すいません。
たまたま思い付いた妄想の産物です。
適当に読み流してくれださい。
多少のキャラの性格改変と、設定の変更(モード大公謀殺の時期など)があるので、そういうのが嫌いな人はスルーでお願いします。
もう一つ二次小説を連載しているので、そちらもよろしくお願いします。
プロローグ編
「ふわぁ、第七銀河帝国連合艦隊第七百六十五艦隊司令兼一級軍政統括官イチロー・タナカ少将より軍本部に定時連絡。作戦は、順調に進んでいる。五時間後の我が軍の勝利を祈られたし。以上!」
悠久の銀河とでも呼ぶべきであろうか?
漆黒の宇宙を、多くの宇宙船の集団がゆっくりと進んでいた。
いや、肉眼ではそう見えても、実はこの艦隊はかなりの高速で動いてる。
なぜなら、全ての艦が数十年前に開発されたばかりの、第七世代対消滅エンジンを積んだ最新鋭艦ばかりであったからだ。
数十年と聞くと随分と古い技術に聞こえるが、人類が地球から宇宙に出て既に二百万年、ほぼ銀河系全域に人類が足跡を残し、移住してしまった現在では、以前ほどの文明の発展は望めない状況となっていた。
なので、この第七世代対消滅エンジンは、いまだに最新鋭の技術であると目されていた。
それに、この技術はまだ銀河全域には浸透していなかった。
全銀河に人を送り開発した銀河共和国から、八つに分裂した国家群の中で、第七銀河帝国の軍事技術研究所が開発した物であったので、他の国はおろか同国の民間にもまだ流出していない技術であったからだ。
「タナカ司令、もうすぐ第二銀河共和国軍の艦隊と接触する予定です」
「わかった。陣形は、何で行こうかね?」
副官と思われる二十歳前後の女性士官の報告を受けて、タナカ司令と呼ばれた若者は、率いている艦隊の陣形を考え始める。
実は、この時代の戦争は、既に戦争としての形を失いつつあった。
『戦争は、人が死ぬので良くないと思います』
多分、昔であれば為政者に鼻でせせら笑われた意見だったであろうが、今では非常に現実味を帯びた重い言葉となっていたのだ。
何しろ、国の規模と軍の規模が大きくなり過ぎてしまったので、戦争で発生する被害が洒落にならないくらい大きくなっていたからだ。
惑星一個、恒星一個の消滅くらいなら、まだ可愛い方だ。
下手をすると、艦隊戦に巻き込まれて星系が一つ全滅という事も過去にあり、そのせいで戦争に勝っても、下手をすると軍の損害の回復や復興で大幅なアシが出るという事態に、遂に八つにまで減った国家の長達は、新しい綺麗な戦争の形を模索する事となっていた。
結果、指定フィールド内で無人艦隊を使った艦隊戦を行い、それに勝った国がその星系の支配権を貰うという、半ばチェスのような戦争が行われるようになっていたのだ。
そして、それに続いて軍人と言う職業についても大きな変化が訪れていた。
『人が死んで大変!』という物の他に、『こんなに家族に会えない商売は嫌!』というものも加わったからだ。
何しろ、広い宇宙を行ったり来たりなうえにほぼ単身赴任なので、惑星治安維持軍ならともかく、宇宙軍の人気はゼロどころかマイナスであった。
志願する人間は、よほどの変わり者と思われていたのだ。
その昔の宇宙開拓時代であれば、ロマンなどを抱いてという事もあるのであろうが、ここまで全銀河に人が行き渡るとそれは皆無と言えた。
むしろ、最近発見された別の銀河系への探査・移住の方に人気が集中しているあり様であった。
つまり、進化し過ぎて人類の衰退が始まっていたのだ。
人が少ないのに、維持しないといけない艦隊は沢山ある。
この事態に各国は頭を悩ませたが、答えは意外と早く見つかっていた。
戦争時にゲーム感覚の艦隊戦で優劣を決める事と、その艦隊は無人で動かすという結果である。
「なあ、フィアナ。相手は、誰なんだ?」
「オードリー中将ですね」
「何だ、またあの親父か」
第七百六十五艦隊を指揮するイチローは、過去に何回も戦った事のある、敵国のバーコード頭のオヤジの事を思い出していた。
政府間の仲が悪く、常に国境近くの星系を取り合っていて、更に同じ方面に配属されている。
つまりは、何度も戦った仲であったのだ。
「でも、また司令の勝ちでしょうけどね」
「いや、わからないよ」
「いえ。あの方は、基本的にアホですから」
この時代、頭の悪い人は存在したが、勉強のできない人は存在しなかった。
子供の頃に、必要な知識は全て睡眠学習で脳に直接叩き込まれるし、記憶が薄れないように、脳内にバックアップ機能を兼ねた大容量の生体記憶チップが埋め込まれるからだ。
