにしているうちに、ブドウが腐って地面に落ちました。
それを食べたキツネは、他の仲間たちが言ったように、本当に酸っぱく不味いブドウであることに驚きました。
そして、キツネは嘆きました。
「なんということだろう。こんなに酸っぱいブドウのために、なんて努力をしてしまったのだろう。」
それを聞いてブドウの木が言いました。
「手に入らなければ勝手に美味しいと思い込んで、手に入ると幻滅して、なんて迷惑なキツネなのでしょう。」

この話は、欲しい物は手に入れるまでが一番楽しい、もしくは、幻想を抱かれてしまった者は幻想を抱かれたままにして与えてはいけないことを示してします。















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