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この物語はフィクションです、実際の国家、団体、個人、出来事とは一切関係がありません。
ひよこの艦長さん
作:木村昌福



第一話 極秘出頭命令


第一話 極秘出頭命令


[発、連合艦隊司令長官山本五十六 宛、第六艦隊司令長官清水光美
 本文 第6艦隊第1潜水戦隊所属小鳥雛光海軍少佐を、十月一日までに連合艦隊司令部へ出頭させるべし。なお本件は極秘とする。昭和十五年九月二十日]

昭和15年9月20日早朝、第六艦隊伊第一五号潜水艦長小鳥雛光海軍少佐(17歳)は、
第6艦隊司令長官の清水光美中将に呼び出された。
〜第6艦隊司令部2階長官室〜
 コンコン
「小鳥中佐入ります。」
「よろしい、入れ。」
「清水長官、なにか御用でしょうか。」
「小鳥君、君は軍人かい?」
「は?・・・はい、確かに私は大日本帝国海軍軍人ですが、そのような分かりきった事をなぜいまさら質問されるのですか?」
「いや、何でもない、しかし軍人ならば上官の命令は絶対だな?」
「はい」
「よろしい、では本日付けで君を伊第一五号潜水艦長から解任する。」
 一瞬、何を言われたか雛光には分からなかった、しかしぼんやりとしているのも数秒の事で、すぐに全身から血の気が引いていった。
(なぜだ?なぜ解任されなければいけない?何か俺に落ち度があったか、それとも部下が・・・いや、俺の部下が艦長が解任されるような事をやらかすはずがない・・・)
そう、彼の艦・・・伊第一五号潜水艦は海軍内でも規律の取れた艦として有名で、その艦長も、17歳にして少佐、潜水艦長を務める日本海軍始まって以来の天才として有名だった。
さて、ここで少し話をズラして彼、小鳥雛光ことりひなみつ少佐を紹介しよう。
大正13年元水戸藩次席家老の家に生まれる、小鳥家は維新後に藩主徳川昭武より賜った三千円で商いを始め、徐々に徐々に業績を上げていき、雛光が生まれる頃には日本でも有数な財閥になっていた。その小鳥家に生まれた雛光は、背が小さく顔も百人中百人が「可愛い女の子だ」と断言するような女顔で、(本人はこれらにコンプレックスを抱いている、ちなみに一人いる妹よりも可愛い)12歳の時けっこう近い親戚が正月の挨拶に来た時などは「女子の養子を貰ったのか」と言われるほどだった。学問のほうも神童と呼ばれるほどであり、尋常小学校卒業時には高等学校で教鞭をとれるのではないかなどといわれた。そんな彼はいつの頃からか海に強い憧れを抱くようになり、それが彼を海軍軍人への道へと導く。
しかし、ある日ひょんなことかあら将来の話になり、海軍軍人になりたいと家族に言うと猛反対された。
理由は第一にまぁある意味当たり前ではあるのだが、親として心配だという事である。
第二には小鳥財閥の跡取りの問題である、雛光本人は親類縁者から選んで継がせればよいといったのだが、そこは元武士の家、「廃嫡もしていないのにそんなことできるか!」と怒られてしまった。そこで雛光は13歳の時中学校から抜け出して、前々から用意して隠してあった荷物を持ち、海軍兵学校の在る広島県は江田島に一人で行ってしまったのである。しかしいかに神童といえども年齢制限には逆らえない採用年齢は16歳からだった、悩みに悩みぬいた末、とうとう東京に帰ろうと思い電話をしたところ、父の雛義ひなよしが「手続きは私からしておいた、立派になるまで帰ってくるんじゃないぞ」と言い、父の親心に感謝しつつ最年少で海兵に入学したのである、海兵に入学した雛光を待っていたのは他の生徒の好奇の目と潜水艦の魅力であった、やはり幼く女顔というのは男所帯には奇異なものでありまた貴重な目の肥やしなのだ。
