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  Mission!! 作者:Rach
6th Stg第76話「Pablo George Granados〜Scoundrels5」
この日のすべての出来事が、サラにとっては悪夢であった。結局、自分はだれも救えなかった・・・そう思うと落胆した気持ちが彼女の心を支配していた。
彼女は地面に横になっていた自分の体を起こすと、すぐ隣でベンのうめき声が聞こえた。
「教官!!」彼の右足にはパブロが連射した弾丸が当たり、大きく肉がそがれ、そこに白くむき出しになった粉々の骨が露出していた。サラは言葉を失った・・・。
「サラ・・・。武器モノは俺の家のガレージの・・・倉庫の中だ。」胸ポケットから出した鍵を渡し、かすれた声でそれだけ言うと、おびただしい血液を損耗した彼の意識は次第に薄れていった。駆け付けたメディックがストレッチャーを運んできた頃には、ベンはサラのひざの上で静かに眠っているようだった。
彼女を取り巻くすべての麻薬常習者は、その場で次々と手錠をかけられ、市から派遣された警察のバスに運び込まれていった。現場でその様子を呆然とした様子で眺めていたサラは、あの不届き者マシューとジョルジュにわなわなと怒りが込み上げてきた。
『このすべてがやつらのせい・・・』サラはこぶしをギュッと握りしめた。
パブロも同様、警察によってその両手に手錠をかけられ、駐車場にある彼の私有車に向け歩き始めていた。
「車のカギは?」パブロは警察にそう言われ、しぶしぶポケットからキーを取り出すと、SUVの後方ハッチが開かれた。そのとたん、一匹の猫が顔を出した。
「猫?」それを見ていたサラはあわてて走り寄り、その状況を説明しようとした。しかしそれよりも早く声をかけた男がいた。
「フランちゃん!!ご飯の時間ですよ〜〜!!」妙な猫なで声を発したのはホウィだった。
「この猫は君のかね?」
「ええ、俺、急にここに事務員として雇ってもらったものですから、パブロに頼んでフランちゃんを預かってもらってたんです。ねー!フランちゃん!!」サラはホウィの言葉に驚いた。ただ能天気な女癖の悪い軽い男かと思いきや、結構事情を深くつかんでいるようだ。しかし、そのあとで警察は段ボールに入ったものを見つけた。不審に思って中をのぞいてみると、そこには大量の麻薬が入っていた。パブロは驚いた。
「それは、マシューとジョルジュがパブロに預かってほしいと頼み込んで、ここに置かせたものだ。私がその瞬間を目撃している。」
サラはゆっくりとそう説明した。すると、隣ででイワンの声がした。
「指紋を確認してほしい。あの二人のものが出てくるはずだ。」
サラはイワンの顔をちらっと見ると、無表情のままその場を立ち去った。

その日の夜中、ベンのコンドミニアムの一室にサラとホウィがいた。サラはせっせと暗めのハイネックインナーシャツの上に、インターセプターボディアーマーを着込んだ。
パソコンを持ち込んでいたホウィが、サラに向けて言った。
「仲間がアジトの写真を送ってきた。」その画像にサラはのめり込んだ。広い農園の続くその先にある汚い製鉄工場は、広い敷地内にいくつもの建物が立ち並び、その場所だけも彼らを探すのは至難の業かと思えた。
「要は武器を奪還し、Bossモーリスとあの二人を警察に突き出せばいいんだから、簡単な仕事ね。」
「本当に一人で大丈夫か?」ホウィは心配そうにサラの顔を覗き込んだ。
「私ひとりの身に何かあっても、ホウィが心配することは何もない。天涯孤独の身ってこういうとき便利なのよ。」
ホウィはその言葉に、違うよとでも言いたげに首を横に振った。それを無視するかのようにサラの言葉は続いた。
「手順はOK?」
「あ・・・ああ。現地への移動は1時30分。俺が警察への不法侵入の連絡は2時30分、サラの侵入は3時きっかり。ピックアップポイントには3時30分。こんな具合だな・・。」
「民間人にしては上出来」サラは時計を見てガレージに向かい電気をつけた。ベンの車、ミニクーパーの脇を通り抜け、そこにあった戸棚をあけると、中にはごっそり武器が入っていた。手際よく自動小銃にスコープをつけ、そこにあった暗視鏡ゴーグルを引っ掴み、次々とそれらを自分の細い体に装着していったサラだった。

ホウィがサラを現場付近まで送り届けると、サラは製鉄工場の中を暗視鏡で見渡した。
「マシューは比較的沈着冷静で用意周到、ジョルジュはその反面、不注意な行動が多く単純思考、使うならジョルジュか・・・・」小銃を背中に背負い、サラはその敷地内に入ると、ここの建物に設置されている電気メーターを確認して回った。どの建物もカーテンが下ろされ、中の様子はうかがうことはできなかったが、一つのコンクリート建造物だけが、静かにメーターを回転させていた。
「アンビはどこ・・・」そう思った瞬間、自分の横にあったドアが突然開き、マシューが酒の小瓶を持ちながら飛び出してきた。サラはあわててその場に沈みこんだ。
「ジョルジュ!!たばこは密室で吸うなよ!!外で吸え!!」
「こんなハッピーな日くらい、おおめに見てくれてもいいだろ!?」マシューは手に持ったビールの小瓶を、トイ面のコンクリート建物の壁に投げつけ、それが割れて飛び散るのを見てにやりと笑ってみせた。そしておもむろに無線機を取り出すと、どこかと話しだした。
「異常ないか?」無線独特のノイズの後、男の声が聞こえた。
「ああ、異常はない、静かな夜だ。ヘリがくるまで武器の警備は任せて下さい。」そう言って無線が切れると、マシューは無意識に隣の工場に目がうつった。大きく伸びをし、まるで新鮮な外の空気を胸一杯にため込むように深呼吸をすると、また建物内に戻っていった。サラはそのすぐそばで身をひそめながら、消えたマシューにほっとしたかのように胸をなでおろした。
「こっちへ」その時、自分の左隣で声がした。私ひとりしかいないはずの製鉄所に、なぜか聞きなれた声・・・。その男は自分の腕を引っ張り建物の背後に回ると、付けていた黒いマスクをひんむき、にやっと笑って見せた。その男はイワンだった。
「イワン・・・・どうして?」
「悪いね。俺にも許せない男がいてね。名前はモーリス・ショーロホフ。俺の祖国ウラジオストックで麻薬を売っていた男だ。わけはあとでゆっくり話する。で、奪われた武器を探してるんだろ?」サラは黙ってうなづいた。
「武器ならあの建物だ。マシューは無線を切った後、その視線をあの建物に向けた。人間の無意識の行動は嘘がつけないのさ。どんな悪人でもね。」
「あなたを信用していいの?」
「おっと・・・、君からそんなセリフを聞くとは思わなかったよ。いつでも仲間を信用し絆を強めようと努力していた、そんな君からね。」そのセリフにサラは笑った。この男には鋭い人間観察力があることは百も承知だ。それがロシア連邦保安庁Federal Security Service of the Russian Federation、略称:FSB)で諜報活動をしていたからかはわからない。
「ホウィが警察への不法侵入の連絡をするのが0230(2時30分)、私の突入が3 sharp(3時きっかり)。ピックアップポイントには0330。」
「悪くないね。」そう言ってにやっと笑ったイワンだった。
画像満載な「Mission!!」HPにて、アンケート及び感想待っています。
http://anime.geocities.jp/rachsmission/
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