カゲヤマ氏、鋭い指摘をありがとうございました。
心より感謝申し上げますと共に、今後ともMission!!をよろしくお願いします。
琴美さんによろしく! From Sara 12/15
2nd Stg第30話「TSD9」
そんな頃ICCトラック内ではベンとオスカーがあわただしく現場の指揮をしていた。
「王は北の斜面に向かっている。MH-60は彼らの救出を!アパッチ!援護を頼む!!」
「MH-60了解!」
「アパッチ了解!」ベンは北の斜面に向かった国王をピックアップすべく救助ヘリであるMH-60を向かわせ、その援護にアパッチヘリを向かわせた。
『米軍のC-130が到着する前に、なんとか国王だけは先手を取っておかないとな・・・。』
偵察隊からの映像によると、そこにサラの姿は映っていない。『彼女の救出も急ぎたいが、今は優先順位は国王が一番だ・・。』
「ベン!米軍のお出ましだ。輸送機が近づいている。」メガネにモニターのインジケートが映りこんでいるオスカーが口を開いた。そこにいたパブロが機関銃を手にしながらふてぶてしく答えた。
「頼んでもいないのに、まったくあつかましいぜ」
「実は、俺が承諾した・・・内緒だがな。」ベンはにやりと笑った。オスカーはすぐ、彼が何を意図していたかを探り当てた。
「なるほど・・・どういう動きを見せるか、楽しみです。しっかり録画しておきましょう。」その反面、パブロには何のことだかわからないといった表情だ。
「内閣総理大臣の立場では、自国の王救出劇を堂々と他国軍隊に頼めはしないだろうからな。パブロ、奴らの装備はどうなっていると思う?」
「アンドレ王捕獲が最優先なら、救出用ヘリ1機と援護用ヘリ1機。救出班は少なくても4名、暗視鏡つきサイレントスナイパーライフルにナイフ。そしてピックアップポイントでは救出用ヘリに位置を確認させる発炎筒。テロリスト一掃作戦が重視なら、各種投擲弾一式、ローリングガン又はサブマシンガン系にグレネードランチャーを携行してるでしょうな。」
「さて、どっちかな?」
形が崩れた病院の建物を前に、数箇所から銃撃が起きた。味方にも捨てられたかわいそうな残留兵の数名が、無駄な悪あがきをしている様子だった。それも時間の問題だろう。
フォイオン軍は、大きく分けて2つの任務を受け、2つの小隊に分かれて行動していた。一つは、もちろんアパッチも加わったアンドレ国王の保護、もう一つは敵の捕獲だ。できればボスと呼ばれている男か、それに準じた幹部がいい。彼らの目的はなんなのか?国王を捕らえて何をしようというのかを確認するためだ。
大体の見当は付いている・・・。国王を誘拐すれば、もしかしたら3Xの一つや二つは身代金代わりに、くれるかもしれない。そうなれば、3X自体は数多く持っていなくても、研究開発に一歩リードでき、新エネルギーで動くエンジン、コンピューター、兵器などをいち早く開発生産し、特許で一生食っていけるだろう。
できれば、油田を持っているオイル王のように、鉱石王となるのが一番だが・・。
いち早くその場から脱出したアンドレ王は、酸素が薄い山の斜面で岩石に隠れていた。武器を持たないアンドレと、彼を捕獲したい謎のエージェント達との攻防は、まるでHide & Seek かくれんぼといった様子だった。
『私もサラのように、軍事訓練をしておく必要がありそうだ・・・』彼は薄い空気の中、息も絶え絶えにそう思っていた。体力には自信のあった彼だったが、こんな標高の高い場所ではさすがに体力も限界だ・・・。エージェントの3人も、険しい岩山を登るのに相当疲れているようだった。そんな彼らから威嚇射撃を受けるアンドレだった。
『それと・・・・射撃訓練も必要か・・。宮殿に帰ったらパブロに頼んでみよう・・・』
こんな危機的な状況でも、なぜか彼は冷静だった。しかし暗くなりかけた空の向こうに、大型輸送機が飛来してきたときは、そんな冷静な気分ではいられなくなった・・・。
ちょうどアンドレの上空を通り過ぎようとしたとき、バックテールから飛び出した空挺隊員の落下傘が空に花開いた。
『敵か・・味方か・・・』
舞い降りた兵士たちがパラシュートをたたむと、銃を片手に警戒している様子が見えた。
「出て来い!!アンドレ!!どっちみちこの先は崖だ!そこからJAPのように万歳とでもいって海に飛び込むつもりか!!」エージェントの一人が叫んだ。あのグレースーツの声だ。エージェント達はその声の様子から、何かあせっているようにも聞こえた・・・。
ライフルの連射音が響いた・・・。続いて誰かの叫び声・・・。アンドレはさっきの空挺部隊の隊員がエージェント達を一掃してくれたのかと岩陰から覗いてみた。思ったとおり、倒れたのはやはり自分を追ってきたエージェントだった。
「ウィル!こっちへ!!」山の頂上付近から声がした。
「サラ!!」頂上方向から、ライフルを構えたサラの姿を見つけると、慌てて彼女の元へ駆けつけた。
「よかった・・・無事だったのですね?」
「あなたも。」
「サラからの暗号どおり、海風になってここに来ましたが、もう後がありません。後は海につながる絶壁です・・・」
「大丈夫・・・」
