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  Mission!! 作者:Rach
1st Stg第8話「Get Them!」
夕暮れのフォイオン ベンとホウィがいるビルの屋上から見える水平線に、だんだんと夕日が傾いていった。そんな頃、中央映画館の前に2台の黒塗り高級車がゆっくりと進入してきた。
そこへ案の定、自分たちの行動がすべて、別のビルの屋上から見られていることも知らずに、射撃手ジョルジュは射撃を開始した。マシューの命令を待たずにだ・・・。

ジュルジュ・トウェインは外人部隊在籍時でも、射撃の成績だけは優秀だったが、いささか軽率な性格の持ち主であったため、しばしば仲間と衝突することがあった。この日も、過去と同様にミスを犯した。比較的沈着冷静なマシューの命令を待たずに、射撃をしてしまったことだ。軽快な連射音とともに、2台の車のタイヤが次々と破裂し、ボンネットには無数の弾が飛び跳ねていく。夕方の街に鳴り響く銃声・・・。
そんなジュルジュの行動にため息をつきながらも、マシューは現場を冷静に分析していた。
『そういえば、この国はどこもかしこも禁煙だと、あれほど言っておいたのに・・・、こいつはバーでタバコふかしやがったな・・・』
ジョルジュとは長年の付き合いとはいえ、この軽率な性格だけは何とかしてもらいたいとマシュー思い始めていた。

「様子がおかしい・・いつもいるはずの警察車両が見当たらない・・・」
そんなマシューの独り言を無視し、車両にて待機中の仲間にGoサインを伝達をするため、ジョルジュは射撃をやめた。そして彼は意気揚々と携帯に向かって叫んだ。
「今のうちだ!国王をかっさらえ!」
停車していた黒いバンにそう伝えると、車のスライドドアが開き、銃を片手にした男たちが、飛び出してきた。
「待て!なにか違う!早くここを去ったほうがいい!」マシューがジュルジュにそう叫んだ。

マシューは夕暮れの映画館に、あまりにも他の観客の姿が見えないこと、誘導しているはずの警察車両もいないことを不思議に思い、ここから撤退することを決断した。
『多分、チラホラと見えた人間の姿は、王室警護の囮だ。』

マシューは自分の銃の脚をたたみ担ぎ上げ、ビルの屋上にある出入り口に向かって走りだした。
そのときベンの放った一発のブレットがマシューの右足を貫く。
「うお!!!」右足から血を出し、その場に倒れるマシューにジュルジュが叫ぶ。
「マシュー!」
「この方角からだ!気をつけろ!スナイパーが狙っている!くそ・・フランツのやつ・・裏切りやがったな・・」マシューはベンのいる方向に位置するビルを指差して叫んだ。そして、ポケットから携帯を出し電話をかけた。
「俺だ!マシューだ!すぐ女と子供を殺せ!そして逃げるんだ!・・・・・・」

しかしそう叫んだ相手の電話の向こうから聞こえてきたのは、あわただしい銃撃音だった・・。
「こっちも・・・やられました・・・」
その声の後には、耳障りな携帯が床に落ちる音が聞こえた。足を撃たれた痛みと、今の状況を把握するのにしばし時間がかかった。
「どうした?!」彼はジュルジュの声にはっとして我に返った・・・。
「こんな短時間に俺たちのアジトも見つけやがったのか・・」
そこへどこからともなく軍用ヘリコプターの飛来する音が聞こえてきた。二人は大空を見上げたとき、彼らの大きな影を落として飛ぶ軍用ヘリの姿が見えた。

「げ!あれはAH-64アパッチ対戦車、対地攻撃用ヘリ・・・やばいぜ!こんなオンボロビル、ハイドラ70 FFARロケット弾くらったらものの見事に崩壊しちまう!!!」
「どうせ取り壊す寸前のビルだ!どうなったって知ったこっちゃないが、ここはひとまず逃げるぞ!!」
慌ててドアに向かって走り去る2人

