とある本屋のちむ叫び(24/30)PDFで表示縦書き表示RDF


とある本屋のちむ叫び
作:鮎坂カズヤ



古式ゆかしき美しき。


 
 皆さんは川柳などは詠まれますか?

 日本のわびさび、移りゆく季節の情景、短い言葉に秘められた思いの深さ。

 詠んでいるうちに景色や作者の気持ちなどが浮かんできます。

 その言葉の深さに気付いた時、また違う味わいや感動も感じられます。

 古式ゆかしき美しい日本文化の一つです。

 さて、そんな川柳ですが、実はとある出版社さんの企画で「本屋さん川柳」というものがあるんです。

 ベレー帽と犬の波平さんがトレードマークの版元さん、ベレ出版さんの企画です。

 毎月ベレ出版さんからはベレ通信なる新刊の案内、ちょっとしたコラム、波平さんの様子など。

 そういった情報物が送られてきます。

 その中に各書店さんから募集を募った企画で「本屋さん川柳」というものがあるんです。

 本屋さんなら思わず納得、共感、爆笑してしまう川柳の数々。

 そのうちのいくつかをこの場に載せてみたいと思います。



 並んでる

   間に財布

     出しといて


  (神奈川/女性)



 本屋さんに限らず、レジ業務の経験がある方なら皆が一度は思ったはずです。

 後ろに結構列が出来てきてるのに、なんでおば様はあそこまで余裕を持ってるんでしょうか?

 万札出しといてさらに小銭までちまちま出しているのを見るとワジワジ〜します。

 この川柳を詠んで私も一句出来ました。



 袋詰め

   してる間に

     金しまえ


 (沖縄/鮎坂カズヤ)



 いや〜、お釣りをサイフにしまう作業にちまちま手間取ってるのを見てるとたまにブン殴りたくなりますね♪



 棚整理

   してるそばから

      棚荒れる


 (滋賀/女性)



 主に児童書コーナーのことを詠った川柳です。

 きれいに整理した矢先に児童書に群がるお子様たち。

 その後に残るのは、整理する前、もしくはそれ以上に荒れ果てた児童書だった本たち。

 時代の移り変わり、繰り返す歴史のはかなさまで感じる一句となっております。

 イッツ・わびさび。

 詠んでいるうちに、また一句できました。



 頼むから

   お願いだから

     お子様よ

 あった所に

   戻すだけでも…


 (沖縄/鮎坂カズヤ)



 最後の『 … 』にかなりの気持ちを込めてます。



「ほら、アレよ」

  とてもじゃないけど

      分かりません


 (岩手/女性)



 主におば様の得意技のことを詠った川柳です。

 アレで何でも通じるおば様たち。

 アレと言えば通じると思い込んでるおば様たち。

 あなたのアレは私のアレではありません。……書いてる本人も意味わかりません。

 アレで全てが通じるのなら、言葉もなく心が通い合える素晴らしい世の中なんでしょう。

 しかし、残念ながら人は他人の気持ちを完全に汲み取ることは出来ません。

 思いを伝えるには言葉を使わなければならない場面がほとんどです。

 そんな世の中における「言葉」の大切さを切々と訴える至上の一句となっております。

 さて、ここでも一句。



 アレですか?

   先月出てた

     アレですか?


 (沖縄/鮎坂カズヤ)



 アレ返しです。大抵の場合「そうそう!」と言われます。

 でも案内するとやっぱり違う商品みたいです。

 どんなアレなのか、ちゃんとアレしてほしいです。



 いかがでしたでしょうか、本屋さん川柳。

 ベレ通信に掲載されていた川柳はこの他にも100ほどありました。

 どれも本屋さんの心と涙腺をゆさぶる素晴らしい作品となっております。

 また次回「本屋さん川柳」が開催された時は追ってこの場にてお知らせしたいと思います。

 波平さんがどんな犬なのか気になった方も、一度ベレ出版のHPをのぞいてみてはいかがでしょうか?



 以上、ベレ出版企画、本屋さん川柳のお話でした〜

 












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