つまりは、ヒラメキや機転などが優れた人物こそ、有能な人物という事になっていたのだ。
そして、オードリ中将は前者であると、イチローの副官と、こちらと向こうの軍本部も思っていた。
「なら、いっそ指揮官の交代をすればいいのに」
「人がいないそうですよ」
「どこに国も一緒だな」
イチロー・タナカは、今年二十歳の若造であった。
身長は百八十センチで、体重は六十八キロ。
昔の軍人とは違い、それほど大きいというわけでもない。
この時代の成人男性の平均身長より、少し高いくらいであった。
そして、その普通の彼が軍で将軍をしていて、勝利後に奪った星系を占領する軍政統括官をしているのには、大きなワケがあった。
『なあ、軍人って楽だぞ』
あれは、イチローが十六歳の時であった。
イチローが卒業後の進路(この時代の大学教育はここで終わり)を考えていると、なぜか軍人をしていて周りから変人扱いをされていた学校のOGに誘われて職場?見学に行き、何となしに内定?を貰って入隊。
入って一年もしない内に、大佐に昇進して小艦隊を任せられ、『どれほど人手不足なんだよ!』と思いつつも、戦闘で勝利を重ねたので二つ階級を上げた。
そんな感じであったのだ。
ちなみに、イチローに軍人になるように勧めたそのOGは、イチローの入隊と共に除隊していた。
何の事は無い。
『辞めたければ、替わりを連れて来い』という、軍のお偉いさんの言に従っただけなのだ。
おかげでイチローは、『どこのブラック企業だよ!』とか思いつつも、この仕事を続けていた。
元々両親を事故で失っていて、親戚との付き合いも薄く、友人もさほどいなかったので大して苦にならず、意外と適職であったのかもしれないと、最近では思うようにまでなっていた。
もっとも、イチローは自分の軍人としての能力は、並かそれよりほんのちょっと上だと思っていた。
目の前の親父がアホ過ぎて、自分が優秀に見えているだけだと思っていたのだ。
「何だ、また君か」
「それは、俺のセリフです。今度こそ勝ってくださいよ。でないと、俺は後方の故郷に戻れないんです」
「俺は今度で十六連敗だから、今度こそ後方で事務仕事とかだと思うんだよなぁ」
「そうですか? 別の方面に派遣なんじゃないですか?」
「それは、痛いなぁ。でも、勝ってもこのままだしなぁ」
指定された艦隊決戦専用のフィールド近くで、二人の司令官は緊張感の無い通信を続けていた。
無人艦隊を、一人で指揮して戦う。
これは、意外と孤独な任務であった。
更に、あまりに首都のある惑星と離れ過ぎている影響からなのか、軍本部からは大まかな命令だけで放置され、負けても特にペナルティーも無い。
なぜなら、責任を負わせるとそれに乗して辞表を出そうとする輩が現れるからだ。
つまりは、下手をすると、またこの親父と戦う可能性があるという事であった。
「そもそも、君の前の司令官が弱過ぎる。共和国で一番と謳われる愚将である私に負けるなんて!」
「自分で言いますかね? じゃあ、何で軍人に?」
「間違えて、親の借金を相続してしまった。ああ、あの時に欲をかかないで財産放棄していれば……」
こんなバーコード親父であったが、以前はこの宙域で連勝の鬼将軍とまで呼ばれていた人物であった。
ちなみに、イチローの前任者は先のOG氏であったらしい。
多分、彼はあまりの負けっぷりに、自分の才能の無さを嘆いての転職であったのであろう。
巻き込まれたイチローは災難であったが……。
「じゃあ、始めますか」
双方の合図で、二つの艦隊は激しい撃ち合いを始める。
だが、基本はゲームが豪華になっただけなので、最初ほどの感動は既に消え失せていた。
「オードリー中将、本国に増援要請くらいしなよ。俺なんて、使いたくも無い新型機関搭載の軍艦を使っているんだからさ」
「間に合わなかったんだよ。第二次の増援が」
「しまったなぁ。それを待てば良かったよ」
イチローに、最新鋭機関を搭載した軍艦だけで編成された艦隊を率いている誇りなどは一切存在しなかった。
いや、断言しよう。
軍内部に、そんな奴は一人もいないと。
新型機関は、研究くらいして予算を使っておかないと次年度の予算規模がと考えた連中の、無駄遣いの産物でしか無かったからだ。
人間、誇りだけでは飯は食えないのであった。
そして、半日ほど続いた艦隊戦は、イチローの勝利に終わっていた。
相手は、戦闘艦は全て行動不能。
なまじ全部無人艦隊なので、最後まで戦い続けるからだ。