しかし、アパッチのコクピットでは、完全にこの二人の行動を把握していた。無線から聞こえるベンの命令が次の攻撃を繰り出した。
「やつを殺すな。できれば捕獲せよ!!」
「Roger that!!」(了解)

AH-64 アパッチヘリが大きく旋回して、ビルの中腹あたりに機関銃を連射した。奴らを殺すなら簡単だ・・・。ビルごとロケット弾で破壊粉砕してしまえばいいが、捕獲となると彼らの逃げ道を断つことが優先だ。コクピット下に取り付けられたM230 30mm自動式機関砲が放つ振動がビル内にとどろく。

一方、中央映画館前で白い煙を吐いている高級車は、完全にその動きを沈黙させていた。ゆっくりと5人の男が銃を手に近づいていく。普段国王が乗る右後部座席だけ、射撃の痕跡が見つからなかった。そこだけジュルジュが外して射撃をしたとしたら、腕前はいい・・・。
彼らが現場に近づくなり、男たちはその緊張感から息が荒くなっていった・・・・。
「車の中の国王を連れだせ!A班、車をまわせ!」
「102陸軍のヘリコプターまで出てきてますぜ、情報がリークしたのでは?」
「わからん。しかし・・アンドレを捕まえた者が、最終的に勝ちなのさ。行くぞ!」
テンションの高い男たちはそういって車に向かい、一気にドアを開けた。
「これは!!」
「ダミーだ!」中には金髪のかつらをかぶったマネキンが置いてあった。緊張感と無駄なハイテンションだった彼らを襲った失敗という文字。いきなり憤慨した一人の男が、そのマネキンを掴み、道路に投げ捨てた!!
「ちくしょう!」その声に指揮官が振り向く。
「ばか者!さわるな!!」そういった瞬間、身をかがませた全員だったが・・・。しかしなんの反応もなかった。通常こういった状況では、マネキンや仲間の遺体などに、手榴弾を仕掛け、不用意に触ることによってピンがはずれ、爆発が起こし殺傷させるのは陸軍では当然のことだった。
「なんだよ・・・驚かすなよ。ただのマネキンじゃねえか」そう言った瞬間、無情にもマネキンが爆発した。大声を上げて倒れる軍人たちは、のけぞり地面に横になった後もその身をもだえ、苦しんでいた。

ビルの屋上からその様子を見ていたベンの右手には、遠隔操作で爆発するクレイモアのリモコンスイッチを手にしていた。 
「よっしゃ!!後はビルの中にいるあの二人だけだな!」
「行こう」二人は荷物をもって立ち上がると、その場から去っていった。

そんな現場から離れた場所に位置するイタリアレストランでは、玄関口に静かに停車した車から、まるで映画スターのようにアンドレが現れた。サラの座った座席のドアを店のものが開けると、アンドレの様子とは違い緊張した様子のサラが姿を現す。 
そこへ慌ててレストランのオーナーと料理長が駆けつけた。
「いらっしゃいませ。アンドレ王。」
「お久しぶりです、ロレンティオさん、お元気でしたか?」
「これは名前を覚えていてくださるとは、光栄です。」レストランのオーナーは両手を胸の前で合わせて、喜んで見せた。そこへ主催者であるイタリア領事館長ともう一人の付随者があわただしく駆けつけた。
「今日はお招きいただき、ありがとうございます。ブラマンテ領事館長、時間に遅れてしまい大変申し訳ありません。」少し恰幅のいいその男性は、久しぶりに走ったのか、顔を赤面させながらアンドレ王との挨拶を済ませたが、ふとサラのことが気になるのか、視線をしきりに彼女のほうに向けていた。
「いいえ、とんでもない。あ・・こちらの女性は・・」
「私の婚約者、サラ・ブルックナー嬢です。」
「・・・・はじめまして・・・」
「婚約者・・おおお、そうですか!!それはそれは!もしかして私たちが一番、最初にお目にかかれたわけですか?光栄ですなあ。それにしても美しい女性だ・・。ブルックナー嬢、私はイタリア領事館のブラマンテといいます。どうぞよろしく」
「・・・よろしく・」
サラは緊張した面持ちながらも、ブラマンテら4人の背広のふくらみをチェックしていた。彼女のボディガード業は、ここフォイオンについてすぐ始まっている。彼らが拳銃を保有しているかどうかを確認したのだ。
「サラはさきほどこの国に到着したばかりなのに、無理に言って同席してほしいと頼み込んでしまいました。」店のオーナーであるロレンティオに案内され、店の奥へ入っていこうとしたその時、サラの耳にヘリコプターの飛来する音が飛び込んできた。
「・・・・・アパッチ・・・」
サラは、レストランの内部に入ったとたん、そこに飾られている美しい装飾品には目もくれず、しきりと窓の外へ目を向けた。遠く離れた彼方の空に、時折パッと明るく光るのが見えた。『ベンは大丈夫だろうか?あのアパッチは友軍機だといいが・・・・。』

