Only you
「大君……?」
恐る恐る呼び掛けてみた。
すると、こちらの緊張が馬鹿みたいに思える程、振り向きもせず、あっさりと返事返ってきた。
「明美か」
「何してるの、こんな時間に」
「それはお前こそだろ」
「……そっか」
時刻は午前2時30分。ここは都会であるため、周りにはこんな時間でも人がたくさんいるバーがたくさんある。
しかし、今2人がいるのは、そんな中でも一倍寂しい雰囲気の店。
しかも、お客は2人の他誰もいない。
「大君に、会いたくなったの。でも、あんまり連絡取る事出来ないから。だから、街を歩いてたの。本当に大君に会えるとは思ってなかったけど」
「……そうか」
男はいつものように口数少なく返答する。
「大君は?」
女も慣れているらしく、特に気にせずまた質問する。
「俺はいつもこんな感じだ」
「ふーん。私ね、今日久しぶりに妹に会った。また、疲れたような表情してたわ」
「……」
「あの子、大丈夫かしら……。少し窶れたみたいだし」
「……お前は、いつもそいつの話をするな」
「そ、そうだった?ごめんね、大君」
「そしていつもすぐに謝る……だろ?」
その時、男はこの店に入ってから初めて笑った。
女は少し顔を赤くして、言った。
「もう、大君、私の事からかってるの?」
「そんな事はないつもりだが」
「でもね、うん、そうなの」
「何だ?」
「私、あの子の事すごく考えてる。大切なの、だった一人の妹だもの。まだ、危なっかしいのよね。当たり前だけど。普通なら、まだ学校に通ってるはずなのに……。もっとたくさん会って、志保を支えてあげたい」
話しながら、女は目に涙を浮かべていた。
今夜男に会いたくなったというのも、妹の事が気がかりだったせいだろう。
「ならば、もっと側に居てやればいい」
「だって!志保はずっと彼らに見張られてるのよ!……私だって、志保ほどじゃないけど、勝手な事は出来ない……」
女の手は震えていた。その震える手を伸ばし、男の手を掴んだ。
「大君……ごめんなさい、こんな事言って」
「いや、いい」
男はぶっきらぼうにそう言った後、やや躊躇ってから付け加えた。
「妹を守りたいのなら、強くなれ」
「え……?」
「お前は、いつだって妹を守りたいと言っているが、俺がその妹だったなら、今のようにはっきりしない態度の姉に守ってもらいたいとは思わないな」
「大君……」
「妹の前で、強がるな。良い格好をしようとするな。ありのままのお前を妹に見せてやれ。会える時間は短くても、そうする事でもっと近くにいることが出来るんじゃないのか?」
「大君……。私、」
女は、まだ少し涙の残った目で、男を見つめた。
男はほんの少しだけ視線をそらし、
「悪い、言い過ぎた」
ぶっきらぼうに謝った。
女はその男の言葉を聞くと、急いで涙をぬぐい、笑顔を作った。
「ううん、大君の言う通りね。私、志保の前では良い姉でなければならないと思っていたから。でも、うん、今度会うときは、大君が言ったみたいにしてみようかな。私、出来るよね、きっと」
「ああ、出来るだろう、お前なら。……それで、それでも、どうしても辛くなったら、今日のように俺を探せば良いさ」
男はそう言うと、財布からお札を取り出し、カウンターに置いた。
そして、もう一言も残すことなく、出口へと向かう。
女は、その背中に向かって思いを伝えた。
「ありがとう。今日、会えて本当に良かった」
男は一瞬肩をすくめるような仕草をして、今度こそ本当に店を出て行った。
女はその姿を確認すると、店の奥に引っ込んでいたバーテンを呼び、注文をした。
「ライ・ウイスキーお願いします。その後にシェリーも!」
お読みいただきありがとうございました。
これはずっと前に書きかけてた話を急遽完成させたものです。
私は基本は秀ジョ派何ですけど、何かむしょうにこの話が書きたくなったんですよね笑
えっと……色々と矛盾している点もあると思いますが、許していただけると幸いです。。。
後、未成年の私はお酒の事は全く分からないので……汗
とりあえずおコードネーム出したかっただけです。
ご、ごごご、ごめんなさい↓↓
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