1st Stg第12話「Mission Togther!!」
フォイオンポート、立ち並ぶ輸入品を預かる大型倉庫が無数に立ち並んでいた。ある一角だけが騒がしく、緊急車両の放つライトがただならぬ雰囲気を醸し出していた。
警察の鑑識が、そこに寝転ぶ男達の体を突っつきまわし、黒い死体袋に丁寧に入れるとIDを取り付け車に運びこまれていった。
そんな物々しい現場に、またもや警察車両が駆けつけてきた。その後部座席から出てきたのは、汚れ破れたドレスをまとったサラと、その助手席からはベンが現れた。
「ここがそうなの?」
「なるべく殺さないように心がけたそうだが、死者3人、怪我を負ったものは7人だ。フランツの家族は無事だ。」
「それはよかった・・・」
車の後部座席にいるアンドレ王が、その現場を見てため息をついて見せた。
現場にいたフランツがベンを見つけると同時にこちらに向かって走ってきた。彼のそばには、あのマシューとジョルジュの仲間から解放された、彼の妻と7歳になる女の子が一体Daddyはどこに行くのかと、心配そうにその姿を目で追っていた。
「ベン、本当にすみませんでした。・・・・」
駆け寄るや否や、フランツはうつむき加減にひたすら謝った。疲れ果てたその表情には、家族が無事だった安堵感と、自分がこの事態をまねいてしまったという自虐的な意識が表れているようだ。
ベンは軽く彼の肩に手を置いた。そんなフランツの行動を見ていた妻とその子供も、まるで今は片時だって離れていたくない・・・そんな気持ちでフランツに近づいてきた。フランツもベンになだめられ、気分が落ち着いたのか、またそこにいた家族と抱き合った。
ゆっくりと警察車両のドアが開き、そこからアンドレ王が姿を見せた・・・・。
「王・・・・」彼がここにいたことに驚くフランツは一瞬、言葉を失った。
「あなた・・・まさか・・・ここに・・」彼は、どう謝罪を述べようか言葉に詰まった・・。
それは彼の家族も同じだった。
「王・・もうし・・・」彼が心底から謝ろうと、体中から言葉を繰り出した。しかしその言葉をさえぎったのはアンドレ王だった。
「フランツ。謝らなくてはいけないのは私のほうです。私のせいで、あなたの家族をこんな危険な目にあわせてしまい、本当に申し訳ない・・。」
「いえ・・そんな・・・」
「しばらく休暇を取って、奥様とお子様の側にいてあげてください。」
「はい・・・ありがとうございます。王も、良くご無事で・・・」フランツはいつしか、涙で顔がぐしゃぐしゃになっていた。言葉にならない台詞が続いたが、そんな彼を妻は寄り添ってただただ抱きしめてあげていた・・・。その姿にアンドレ王はやさしく微笑んでみせた。
『家族か・・・』サラはそんなウィルの笑顔をじっと見ていた・・・。
『家族ってこんなものなのかな・・。まるで生きて戦友が帰ってきたときのような・・・そんな気分きっと・・。』なんとも生まれてはじめて感じ取った不思議な気分だ。
『それに、このアンドレ国王・・・・。なんて優しいのだろう・・・。』
もう一度、かれの横顔をチラッとのぞいてみた。『さっき・・・この人は私にキスを・・・。』それを思い出すと、少し恥ずかしくなって目を背けてしまった・・・。
またもや現場に程近い場所にいた男が、アンドレ王の姿に気付いて慌てて駆け寄ってきた。少々運動不足気味のようで、まるで久しぶりに走ったかのような滑稽な姿だった。
「アンドレ王、まさかここに来られるとは・・すみません、出迎えもせず・・・ここの現場指揮官のボブです。」
「ボブ、国民の皆様に不安を抱かせないよう、配慮願います。」
「はい、それはもう・・・」周りにいたマスコミや関係者などが、国王が現場に現れたことに気づき始め、あたりはざわつき始めた。
「では、わたしはこれで・・・サラ、行きましょう。」
「あ・・・ええ」まだガラにもなく呆けていたサラは、彼の声にまるで我に返ったかのように身を翻すと、あんまり座心地のよくない警察車両に乗り込み、そして窓を開けた。
そこへベンが顔を寄せて、サラに話しかけてきた。
「入国早々申し訳ないが、検討事案がある。ここでの処置が終わったらすぐ戻る。ホウィとオスカーにもそう伝えておいてくれ」
「了解」
宮殿内はいつもと変わらず穏やかな時間が過ぎていた。夜は当に22時を過ぎていたにもかかわらず、勤務中の数多くの男女が忙しそうに動き回っていた。
それもそのはず、国王を狙った拉致事件がらみで、フォイオン陸軍102部隊の軍人および警察がひっきりなしにここで活動していたからだ。おまけに急な来客が3人増えた。
サラとホウィ、そしてオスカーだ。この日は宮殿内で働くものにとっては、格別に忙しかったに違いない。
そんな宮殿の会議室に続く重厚な扉を開ける二人がいた。その向こう側には、50人は座れるであろう大きな楕円形のテーブルが置かれてあり、中央席には王専用の椅子だろうか・・・、見るからに豪華な椅子が置かれていた。その後ろに見える壁にはアンドレの父、スタインベック4世の大きな壁画が見える。
「すごい・・・。」ただ呆然としてオスカーがそう言い放った・・。