後方に置いてある補給艦、工作艦、高速輸送艦、給糧艦などは降伏して全て拿捕。
司令官の乗っている旗艦は、形だけ悔しそうなセリフを吐きながら後方に退避する。
いや、本星の軍本部か、一番近い軍管制区内にある拠点に逃げ込む。
そういう事になっていたのだ。
「また、負けたなぁ。これで十七連敗」
「前任者の失態を、ようやく半分回復かぁ」
イチローの先輩は、とにかく無能な軍人であったらしい。
三十五連敗して、それと同じ数の星系を奪われている。
だが、全銀河レベルの話なので、それなりの惑星なら有人化プロジェクトで人が住めるようになっている現在、第七銀河帝国が領有している二万個もある有人星系の内の四十六個を取られたとて、それは誤差の範囲でしか無かった。
むしろ、他の方面軍が優秀で、最近は支配星系が増えている状態であったのだ。
「じゃあ、俺は帰るから。後始末は宜しくね」
負けると全てを置いて逃げられるが、勝つと事後処理が面倒くさい。
軍人は、勝たず負けず。
なるべく何もしないで済むのが吉。
これが、イチローのいる時代の軍隊と軍人のルールであった。
「艦隊の損害は十七%ですが、修理・再生可能です。それと、活動を停止した敵艦隊の修理と戦力化をドッグ艦と工作艦に命じておきます」
「それで、それを加えてしまうと、我が艦隊は?」
「戦艦十八隻、空母十二隻、巡洋艦三十四隻、駆逐艦・護衛艦百六十七隻、その他雑多な艦艇四百五十七隻です」
「うわぁ、少し後方に、いや出来れば半分送り出そうか?」
艦隊に多数の艦があると、負けて後方に行く機会が無くなると考えたイチローは、過剰な艦艇を後方に送り出そうと考える。
だが、それは無駄な足掻きでしか無かった。
「いえ、軍本部からは、『現状の戦力を維持し、更なる戦果を期待する』だそうです」
「絶対に嘘だな。単に面倒くさいからだ」
この時代の宇宙艦隊の特徴としては、第一に人が司令官しかいなかった。
実は、イチローに報告をしている副官のフィアナは、所謂アンドロイドという物であった。
だが、ぶっちゃけると、能力はイチローよりも上であろう。
『なら、戦争なんてアンドロイドに任せちゃえよ』という話になるのだが、アンドロイドはたまに暴走する事があるらしい。
その確率は、天文学的数字らしいのだが、以前にそういう事が一回だけあったので、『一人くらいは人間を置きましょう』という決まりになっていたのだ。
ところが、これには裏があって、もしフィアナに反乱を起こされても、イチローに彼女?を止める力など絶対に無かった。
それと世の中には、『履歴書は手書きで!』といまだにのたまうようなノスタルジック親父という生き物が存在していて、『軍は人間で運用する!』と言う政府の偉いさんがいるとの事であった。
「修理と補給が完了しました」
「ごくろうさん」
その後、半日かけてイチローは指揮下の艦隊を修理し、破った敵の艦隊と物資の大半を鹵獲整理する事に成功していた。
何しろ、広大な範囲で戦争を行っているので、宇宙艦隊は独立採算制というか自前で動く事が要求されていて、そのために機関の付いたドッグ艦や工作艦、無人工場や農場を有する給糧艦などを有していた。
勝つと、奪った敵艦や残骸や物資で全てを補うのだが、これはかなり慎重に行わないといけない。
なぜなら、下手に戦場にデブリなどを残すと、あとでその星系の方から苦情が入ってくるからだ。
支配者の軍がそこまで弱気なのも考え物だが、この時代の軍人の立場などそんな物であったし、自身を究極のサラリーマン軍人だと思っているイチローは、特に気にした事も無い。
それに、そうは言っても、各種作業は工作ロボットやらアンドロイドが行っていて、その統括もフィアナが行うので、イチローはただ命令するだけで良かった。
そして、負けると後方に退いて新しい戦力を貰って復帰する。
実は、負けた方が休みが多くなって、仕事量は少なくて済むという奇妙な現象が発生するのが、この時代の軍人の特徴であった。
「じゃあ、作業はそのまま続行で」
「わかりました。それと、占領するダールト星系の首相閣下から通信です」
旗艦ブリッジの巨大スクリーンには、大きくダールト星系の首相が映し出されていた。
「おや、随分と若い少将だね」
「新卒だから、エリートらしいですよ」
『本当は、人手不足だからです』という言葉を懸命に飲み込むイチローであった。
「なるほど、それに連勝中らしいな」
これから敵軍に占領させるというのに、星系の首相である中年男性は暢気そのものであった。
