毎年同じことを言っているような気がするが、例年より10日も早い桜の開花はどうやら地球温暖化のせいらしいとテレビが騒ぎだしたある初春の放課後の事だった。
ハルヒコによる様々な珍事に巻き込まれ日々すり減っていく私のHPを回復するポーションたるお茶を注いでくれながら、
「キョン子ちゃんはどうしていつもダブダブのカーディガンをきているの?」
と、おもむろにみつるさんが聞いてきた。
予期せぬ、しかもあまり触れてほしくなかった部分を突っ込まれた私は、思わずお茶を吹き出してしまった。なぜ今頃になって聞いてくるのですか。いえ別に何もやましいことはありませんよ、だっていくら初春とはいえまだ肌寒い季節じゃないですか。うちのシャミセンの毛だってまだ生え変わる時期ですよ。
「だって、夏の間もきていたでしょ? 確かにクーラーとかが苦手っていう女の子もいるけど、キョン子ちゃんは別にそういったことには無頓着だし…それに、一姫ちゃんがあんまりカーディガンとか着ないから余計にキョン子ちゃんのことが目立って気になっちゃって…」
ぐぅ…なるほど古泉お前のせいなのか。
私がじとっとした視線を古泉にむけると、道行く男どもが電磁石を前にした砂鉄のようにくっついてきそうなエンジェルスマイルをこちらに向けながら、
「ふふっ…おそらく、私の場合はキョン子さんとは正反対の理由でカーディガンを身に付けていないのだと思われますよ」
「正反対の理由…ですかぁ?」
こらこら正反対の理由とかいってんじゃないぞ古泉。それ以上いったら長門をいや情報ナントカ思念体を利用してでも機関ごとお前をけしさってやる!
「それは恐ろしいですね、私もまだ花の高校生活を謳歌したいので皆まで言うのは避けましょう…ただ一言付け加えるならば…そう、息苦しいのですよ…胸が」
「…胸ですか?」
このやろ古泉なに言ってやがる、いえいえみつるさん気にしないでください、首をかしげてそんなに考え込まないでください!
とその時、一番来てほしくないやつが部室のドアを破砕せん勢いでやってきやがった。
「おっす! みんないるな〜っておお? 何をそんなに騒いでんだ?」
ハルヒコ!話を蒸し返すんじゃない!
「なぜ、キョン子さんが一年中、しかもサイズが大きめのカーディガンを身に付けているのかを話していたのですよ」
古泉一体私になんの恨みがあってこんなことをぉお!
「なんだ! 簡単じゃねえか、体がペッタンコなのが目立たねえようにするためじゃないのか? キョン子のやつ無頓着なようで結構気にしてるっぽいからな、はははっ!」
「一姫ちゃんと反対…胸…ペッタンコ…あ、そういう!」
やっと結論に気付いて顔を赤らめるみつるさんを尻目に、私はガクリと膝をついた…
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