「オスカー見た?あの豪華絢爛なシャワールーム。なんだか俺までピカピカ輝いてしまいそうだ。・・・うーん、いい香り。シャンプーもボディソープも1流品だな。」そういってクンクン体の匂いを嗅いだのはホウィだ。
「・・・・それにしてもでっかい会議室・・・メイドさんたちは可愛いし!最高だね!」
先に宮殿にたどり着いていた二人が、早めに会議室に案内されたが、そこで言い争いだしたのはまたもやホウィの女性関係の話だ。
「まったく王室も、とんだ爆弾抱え込んでしまったようだ」ため息混じりにそう言い放つオスカー
「爆弾?」
「お前のことだ」
「オスカー、お前だってその色メガネの下の瞳は、ジロジロ女の子ロックオンしてたんじゃないの?コンピューターオタクは女の子にはもてないぜ」
「俺はお前とは違う。」そうムキになった瞬間、彼らの後方からラフな格好に着替えたベンとサラが入ってきた。ホウィはサラを見るなりいきなりにやけた。
「サラ・ルーシーちゃん〜〜。王様とのキスはどうだった〜〜?身も心もとろける様な感じだった〜〜?」
「・・・・・・」ジロッとホウィを見ると、無視して席に座った。
そこへアンドレ王がメイドに案内され入室してくると、ホウィとオスカーもあわてて座席に座り身を正した。特別挨拶もなく、開口一発、アンドレの隣に座ったベンが口火を開く。
「みな、お疲れのところ申し訳ない。紹介しよう、このお方がアンドレ・ウィルヘルム・スタインベック5世。この国の王だ。聞いているように、このフォイオンでは、新しい未知のエネルギー鉱石が発見され、そのため各国ともこの石っころを手に入れようと躍起になっている。もちろん、迷惑な犯罪組織、テロリストも同じくだ。そこで、今いるこのチームに国王のボディガードを頼みたい。」
「はじめまして。はるばるこのフォイオンまでお越しいただきありがとうございます。私は、このエネルギー鉱石を悪の道には使われたくない、あくまでも平和的なエネルギーの供給をと願っております。そのための国家としての最終決断までの間、私とこの3Xが奪われないよう、是非皆様のご協力をお願いしたい」
「アンドレ王、紹介しましょう。この男はホウィ・ラマルク 一応国籍はフランス。情報屋としてはかなりの人脈を持っています。彼は軍人ではありませんが、フランス外人部隊では司令部で事務方をしていました。」
「ちょっと、女関係でトラぶって、外人部隊の事務官に雇ってもらったのさ。よろしく。国王」まったくここでもふざけた態度をとるつもりか??ベンが彼のなれなれしい態度に気分を害していないだろうかと、心配そうに国王を見た。
「女関係で・・・トラブル?」国王にとっては彼のそういう言葉の意味がよくわからないようだった。
「ウホン!」ベンは大きく咳払いをして見せたが、ホウィは全く気にする様子もなく、ただヘラヘラと少年のような笑顔を見せるだけであった。ベンは言葉を続けた。
「そして、オスカー・重森・ラビンドラナート。国籍はインド。彼も軍人ではありませんが、コンピューター技術、ハッキングにかけては世界中の誰にも劣らない。インドでコンピューターサイエンス情報工学を学び、その後は日本の大学院を卒業、世界最高のコンピューターリテラシーを持つ男です。」
「はじめまして。国王」ホウィとは全く180度違う、礼儀正しい挨拶をしたオスカーだ。
「頼もしいですね」
「それともう一人、・・・いま米軍雇用軍人としてアフガニスタンに駐留している軍事オタクが、もうすぐ到着する予定だ。名前は・・・パブロ・ジョージ・グラナドス。国籍はスペイン。」
その台詞にみなの顔つきが変わった。そう外人部隊在隊時、サラを人質にとりベンを負傷させたあの男だ。
「え?パブロが?」サラは少し驚いたが、怪我をしたベンがそれを決めたのなら、きっとなにか理由があるに違いないとも感じていた。誰もがこういいたかった台詞をやはりこの男、ホウィから飛び出してきた。
「大丈夫かよ?また狂ってサラを人質にとって暴れるんじゃないだろうな?」その雰囲気に国王も心配になってベンの顔をのぞいた。
「・・・・そんなことが?大丈夫なのですか?ベン、そのパブロとかいう男・・・サラにまた危害をくわえることは・・」
「確かに・・奴は苦しい外人部隊での訓練中に、精神的に参ってしまい、サラを人質にとり暴れたことがある。そのまま除隊を余儀なくされたが、奴は決して悪い奴ではない・・・その理由は皆、わかっているとは思うが・・・。」
「・・・そうね・・・彼の武器に関するスキルは1流だわ。その武器データーと、彼の武道家としても能力も、是非味方にいてほしい人物ね。」
「ま、サラとベンがそういうなら、俺たち民間人は口出ししないさ。」そうホウィが言うと、彼は同じく民間人である、オスカーの表情を確認しながらも、笑ってそういってのけた。
「私を含めこの5人で、Missionを遂行したいと思う。」
全員が大きくうなずいて見せた。
そして新しいMissionがスタートした。
新エネルギー鉱石3Xの開発と、それを狙う謎の男たちの陰謀とは?
国王を拉致しようとする彼らの目的とは・・・・。
アンドレの思いが、家族や愛を知らないサラの心を揺らし始めたのもここからだった・・・。
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