悪魔の事情
「ハァ〜、完全に遅刻だな」
諦めたのかドカッと隣の椅子に腰かける
「ご、ゴメンなさい」
「いいって気にすんな、まぁ一時間目には間に合うように行くべ」
時計の針が動いて行く
(ハァ〜、初日から大変なことばかりだなぁ〜)
そう思いふいに横に座る彼の顔を見る
(昨日と今日だと別人みたいだなぁ、怖いだけの人かと思ったけど………)
「ん?なんか忘れてねーか?」
(怖いけどこの人本当は優しいんだ……)
「ん〜ん?何だっけ?」
怪我をした所を見る
(誰かに手当てして貰ったの初めて………それに、なんだかさっきから胸がドキドキする………あ!これが……こ……)
「そうだ!!テメェのことだ!!」
ガタン!!
座っていた椅子から立ち上がり物凄い形相で私を見ていた
「はわあ!!」
驚いて椅子ごとひっくり返る
「お前がなぜここに居やがる!?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………あれ!?話してないっけ?」
「話してねぇよ!!」
目の前に座る悪魔の話しは微妙だった
「本来、人間は体に1つの魂しか宿してはいけないのだけど、ごく希に2つ宿してしまう人がいるの、どうしてそうなるかは未だに解明されてないのです」
「はぁ〜」
「2つの魂を宿した人間は天国と地獄に大きな災いをもたらすと言伝えられているのです」
「ほぉ〜」
「で、て……真面目に聞いてよ!!」
聞いてましたよ
ただ話がぶっ飛びすぎて解らん
「ソコで魂を貰う替わりに
この四級悪魔のレイミ様自らが下等な人間の住む地に降りて来てやって、人間の願い事を1つ叶えてやって魂を貰うわけなの!!」
バシッと座っていた椅子に仁王立ちして
見下すように言った
「ほ〜ぉ、テメェは学習能力が相当無いようだな、あぁ?」
出てる釘は打たないとな、これ常識
「………グス、ごめんなさい(涙)」
「………ズキ」
打ちすぎにも注意しよう
「それで、魂を1つ渡せばお前は帰ってくれるのか?」
「うん、帰るよ」
「じゃぁとっとと持って行け」
「え?でも魂を引き剥がすと死ぬよ」
「…………………………………聞いてねぇぞ」
「………………言ってないもん」
ブチッッッッ!!!
パコン
「痛い!!な、何で叩くの!?」
目元を涙で濡らし猛抗議してきた
「………今のは叩くだろ、かなり大事な部分をすっとばしたテメェが悪い」
「で、でもぉ叩かなくてもいいじゃん!?」
その後もギャーギャー喚くのがかなりウザかった
「んで本題に戻してもいいか?その魂を引き剥がすのを断った場合はどうなる?」
「え!?断るの?」
俺の一言にかなり驚いたらしく
ポッケから何やら本を取り出した、
それを開き読み始めた
「う〜んと……目次、目次、え〜とねぇ214ページ」
何やら部厚い本を取り出しページをめくる
(ん?今コイツどっから本出した?)
そして机に座り直し本を立てて読んでいる背表紙には
“悪魔の初めての仕事・初級”
御丁寧にフリガナまで書かれている、しかもなぜ日本語?
色々突っ込みたいところだ
「あったあった、え〜と……魂を取れない場合は行動を共にし、奪い取ってください。……ね♪」
眼を輝かせ宝物を見せる子供のようにそのページの一文を指差す
「だから、しばらく私はココに住まないといけないのです♪」
なぜ?そうなるのかわからんが
「…………」
「よろしくね♪」
コイツが家族の一員になるのは決定事項のようだ
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