少し不安になって窓の外を見ていたサラの背後から、ロレンティオ氏が忍び寄り、そうっとサラの肩に手を当てた。
とっさに身構えるサラだったが、彼は微笑みながらそうっとサラのコートを預かろうと手を差し伸べただけのことであった。
「・・あ、失礼・・・」救急車両がけたたましく、レストランの前を走っていった。こんな状態ではとても食事なんてできる心境ではない。
あの馬鹿ホウィもきっとあのあたりにいるはず・・・。やはり私が行くべきだった・・・。
「あ、ちょっと失礼・・」心配そうにサラを見ているアンドレにそう言うと、急ぎ足で女性用の化粧室へと向かった。ドアを閉めるや否や、コンパクト型のアンテナを立てた瞬間、ベンの声が入ってきた。
「こっちのことは気にするな」耳のイヤリングに反響して聞こえてくるベンの声は比較的落ち着いていた。
「ベン、さっき軍用ヘリコプターが通り過ぎたわ。大丈夫なの?」
「そんな心配するくらいなら、テーブルマナーでも心配しておけ!今、マシューとジョルジュを追い詰めているところだ!」
「やつらはどこに?」
「映画館のトイメンにあるビルに閉じこもっている。できれば捕獲したい。いろいろ懐かしい話もあるんでな」
「フランツの家族は?」
「上手くやっている。王を頼むぞ!通信終了!」
やはり忙しいのか、言いたいことだけを伝えたら、こっちの心配もよそに勝手に切られてしまった。おおきくため息をつくサラだった。
(参考)
AH-64 アパッチ対戦車、対地攻撃用ヘリは、最前線で活動できるように計画され、夜間の作戦や悪天候時にディスプレイに視界を表示するシステムやそれが統合されたヘルメットなどが組み込まれた。また、目標捕捉・指示照準装置、パイロット用の夜間装備、レーダー・ジャマー(電波妨害器)、赤外線迎撃兵器、地表面誘導装置、GPSなどの最先端の航空電子機器も搭載されている。また、高い防御性も持ち合わせており、メインローターに23mm砲弾が直撃しても一定時間の飛行が可能な設計となっている。メインローターの上にミリ波レーダーを装備したAH-64Dアパッチ・ロングボウ(ロングボウ・アパッチ)も開発・使用されている。
武装はコクピット下にM230 30mm自動式機関砲1門、スタブウイングの牽下パイロンに ハイドラ70 FFARロケット弾、AGM-114 ヘルファイア空対地ミサイル、スタブウイング両端にAIM-92・AGM-122・AIM-9のいずれかの空対空ミサイルを搭載できる。その重装備・重装甲から空飛ぶ戦車と評されている。

ハイドラ70 FFARロケット弾
ハイドラ70 2.75inロケット弾ファミリー(以下ハイドラ70)は直径2.75インチ(70mm)の航空機発射ロケット弾で、構造はMk.66ロケット・モーターと各種弾頭を組み合わせたものである。
Wikipediaより参考
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