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聖女様になんて、渡しません!

作者:さくらぶし
ただただいちゃらぶが書きたかった!それだけ!ストーリー?そんなのいちゃらぶの前には必要ない!(オイ)なのにいちゃらぶにならない!NAZEDA!
 目を覚ましてはたっと思い出す。
 あれ?この世界って、乙女ゲームじゃなかったでしたっけ。

***********

 わたし、メイリンです。この世界で貴族夫人やってます。今、たった今前世の記憶を思い出しました。と言ってもどんな風に生きていたかとかではなく、この世界の元である乙女ゲームを一生懸命プレイしてたことしか思い出してませんが。

 そうです。ここ、乙女ゲームの中なんです。なぜわかるかって、わたしがヒロインとかそんなんではなく、攻略対象の奥さんだからです。

 この乙女ゲーム、『聖女様は甘く愛されて』は、ファンタジー要素がありつつも年齢層は二十代をターゲットにした、ちょっと大人向けのゲームだったんです。

*・*・*・*・*・*・*

 時は中世ヨーロッパに似た魔術がある世界。突然の飢饉が世界を襲い、人々の心が荒んで犯罪が横行していくなか、一人の占い(まじないし)が希望の光を示した。

『異世界から聖女を召還せよ。さすれば道は開かれん』と。

 その言葉を受け取った一国の王は、世界から名だたる魔術師や司祭を呼びよせ、異世界人召還を行った。そしてそこに現れたのが、日本の女子大生だった―――

*・*・*・*・*・*・*

 なぜ女子高生じゃないかですか?そんなのわたしは知りません!問題はそこではなくて、攻略対象なのです!

 攻略対象は全部で6人。
 喚び寄せた国の王子さまと、その部下の宰相さま。護衛に当たる騎士団長さまと、その上司の将軍さま。召還を行った張本人の魔術師さまと聖堂を管理する司祭さまです。隠れキャラとして占い師さまもおりますが、そんなことはどうでもいいのです。だって、

 騎士団長はわたしの旦那さまなんですからっ!!

 ポイントはここなのです!どの攻略対象にも越えるべき高い壁があるのです。それはわたしのように奥さんが既に居たり、恋愛ご法度の職だったり、年齢差だったり。それを乗り越え、真実の愛を手にいれると世界は救われるのです。そこからの甘々展開がちょっと大人仕様で、R15指定がかかってました。もっと上に設定すべきだったとわたしは思いますが。
 ちなみに将軍はわたしの父だったりします。つ・ま・り!わたしは騎士団長ルートと将軍ルートの"壁"なのです!

 イヤですイヤです!ガイラーさま(わたしの旦那さま)と別れるなんてイヤです!絶対無理です!だってだって、ガイラーさまのこと大好きなんですもの!
 確かにわたしとガイラーさまの結婚はゲーム通りの政略結婚です。ガイラーさまが将軍になるには仕方のない結婚(こと)だったのです。でも!わたしはガイラーさまを愛しているし、ガイラーさまだってそれなりに情は感じているはずです。…自信はありませんが。
 どうしましょう。この世界はゲーム通りに聖女様を喚ぶ準備を着々と進めているようです。ガイラーさまも、お父様も常になく忙しそうにしております。彼女が来るのも時間の問題でしょう。もし、聖女様がガイラーさまを選んでしまったら……ガイラーさまもその気持ちに応えてしまったら……わたし、耐えられそうにありません。もう既に泣きそうです。こうなったら、

 今からでもガイラーさまとの愛を深めようではありませんか!

 うん!そうしましょう!見ててくださいガイラーさま!今に貴方をメロメロにしてみせます!!


***********

 早朝。
 ガイラーさまが起き出せばわたしも倣って起きます。貴族だからと言って遅く起きることはしません。だってガイラーさまと一分一秒でも長く一緒にいたいんですもん!

「メイリン、おはよう」
「おはようございます、ガイラーさま。あ、……んん、んぅ。」

 朝の目覚めに口付けは忘れません。昨夜の情事を彷彿とさせる口付けはいつまで経っても恥ずかしいですが、嬉しくもあります。いくら政略結婚でも、ちゃんと妻だと認めてくれてるのに他ならないですから。

「ん、ん……ぁ、だめ、です、ガイラーさま。モーリーが、ぁん!きてしま…ちゅ、いますわ……」
「私と口を合わせているのに、他の男の名前を呼ぶな。」
「ぅん、でも……ん、ん、ちゅ。」

 たまにいきすぎて、そのままベッドに沈みそうになることもありますが、そこは家令のモーリーが諌めてくれます。世の奥様方は毎朝これをやってるなんて、体力ありますねぇ。


 朝食は二人揃って食べます。夫婦別で食べるなんて、家のものに『不仲』だと思われてしまうそうです。ちゃんと仲が良いと思わせないと、社交界でどんな噂話をされるかわかったもんじゃありませんからね。どこにいても"らぶらぶ"なのをアピールしとかないとです。