そういった瞬間、絶壁の向こうからアパッチが現れた。エージェントに向けて機関銃の威嚇射撃を繰り返した。彼らの背後には彼我不明の空挺隊員もいる・・。しかし都合よく、暗くなった彼らは暗視鏡を装着したばかりだった。突如として現れたヘリからのスポットライトをまともに受け、彼らの視力を一瞬にして失わせたのだった。
そうこうしている間に、少し離れた場所にMH-60から二人に向かってはしごロープが投げ落とされた。二人は全力でそこまで走りはしごをつかんだ。アンドレがヘリに収容され、また投げ落とされたはしごにサラが捕まったのを確認すると、また大空へ舞い上がっていった。
「二人は無事収容した!繰り返す。二人は無事収容した!」
MHヘリのパイロットは無線機に向かって叫んだ。
サラはまだヘリの中にはたどり着いていなった。彼女はロープにしっかり捕まったまま、空中散歩の途中だった。ふと下の様子を見ようと眼を凝らした。彼女はどうしてもさっきの空挺隊員が敵か味方かを知りたかったのだ。
彼女の目に飛び込んできたのは、空挺隊員がエージェントの全員を射殺していたシーンだった・・・。
「同じアメリカ人同士・なぜ?・・・・・・。」ヘリのパイロットはサラの収容を急がせようと、ヘリからサラに手信号を送ってきた。なぜなら彼らの近くにも、彼我不明のヘリコプターが確認されたからだ。サラは必死に梯子を上ってヘリにたどり着くと、そこにいたアンドレと抱き合った。
国王を乗せたMHはスピードを上げてその周辺から脱出を図り、アパッチはそれに追従するように警戒しながら飛来していく・・・。
「気をつけろ!アパッチ、急いで離脱せよ!」パイロットのヘッドフォンにベンの声が響いた。もちろん、アパッチのレーダーにもその彼我不明のヘリの姿をしっかり捕捉していた。2機のヘリは大きく旋回して岩山ぎりぎりのラインを飛行し始める・・・。敵であろうヘリから捕捉されることを避けるためだった。
アパッチのパイロットは、目の前のレーダーを見て何かを確認すると、無線機に自分の声を流した。
「彼我不明のヘリコプターは、現地から遠ざかっている模様。追いますか?」2.3秒の間隔をあけ、ベンの声が飛び込んできた。
「・・・いや・・・王とサラを急いで宮殿へ」
「了解。宮殿へ向かいます。」
彼我不明のヘリコプターは攻撃用のヘリではなく、人員輸送を主とする輸送ヘリだった。ハンスの隣りで、薬物を注入されぐったりしているクライブの姿があった。彼は意識が朦朧としている中で薄目を開けると、そこには見たくもないマシューとジョルジュの顔があった。
『サラ・・・彼女は大丈夫だったろうか・・。』彼は自分の手を握り締めた。彼女の感触がまだ残っていた・・・。
誰も残っていない崩壊した建物のそばに、ICCトラックがゆっくり侵入してきた。ベンとオスカー、パブロはトラックから降りると、辺りを見回した。パブロは真っ先に到着したばかりのコンテナにもぐりこんだ。ドアが開かれたままの不自然な姿から、残存兵が武器を荒らした形跡が見える。彼が中にいることを知らないのか、突如コンテナの周りで英語で話をする声が聞こえてきた・・・。
「OK、I will set some C4s around here.」(よし、ここらにC4をセットするか)パブロは確かにそう聞いた。C4とは爆破物だ。これを爆破するつもりか?
パブロは何も言わず、爆破物取り付けを工作する空からのアメリカ人兵士たちにばれないよう、スキをみてそうっとコンテナから身を引いた。
ベンは空挺の指揮官と面接中のようだった。米軍の指揮官である中尉は、自分たちが到着する前にことが済んでしまったことを、不愉快に思っているようだ・・・。しかし彼から出た言葉はこんな社交辞令だった。
「これは一体・・・あ・・王は無事ですか?テロリストはどこに?」
「国王は無事だ。肝心の敵は残念ながら逃げたようだ・・・・」そこへパブロがベンの隣りに歩み寄った。
彼らの兵器を確認するパブロはジロジロと彼らのなりを確認した。サブマシンガンを抱え、腰には各種の投擲弾が装備されている。後方にいる兵士はローリングガンを持っている者もいる。みな拍子抜けしたように様子を伺っていた。
「あ・・・私は米海兵隊のトーマス中尉です。」
「私は宮内庁のベンジャミン・ゴードンです。一足遅かったようですな。申し訳ないが、宅急便の配達時間にかんがみ、急遽君たちの到着を待たずに先手を打たせてもらった。」そう言ってコンテナを指差した。あとは相当嫌味な台詞が続いた。
「最新のアメリカ製の武器・・・これがテロリストの渡る前じゃないと悪戦苦闘を虐げられるんじゃないかと思ったんでな」中尉は顔色一つ変えずに、別の話を切り出す。
「・・・・・王にお怪我はありませんでしたか?」ベンは口元が緩んだ。しかし心の中では大笑いだった。
「無事だ。今頃フィアンセと空中ランデブーだ。」
「それは良かった。王の安全は我々アメリカ国家にとっても安全保障上非常に重要です。無事であるなら我々は無用、ではこれで・・・」そういってベンに背を向けた。
パブロが小さく、ベンに耳打ちした。
「奴らは、証拠隠滅に来た掃除屋だ・・・」
ベンは黙って、彼らの様子を伺っていた。
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