とある私立探偵の事件簿・ファイル2 〜スポーツ新聞記者浮気事件〜(1/4)PDFで表示縦書き表示RDF


とある私立探偵の事件簿・ファイル2 〜スポーツ新聞記者浮気事件〜
作:リート



パート1 チャレンジしてみる


 探偵。
 それは別に殺人事件に巻き込まれてそれを解決する職業ではない。
 どちらかと言うと、人を探したり調査したりと言うのが主な仕事であって。
 
   *
 
「いやぁ、今日も忙しい。なぁ?」
 ゲンさんはテレビを眺め、せんべいをかじりながらそう呟く。
「忙しいですねぇ……」
 私は読書に夢中になりながら、うわの空で返事を返す。
「あれだよな、こう忙しいとストレスで死にそうになるよな」
 お茶をずずっとすすり、ふぅっと息を吐きながら窓の外を眺めるゲンさん。
「ストレス、怖いですよねぇ」
 私はせんべいに手を伸ばしながら、いい加減な相槌を打つ。
 
 ゲンさんはスポーツ新聞に手を伸ばしている。
「あれだぞ、ストレス溜めると病気になったりするらしいぞ」
「らしいですね。私は成人病のほうが怖いですけどねぇ〜」
 欠伸をしながら、私も別のスポーツ新聞に手を伸ばしてみる。
「おいおい、おっさんみたいな事を言うな。まだ若いだろうが」
 スポーツ新聞をパラリとめくっているゲンさん。
「あらお世辞。財布がピンチなら晩御飯おごりますけど?」
 パラリとスポーツ新聞をめくる。
 目に飛び込んできたのは、その新聞の特別企画とやらで、もう一つのスポーツ新聞の女性記者と、ラブホテルを特集するというもの。
「お、うれしい申し出。今日は久々のご馳走だな」
 スポーツ新聞越しに、目を輝かしながらこっちを覗き見るゲンさん。
「ご馳走っていうか、ファーストフードですけどね。マクド的なあれです」
「マクド? ……ああ、マックの事か」
「いえ、マクドです。マックはパソコンです」
 特集といっても単に女性記者とラブホテルに行って、その内装をいろいろと紹介するだけ。ちなみに週一の全四回シリーズらしい。
「いや。ファーストフードの方もマックが正式な略称だろ」
「国際的にはマクドが主流らしいですよ」
「そーなのか?」
「テレビかなんかで聞いただけなんですけどね〜」
 
 ……。
 まあ、その。今日は暇なのです。それも、かなり。
 
   *
 
 なんて延々と雑談をしながら暇を潰すのも探偵の仕事ではなく。
 
 当然というか、私の地道な宣伝活動のおかげというか、ゲンさんのコネのおかげというか、とにかく、依頼人は今日もやってくる。
 そして今回の依頼なのですが。
「こちらが夫の和彦です」
 今回の依頼主は裏原美和子(本人の強い要望により仮名)さん、四十一歳。
 そしてその美和子さんが置いたのは、一人の男性が写った写真。
「浮気調査……と、いう事になるのでしょうか。その……調査していただきたいのです」
 美和子さんはどこか戸惑った様子。おそらく、こういう所に来るのは初めてだと思われる。
「この方の素性調査、と言う事ですね?」
「……はい」
 不安げに言って溜息を吐き、一口お茶を飲む美和子さん。
 ちなみにお茶はゲンさんが入れてくれたもので、いつも通りにおいしく入ってます。
「では、詳しい話を聞かせてください」
 私はにっこり微笑み、話を促した。
 
   *
 
 話を要約すると、こうなる。
 一昨日の晩、スポーツ新聞の記者である夫の和彦さんが、見知らぬ女性とラブホテルから出てくるところを、美和子さんの友達の女性が見かけたらしい。
 ほぼ黒の状況だが、和彦さんには話を聞けずにいるらしく、悩みに悩んだ末に探偵に調査依頼に来たらしい。
 ちなみに最後の美和子さんの台詞が妙に印象的で。
「私は、夫を信じたいんです。……夫が、浮気をしていないと、私に信じさせてください」
 
   *
 
 終始落ち着かない様子だった美和子さんは、そわそわした様子のまま帰っていった。 
「えっと。つまりは浮気調査……だよな?」
「ええ、一応は」
 ゲンさんの戸惑いもなんとなく分かる。普通は、相手の浮気の証拠を探し出してくれと頼まれるものなのに、今回は逆に浮気していない証拠を探さないといけないのだ。
「んー。ダンナを何日か尾行して、浮気してたら黒、してなかったら白……ってことか」
「そうね。……ゲンさん、調査をお願いしていい?」
「おう、尾行なら元専門家に任せとけ!」












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