そんなこんなで優しい《厳しい》先輩方の後輩への教育《憂さ晴らし》を賜る事もなく、いじめられる事もなく(告白される事はあったが)むしろ愛でられ可愛がられつつ潜水艦の研究をし4年後に首席で卒業した。その後は普通に新米少尉として働いていた、そしてある日銀座を歩いているとどこからか女性の悲鳴が聞こえてきた、急いでその声の元へ走ると暴漢が一人の女性を襲っていたので彼はすぐさま暴漢を倒し女性を救った、そのことで彼の人生は輝き始めた。雛光が助けた女性は実は照宮成子内親王であり、お忍びで銀座に遊びにいってみたら襲われてしまったのだ、お忍びであれどうであれ皇族をしかも第一皇女が汚されそうなところを救った事は勲功大であり、雛光には口止め料込みで三階級の異例な大特進が褒美として下賜され、さらに第6艦隊第1潜水戦隊伊第一五号潜水艦長に任ぜられたのだった。
雛光はがんばった、最初はそれこそ新米の乗員ばかりで役に立たないだろうといわれていた伊第一五号潜を4ヶ月で日本海軍潜水舞台一の精鋭に育て上げたのだ、このあたりで先ほどのシーン。
「ちょ、長官!私が何を下って言うんです!自惚れかもしれませんが、私は艦長を解任されるようなことはしたことなどないはずです!!」
一気に焦りながら弁解をする雛光。
「小鳥君、まぁそう慌てずに人の話を聞きたまえ、人生そう急いでも良くはならんぞ。」
「しかし長官!」
バンッ 長官机を叩く音が室内に響き渡る。
しばらくの静寂の後、清水長官がいきなりニヤッと笑い
「ハッハッハッハ、悪かったよ、脅かしすぎた、すまん。」
先ほどの緊張感はどこえやら、豪快に笑う清水、これを見てほっとしたのか雛光は少々だらけつつ
「はぁ、それでは今の解任というのは冗談なのですね。」と疲れた表情で言った。
すると清水はいきなり真剣な顔になり、「いや、本当の事だ、君には極秘任務を受けてもらうために呼び出したのだ、それには伊第十五潜艦長というというのは少々邪魔でな、仕方なく解任としたのだよ、極秘任務なので解任という不名誉な処置しか出来なかったのは勘弁してほしい。」
(極秘任務?)「長官、極秘任務とは何なのですか?」
清水は一枚の電報を雛光に渡して言った。
「フム、俺も詳しくは聞いていないのだ、ただ極秘に連合艦隊司令部に出頭させよとしか電報にも書いておらんし、まぁ言ってみれば分かるだろう、君の艦の後任はこちらから適当な者を出す、君は早めに連合艦隊司令部まで行きたまえ、もちろん秘密でな、経費は経理課で機密費といえば貰えるようにしておいた、少し多めにしてある、餞別だと思ってくれ、そういえばお前はまだ一度も女を知らなかったな、たまにゃ遊んでみたらどうだ。」
(ちょっと納得行かないけど・・・)「はい、分かりました、ご好意どうもありがとうございました。」
「ウム、気をつけてな・・・」
「それでは、今までお世話になりました。」
バタン、ドアが閉まり雛光の足音が遠ざかる、清水は机の引き出しからもう一枚の電報を出した。
「あいつにゃ思わずうそをついてしまったが・・・まぁあいつならうまくやるだろう。一番最初にあいつを推薦したのは俺だしな、それにしても羨ましいねぇ、美人ぞろいだそうじゃないか、まぁもっともあいつは慌てるだろうがね、クックックックック。」

[発、連合艦隊司令長官山本五十六 宛、第六艦隊司令長官清水光美
 本文 第6艦隊第1潜水戦隊所属小鳥雛光海軍少佐を、海軍極秘特別女子潜水戦隊司令官に任じ、本日付で2階級の特進、大佐に任ずる。なお、この電文は本人には伏せておく事。昭和十五年九月二十日]

「ま、がんばれよ。」
清水は玄関から出て行く小鳥雛光少佐・・・大佐を窓から見下ろしながら呟いた、その顔は期待と不安、そして心配の色が見えていた。



始めまして、木村昌福です。
この作品をどれだけの方が見て評価してくださるかは分かりませんが、需要があれば張り切ってがんばりたいと思います。これからどうぞよろしくお願いします。
ご意見、ご感想を、心よりお待ちしてます。











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