「ガイラーさま、あーん。」
「ん。……美味いな。メイリンから食べさせてもらうとさらに美味くなる。ほら、メイリンも。」
「わたしは大丈夫ですから、ガイラーさまが召し上がらないと。」
「何を言ってる。昨日もたくさん動いたんだ。ちゃんと栄養を付けないともたないぞ?」
「ぁっ!もう!ガイラーさまってば、そんなところ、触ってはいけません!」
「ククッ。そんな可愛らしい声を出すな。……仕事に行きたくなくなる。」

 ??結婚前は仕事一筋と言われてきた方なのに、そんなことあるんでしょうか?あぁ!リップサービスというものですね!それでも嬉しいです。がんばってそう思ってもらえるようになりますからね!

「…………ガイラーさま、お時間が迫っております。どうぞお早めに。」
「分かってる。はぁ…もう行かなくてはな。メイリン、見送りしてくれるか?」

 もちろんです!


 お見送りは絶対です。どんなに腰が痛くても、どんなに足腰が立たなくても、メイドに支えてもらわなくちゃいけなくてもこれだけは譲れません!これは妻の特権階級なのですから!

「じゃあ行ってくる。帰りはいつも通りだろう。いい子で待ってるんだぞ。」
「ガイラーさま、わたしは子どもじゃありません!ちゃんと家の留守ぐらい守れます!」
「子どもじゃないさ。子どもにはこんなことしないからな。」
「ぁ、……んん、んちゅ、んふ……、んむぅ。ぅん……」
「ん……。ふ、どうした。今日は積極的だな。いつもはもっと恥ずかしがるのに。」
「ぁ……ダメですか?こんな女は嫌いですか?はしたないですか?」
「いや、もっとして欲しいぐらいだ。もっと俺に酔え……ん。」

 あ、ガイラーさま、今『俺』って。夜の閨でしか言わないのに……。

 散々お互いの口を探りあったあと、モーリーの咳払いでようやくここが玄関先だと思い出したわたしは羞恥で死ねるかと思いました。ガイラーさまは満足気にお仕事に行かれましたが。多分、『政略結婚でも仲良いですよー』って示せたからわたしの判断は間違ってなかったのでしょう。


 お昼。
 暇です。特に今日はお茶会などの予定もなく、伯爵夫人としての仕事もなく(ガイラーさまは伯爵位も持っているのです!)、手持ちぶさたなのです。よし!ガイラーさまメロメロ作戦を練りましょう!まずはメイドたちに聴き込みからですね!

「旦那さまをメロメロに、ですか?もう必要ないんじゃありませんか?」
「十分奥様にメロメロだと思いますけど。むしろ抑えて欲しいぐらいです。」
「旦那さまの愛情はこう言ってはなんですが、異常ですよ?奥様、よく耐えられますね。」

 惨・敗です……。
 そうでした。メイドさんたちに聞いても意味がありませんでした。仲の良い夫婦を演じてるんですから……。でも収穫はありました!最近入ってきたメイド曰く、
『もしかして刺激を求めてるんですか?なら、嫉妬させればいいと思います!きっと燃え上がりますよ~!』
とのことです!
 嫉妬って、ガイラーさまがしてくれるかどうか分かりませんが、確かにどのくらいわたしに情が湧いてるか確かめる手立てにもなりますね!でももし全然だったら……どうしましょう……。す、少しだけにしましょう。うん。ちょっと他の男性とお話するだけでいいでしょうか。もし反応がなかったらダンスもして。それでもなかったら諦めましょう。ガイラーさま以外に触れるのもイヤですし、愛想が尽きてしまっては元も子もありませんし。名付けて『嫉妬で愛情を測ろう大作戦』です!決戦は今度の王子の誕生パーティですね!それまでに少しはガイラーさまをメロメロにしとなかいと!がんばれわたし!です!



 メイリンは知らない。ガイラーが端っから政略結婚じゃなくて"囲いこみ"結婚のつもりだったと。愛情をぶつけられすぎて周りのものから可哀想な目で見られてることを。嫉妬作戦なんてものをやらない方が身のためだということを。その作戦は最初の段階で効果を示し、そこから3日間は解放してもらえないことを。なーんにも知らないメイリンは、今日もせっせとガイラーの愛に埋もれている。
「……団長。その緩みきった顔、なんとかしてください。」
「無理だな。今日はいつにも増してメイリンが可愛くてな。さっさと終わらせて帰るぞ。メイリンを可愛がってやらなくては。」
「奥様が可愛いのは分かりますが、仕事に私情をはさ」
「お前に分かってたまるか。来い。鍛え直してやろう。」
「いえそういう意味じゃ…ちょっと!剣を取らないで下さいよ!仕事してって、終わってるぅぅぅ!?」

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