「それでは、二年ぶりに第七帝国の支配下に入るので、法令などの細々とした変更点を間違えないでくださいね」
「税金は、下がらないのかね?」
「下がりませんよ」
話は、これだけであった。
特に占領軍などは送らないのだ。
本星から人員を送るのも面倒くさいし、ここはまた敵国の支配下に入るかもしれない。
ならば、中央政府への上納金さえちゃんと来ればそれでオーケーというルールになっていて、実は一級軍政統括などほとんど意味が無かったのだ。
「ああ、首相閣下」
「何かね?」
「明日は、お休みでそちらに降りるかもしれません」
「そうか。では、良い休日を」
またそれだけであった。
そしてその事にイチローも疑問を感じていないし、首相も失礼だと思っていない。
彼らにとって所属する国家が変わる事などは、近所のスーパーの特売以下の出来事であったからだ。
だから、イチローは普通にその星に降りて休日を楽しむのだ。
細々とした買い物をして、美味しい物を食べに行って、ナンパは……、あまり上手く行った試しがなかった。
「司令、緊急電です」
「そうか」
首相との会話を終えたイチローは、フィアナから緊急電の報告を受けるが、特に慌てた様子は無かった。
今日の日付を考えると、アレしか存在しなかったからだ。
「給料明細ね」
「昇給とかってするんですか?」
「するよ。年度始めに雀の涙程度」
フィアナに答えながら届いた明細を見たイチローは、溜息を付いていた。
総額265,567宇宙円で、手取りは二十万ちょっと。
同年代よりは少し多いし、最低限の衣食住が無料なので悪くはないが、とにかく暇だし、友人や彼女に会える事は滅多に無い。
なので、軍の仕事はとにかく不人気であった。
「少なくとも、これだけは言えるな。今までの歴史で、こんなに安月給の将軍様はいないって事だな」
イチローは、旗艦ヤマトのブリッジで、再び盛大に溜息を付くのであった。
「では、次の星系に進撃します」
「俺達のやっている事って、意味があるのかね?」
「さあ? 軍人は、命令に従わないといけませんし」
それから三日後、事後処理と休暇を終えたイチローは、艦隊を率いて次の攻略目標へと進撃を開始していた。
「次は、アルナイル星系か……」
「はい。っ! 大変です! 前方に巨大な次元流の渦を発見!」
「ブラックホールじゃないんでしょう? なら……」
「エネルギー値が尋常ではありません! 駄目です! 次第に引き寄せられています! 逃げられません!」
それから数分後、イチローの艦隊は次元流に飲み込まれて行方不明となり、第七帝国軍は数年ぶりに殉職者を出す事となったのであった。
むろん、それは公式的にではあったのだが。
「うーーーん。どうやら、生きているらしいな」
あれから、どれくらいの時間が経ったのかは不明であったが、目を覚ましたイチローは、同じく倒れていたフィアナを起こすと、現状の確認を命令する。
「次元流は、過ぎ去ったというか消えたらしいですね」
「艦隊に損害は出たのかな?」
「確認します」
フィアナは、他の無人艦に次々に連絡を入れ始める。
「統括旗艦ヤマト以下の艦隊に、損害なしですね」
「そりゃあ、良かった」
何しろ、次元流の影響でどこにいるのかが不明だったので、戦力というか物資は多いに越した事は無かったのだ。
「ですが、ここがどこなのかは不明ですね。今、銀河系の全てのマップと照合しています」
フィアナは、艦内の第二十六世代型コンピューター《神武》を使って、現在地の確認作業を始める。
「出ませんねぇ……」
ところが、コンピューターはなかなか答えが出せないようであった。
「十分も調べてか。ところで、この近辺に有人惑星はありそうか?」
「ええと、あっ! ありますね。地球に良く似た星が」
人類生誕の地である地球は、今では聖地扱いされていて居住禁止になっていたが、地球の映像を見た事の無い人は存在しなかった。
「ですが、月が二つあるみたいですね」
「うーーーん、アルデバラン星系の惑星プジョルに似てないか?」
「いえ、大陸と海の比率に大きな違いがあります。全くの別物です」
「有人なのかな?」
「すぐに、軌道上に衛星を射出しますので」
いきなり次元流で飛ばされたイチローは、すぐに近くの惑星の調査を開始するのだが、その時はまだ別世界に飛ばされた事など知る由も無かったのであった。
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